魚料理始めは切身から
魚のお勉強は切身から
魚料理は切り身から始めるべきだと思っている。いきなり包丁を買ったり、魚を下ろしたりするのは意味がない。それで魚料理を日常に取り込める人もいるだろうが、遠回りだ。
まずはどこにでも売っている切り身を買い、最初にマスターして欲しいのが煮つけである。魚料理には「長い料理(その日だけではなく翌日も食べられ、多様に食べられる)」、と「短い料理(それを食べたらお終い)」があるが、煮つけは前者、塩焼き、刺身などは後者だ。
切り身の値段自体にも興味があるため、時々買っては重さを量っている。量ると、魚の値段の高い低いがわかる。今、普通の魚の値段が高めである。とれないから高いというのもあるが、売れないから高いというのもある。魚には売れ残るリスクがあるからだ。
春、スーパーなどには様々なカレイ類が並んでいる。身(筋肉)の旬は夏から秋だが、冬から春は一般人にとっての旬、カレイ類は安い上に、おいしい真子が食べられる時期である。3月最初に買ったのはアカガレイの切り身だ。
ここでカレイの「い・ろ・は」をば述べると。単に「かれい」というときのカレイは、地域によって種が異なるのだ。
東京など1980年代からみている限り国内でもっとも多種類のカレイを食べている。近畿から瀬戸内海周辺ではマコガレイ、メイタガレイなどが中心になるものの、単に「かれい」というときの種は東京ほど多くない。また福井県のようにアカガレイを非常に好む地域もあるし、新潟県・山形県のようにマガレイが人気のところもある。
東京で単に「かれい」というときは、マコガレイ、アカガレイ、ババガレイ(なめたがれい)、マガレイ、くろがれい(クロガレイ・クロガシラ)、アサバガレイ、イシガレイなど挙げたら切りがない。東京は東京湾の地物もあるし、昔から常磐、東北・北海道などカレイの産地とのつながりが強い。多種類のカレイを食べているのはいいとは思うが、これがすべて単に「かれい」でしかないのだけが残念である。要するに多くの消費者にとって「かれい」は高いか安いかの違いでしかないのだ。
アカガレイは煮つけ用のカレイとしては上等の部類だが、2切れで400g前後で1切れで350円についた。これはここ数年の魚の高値が反映されている値段である。