小田原魚市場ダンベの中、瓜坊の塩焼き

どんなに小さくても縦縞がくっきりでもイサキはうまい、のだ


神奈川県小田原市、小田原魚市場の定置網は夏枯れ状態が続いている。水揚げ量が全体に減っており、場内ではむしろ深場の魚が目立つ。
この夏場の状況は毎年変わらない。
それでは定置網においしい魚はいないのだろうか? というとさにあらず、小田原の定置は扱いがていねいなので魅力的なものがいっぱいあるのである。

今回はいろいろあって水揚げに集中できなかったので、定置網の方達が引き上げた後に、瓜坊(イサキの幼魚)体長15cm・70g前後をひとつふたつみっつ、とダンベから救出してきた。
定置網の魚でダンベに行くというのは、魚粉になるということで、人の口に直接入らない、魚たちである。
とった魚は直接人の口に入る方が自然に優しいし、温暖化防止になる。
ところがイサキの100g以下は流通しない。
流通しないというのは、今どきの曖昧言語を使うと未利用魚である。
この100g以下のイサキがまずいかというと、真逆で漁師さんも知る非常においしい魚なのである。

これが高値で飛ぶように売れるようになると、温暖化もほんのわずかストップできるのだけどな、と思いながら内臓をずぼ抜き。
振り塩をして保存する。
2日後に取り出して、水分を拭き取り、焼きたてをあつつと言いながら食べる。

縦縞の消えた大人のイサキと比べると脂は少ないとはいえ、比べなければ脂は十二分にあるし、本体全部が非常にうまい。
ちなみにイサキのおいしい点は少しだけ磯の香りがして、上品過ぎないところにある。
イサキの塩焼きご飯一升というけれど、瓜坊の塩焼きでも5合はいけるだろう。

最近のボクは、酒に溺れているので、静岡県藤枝市、志太泉を、なんと2合、も。
どんなに瓜坊が栄養豊かでも、これでは夏が越せない。

知名度は非常に低い魚なのが残念で鳴らない


イサキは新潟県宮城県以南の本州、四国、九州南岸に生息している。
比較的浅い岩礁域に普通に見られ、漁業的にもとても重要な魚である。
年間を通しておいしいものの、産卵期は夏で、夏の魚の代表的なものである。
知名度が低い魚なのがとても残念。
イサキくらいはおぼえておいて欲しいものだ。


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