コラム検索

検索条件
カテゴリ:
シリーズ:
関連する水産物等:
表示順:

該当するコラムが多い為ページを分割して表示します。
全1734コラム中 1701番目~1734番目までを表示中

郷土料理

ヤリイカの韓国風刺身

韓国では참기름(チャムギルム ごま油)と소금(塩 ソゴム)で刺身を食べる。초고추장(チョコチュジャン 酢コチュジャン)とともに刺身を食べるときの基本だろう。 今回のヤリイカは鮮度的には生食ギリギリなので、皮を剥き、湯通ししてヒモ状に切る。これをごま油と塩で和えて、韓国産の甘みのある唐辛子と生の三つ葉を加えてみた。 実にウマシである。ごま油の香りと塩、あまり辛くない唐辛子がいいアクセントとなる。 香りの強いごま油を使っているのに、辛口の純米吟醸に合うのはなぜなんだろう?
加工品

塩ブリ家庭版を作る

昔は、日本海側で水揚げされたブリを旧正月(太陽暦の1月後半)用に塩をして、保存性を高めて飛騨や信濃に送っていた。丸のままのブリの鰓や内臓を取り、塩をすり込むようにして馴染ませる。これは写真で見る限り、1960年代くらいまでは塩漬け(塩をすり込む)するのはブリの水揚げ地であったが、徐々に山間部まで鮮魚として送られて、消費地で塩をするようになったのだと思う。長野県松本市などの松本市公設地方市場、魚屋さんに聞くと、スーパーや魚屋さんで塩をするのだけど、丸のまま塩をすることはなく半身か切り身に塩をするようになっているとのこと。これを焼いて、年取、三が日の膳にのせ、雑煮にしていた。
郷土料理

カチュー湯

沖縄県でカツオを「カチュウ」、「カッチウ」、「カチュー」と呼ぶ。これに「汁」をつけるとカツオ節に熱湯を注いだだけで作る簡便な汁ということになる。日常的にも作ったし、病、特に風邪のときなどにも作ったという。調味料はみそ、もしくはしょうゆだ。どうやらどちらでもいい。沖縄県では古くからカツオ節、なまり節を作っている。その起源はいずこにあるのかは不明だ。モルジブなどでもハガツオを使ったカツオ節がある。この年間を通してカツオ節に最適な脂のないカツオがとれる地域(熱帯・亜熱帯)がカツオ節(なまり節)誕生の地なのかも知れない。カツオ節、なまり節は沖縄県の家庭では必需品だった。常にあるものを使って即席で食べることができる。当然、どこの家庭でも作られているという沖縄の伝統料理である。
郷土料理

タラ飯について

宮本常一が昭和17年12月(1942)に能登一宮の気多神社(石川県羽咋市寺)で行われる鵜祭の、ウをとる村(現七尾市鵜浦)まで行く。そこで作られていたのが「タラ飯」である。富山湾はすり鉢状の地形で、浜から鱈場(深場)までの距離が短い。またタラ科のスケトウダラ、マダラは産卵期が近づき、浅場に上がってきている。動力船のない江戸時代以前にもタラをとるのが容易であったので、タラを食べる文化が発達したとされ、今でもタラの加工をする会社が少なくないとされている。「魚食の民」などという言葉が一人歩きしているが、この国は決して「魚食」でも「米食」でもなく、20世紀になるまで手に入れやすい食料を、ひたすら食べていたに過ぎない。例えば「おかず」という概念すら、都市部ではあったかも知れないが地方にはなかった可能性がある。タラ飯はタラ科の魚の「炊き込みご飯」でもなく、「まぜご飯」でもない。タラの身をひたすらご飯のごとく食べるというものだ。魚の身だけで腹を満たしても、糖質はほとんどなく、タンパク質だけの食事。塩味がついていることだけが救いだけど、おかず(副菜)もなく、とても現代に生きる身には食べにくいものだろうと考えていた。ところが実際に作ってみると、とてもおいしい。椀に1ぱいくらいならときどき作ってもいい、と思えるほどだった。ただこれが寒い時季の主食で、ごちそうであるとしたら寂しい限りだ。
コラム

メカジキのムニエルこがしバターしょうゆ風味

新しい下町である江東区、葛飾区や江戸川区ではなく、江戸時代以来の本来の下町、日本橋人形町の洋食店で食べた「カジキのバター焼き(ムニエル)」が実においしかった。明らかに小麦粉をまぶしてソテーしたムニエルではあるが、決して正統派のムニエルではなく、日本の洋食というか、例えば明治大正期に初めて西洋料理に出合って、最初はそのまま受け入れて、徐々に日本人好みに作り変えたといったもの。だから「バター焼き」なのだろう。注文して出てくるまでが早いのは、家族経営の店で、全員が持ち場、持ち場のベテランだからだ。比較的たっぷりの油とバターでソテーして皿に盛り、仕上げに醤油を加えてソースとしている。実に素朴だけど、意外に作ってみると難しい、そんな料理である。とりあえず、市場の切り身屋でメカジキの切り身を買う。面倒くさいのでその場で塩コショウして持ち帰る。
料理法・レシピ

カタボシイワシの煮干し

塩ゆでにすると硬く締まり、どうしても鱗が気になる。カタクチイワシや小アジのようにゆでたてをおやつに、酒の肴にとはいかない。ただしじっくり硬く干し上げて、だしをとるととてもうま味豊かである。酸味がほとんどなく、苦みと感じない程度の苦みがあるのはマアジ、カタクチイワシなどと同じ。同じ方向性の味わいである。煮るならサトイモや青菜、麺ならそばではなく小麦粉を使ったものに威力を発揮する。
コラム

東京の湯豆腐にぶわだら

東京と茨城以北の太平洋側、特に宮城県との水産交流の深さを感じるのが「ぶわたら(塩蔵マダラ)」だと思う。1970年代後半、学生時代に都内神楽坂で「湯豆腐」をお願いすると「ぶわだら」が入っていた。これでは「たらの水炊き」ではないか? と西日本の人間には思えた。例えば京都で「湯豆腐」は昆布だしに豆腐だけだし、大阪でも似たようなものだった。今でも寒くなると関東の市場に「ぶわたら」の入荷が増える。東京人は「ぶわたら」がないと冬を越せないのである。「湯豆腐」に「たらちり」に、築地場内でも引っ張りだこの人気である。あまり好きな言葉ではないが、「ぶわたら」料理は東京のソウルフードなのだ。さて、その「ぶわたら」はどこから来たのだろう。東京都内からみてマダラがとれるのは茨城県以北である。明治時代・大正時代から1945年の敗戦後まで多くの水産物は鉄道で送られて来た。茨城県・福島県のものは水戸に集まり、三陸のものは仙台に集まった。そこを中継点として東京まで貨車で送られて来ていたのだ。だから東京は常磐、東北との繋がりが深い。ちなみに日本海ものでは東京と新潟県との繋がりが深いが、こちらのタラはマダラではなくスケトウダラである。余談になるが明治期の『唾玉集』、斎藤緑雨に「仙台鮪」が出てくるのも、東北本線の開通で、宮城県の水産物が東京に送られ始めた証拠だと思う。こんなささいなことからも、文字的な資料だけではなく、今季こそはマダラのフィールドワークをやってみないとダメだと考えた。
郷土料理

【さかな飯】アカエイの煮凝りでご飯

昔、東京市場築地場内の老人が、「エイの煮凝りで飯食うのがいちばんだね」と言った。実は医者に酒を止められた人が、「代わりに飯だ」ということで、たらこ、アジの塩焼き、ちりめんなどご飯に合う水産物の話をしていたのである。確かに、煮つけ自体よりも翌日の煮凝りという人は多い。アカエイの場合、ゼラチン質が多いのでさほど気温が低くなくても、煮こごる。老人達のひとりが井戸に吊して置いたと言ったが、この景色がいいと思ったものだ。井戸に吊した煮凝りで、朝、飯を丼で、なんて最高かも知れない。実際今でも煮凝りでご飯は、糖質制限をしている身には毒である。
郷土料理

宮城県栗原町若柳の「えび餅」

2017年12月08日、宮城県栗原市若柳にある『くりでん』という産直市場で見つけたもの。輸入ものの小エビではなくスジエビもしくはテナガエビをしょうゆ味で煮て餅にからめている。隣の登米市でも同じ物が売られていた。この周辺には伊豆沼、長沼と白鳥が飛来する湖沼、また河川の多いところ。淡水漁業が盛んだったはず。ドジョウを焼いて餅にからめた「ふすべ餅」も同様に淡水漁業の産物である。この地域で行われていた淡水漁業を探りたい。
小松菜、ヤリイカ
コラム

ヤリイカは炒めるがいちばんかも

「イカは炒めて食べるのがいちばんだね」豊洲市場場内『尾道』さんに教わった。それでいろんな種類のイカをいろんな種類の野菜と炒めてみている。『尾道』さん曰く、セロリがオススメだとのことだが、青みの小松菜や水菜とも好相性だ。ニンニク、ショウガなどで香りづけした油で青菜、ヤリイカをさっと強火で炒めて、紹興酒(酒でも)と中国しょうゆ(国産のしょうゆでも)を合わせたものをからめるように味つけする。ヤリイカの甘味と野菜の苦みが相まってとてもうまい。薬味はコショウでも一味唐辛子、カイエンヌペッパーでもいい。辛い唐辛子と炒めてもいいと思う。
コラム

2019年秋、今季初殻付ガキ

最近、年間を通して殻付きのマガキが入荷してくる。個人的にはマガキに季節感がなくなるのはいやなので、時期にならないと買わない。それだけに秋になるのが待ち遠しかった。今季の初殻付は2019年10月17日、宮城県気仙沼松崎片浜 丸畠水産のものだった。今年は走りの10月から身の太りがいい。早く今季初カキフライはいつ食べられるのだろう。
郷土料理

サメガレイの煮つけで骨湯

「骨湯」とは煮つけを食べた残りを深い器(煮つけの器が深ければそのままでもいい)に入れて、熱湯をそそぐだけという、料理とも言えそうにない料理だ。三重県では「医者殺し」という。特にサメガレイの煮つけを作ったら、〆の「骨湯」は絶対である。「骨湯」を食すために煮つけを作るごときと考えてもいい。上品な脂なので汁状にしたときに、溶け出してうま味をより豊かにする。蛇足だが、意外にもこの「骨湯」でやる酒がうまい。煮つけで酒をやり、「骨湯」でもやる。飲みすぎ注意だ。
歴史

川路聖謨が食べたうなぎのみそ漬け

『島根のすさみ』(天保11年 1840)に、川路聖謨(旗本。御目見以下の御家人から大名格の勘定奉行にまでなった)が佐渡奉行につく旅の途中、渋川(群馬県)で〈うなぎのみそ漬也。珍敷き事〉とある。このみそ漬けとはどのようなものだろう。ウナギはみそ漬けにしてうまいのだろうか?いちばん簡単な方法で作ってみた。みそ・みりん(天保期なのであっただろうし、酒よりも古くから甘味に使われていた)で合わせみそを作る。みそだけだったかもしれないが、ウナギにはみりんがよく合うので、甘味を加えてみた。これに適当に切ったウナギの開いたものを漬け込む。丸のままであった可能性もあるが、天保期であること、江戸から遠くない渋川であることから開きを使った。比較的強火で焼き上げると、みその香ばしさ、ウナギの風味が相まって予想外にウマシだった。次回は丸で試してみよう。
コラム

ゴンズイのフライは皮付きか皮なしか?

不思議なことにゴンズイのゴンズイらしい味は皮目にあるようだ。フライは絶品であるが、皮を引くとまるでシタビラメのフライのように上品な味になる。皮付きだと、後味にちゃんとゴンズイのウナギやナマズの持つのと同じ風味がある。どちらもおいしいので、両方お試しを。
名古屋市内
漢字・学名由来

ウナギのつく地名

小名木川 旧中川から隅田川を結ぶ人工的に作った運河。もともとは「宇奈岐沢」といった。『うなぎ風物詩 う』(川口昇 東京書房 1978)鰻坂 東京都新宿区市谷に鰻坂がある。蒲焼町 愛知県名古屋市市街地にある。鰻谷 大阪府大阪市心斎橋に鰻谷。
郷土料理

焼きがれいの食べ方

宮城県で作られている「焼きガレイ」の原料は、本来は県内でとれていたものを使っていた。ただし、現在は大方が冷凍輸入されたもので作られている。宮城県のカレイ科ではマガレイ、マコガレイ、ババガレイなどが浮かぶが、なかでもサメガレイのものがいちばん人気があったという。実際に現在でもサメガレイの「焼きガレイ」はとても貴重でなかなか手に入らないという。「焼きガレイ」は産地で水揚げされたカレイ類の保存性を高めるために作られた。昔、魚貝類は鮮魚ではなく四十物(あいもの)、すなわち加工品として流通するのが基本だった。これが会津若松で手に入るのは、宮城県塩竃市などで作られて、山間部に送られた歴史があるからだ。たぶん会津地方では大ご馳走だったのだろう。このまま食べるのが現在では普通らしい。少し焼き直すか、レンジで温めて食べると、鮮魚を焼いたものとは別種の味わいがある。他の地方の方達にもぜひ一度味わって欲しい名品だと思う。協力/会津若松市公設地方卸売市場
コラム

岩手からケンサキ?

2019年10月12日、台風襲来の直前に八王子総合卸売市場で見つけた。箱には「ヤ」と書いていたので、ヤリイカのことだろう。聞いてもらうと岩手県からだという。でも帰宅して見たらケンサキイカに思えてきた。体系的には明らかにケンサキイカに見える。ケンサキイカとして保存していたら、宮城県水試の方からヤリイカです、とのご指摘があった。もう一度、岩手県産のヤリイカを買い求め検索してみる。ここでは一番簡単な鰭の比率と色合いを中心に書く。鰭の比率はケンサキイカではほぼ70%、ヤリイカでは60%以下で、この固体は57%(小数点以下略)。古くなったとき、ケンサキイカの外套膜は色素胞がやや大きくまばら、乳白色で少し赤み強い。ヤリイカは色素胞が小さく多く、白く青みがかる。この固体は青みがかる。要するに岩手県産ヤリイカとして入荷してきたものは、まごうことなきヤリイカであった。
コラム

北海道ブリは季語歳時記も変える

10月、羅臼から入荷してくる個体を見る限り、ブリの旬は10月から、ということになる。季語歳時記事典の“冬”も書き改めるべきだと思う。10月、北海道のブリ、おそるべきうまさだ。
コラム

ごま油・塩でサカタザメの刺身

西日本で揚がると湯引きで食べられるが、東日本で未利用魚である。サカタザメの刺身は淡泊でクセのない味わい。微かに酸味が感じられるが、単純に食べてもおいしくない。しょうゆとわさびで食べても少しもの足りない。これを大坂で教わった、ごま油・塩で食べてみた。実においしい。サカタザメの筋肉に感じられる酸味が、ごま油の香ばしさにあいまっているように思う。
トガリエビス
コラム

イットウダイは一刀鯛

分類学イットウダイ科イットウダイ亜科の魚に共通するのは、鰓蓋に1本の非常に強い棘があることだ。このとても分かりやすい表現をしたのは誰だろう。学名で刃物(日本刀とか)を思わせるのはハナエビスの「ensiferum」だけだ。
コラム

生サクラエビはご飯に合う

鮮度のいいものは生で食べられる。殻が非常に軟らかいのでヒゲだけをとれば刺身になる。それでも気になるなら額角ごと取ってもいいだろう。生じょうゆにワサビで和えてご飯と食べると、上品な甘味がご飯に非常に合う。
コラム

2019年9月30日根室産

本日の北海道根室産は小振りで、鮮度があまりよくなくて、脂ものっていなかった。そろそろ一般人もサンマに飽きる頃だ。こんなサンマに高いお金を払うのはいつまでだろう。
コラム

シュモクザメの赤と白は筋肉の色か?

田中茂穂はシュモクザメのなかで比較的赤みが弱い種にシロシュモクザメ、比較的赤みの強いものにアカシュモクザメとつけたと書いている。当然、現在使われている標準和名を決めたのも田中茂穂だろう。写真は伊豆半島東側伊東市富戸沖の定置網で揚がった個体。確かに赤みが弱い。
発泡容器、みかん
コラム

小アジの酢じめは小粋な味

静岡県伊東市の素晴らしいところは、優秀な魚屋が多いことだろう。例えば干ものなどは、駅前などのお土産屋的な大きな店では買うべからず。魚屋で買うほうがうまい。その他の惣菜類もスーパーよりも魚がいい。水産物の周辺を調べているので、この日は大量に魚を持っていた。それでも魚屋で何か買わないでは許されないし、これもまた楽し。今回の魚屋は伊東市弥生町、井上魚店。小アジの酢漬けのていねいな仕事ぶりに感激!
刺身、血合い、酸味
コラム

9月末、伊豆半島富戸沖のオアカムロ

静岡県伊東市富戸沖で揚がったオアカムロは天の恵み、至福の味わいだった。 本種は血合いが大きく鮮度落ちが早いのだけが残念。後は言うこと無しだ。 これなど活け〆出荷して欲しい代表格だろう。確かに昔と比べて少しは値がつくようになったとは思うが、もっともっと高くてもいいと思う。 富戸定置の方々に感謝しなければならない。
沖縄本島与那城漁協に並ぶヒレナガカンパチ
同定

カンパチの尾鰭下葉は白い? ヒレナガカンパチは黒い?

カンパチの尾鰭下葉先端部は白くて、ヒレナガカンパチには白い部分がないと魚類検索にある。ただそれで確実に両種を区別できるかは疑問である。確かにヒレナガには下葉の白い部分はないか、はっきりしない。ただカンパチに下葉白い部分がはっきりしない、まったくない固体がある。
料理法・レシピ

小田原水揚げ、小あじ煮干しの作り方

煮て干すので煮干しだ。ボクの田舎、徳島県では「いりこ」という。これを神奈川県小田原市、小田原魚市場、二宮定置の未利用魚(家畜の飼料になるもの)で作る。今回はマアジの大小混じりが主体だった。魚はできるだけ小さいものがいい。全長5cm前後がいちばん上等。でも15cmくらいまでは作れる。本当はマアジ1種類で大きさを揃えた方が好ましいが、少し痛んでいるものを拾い出したものなので、モロとメアジが混じっている。これをよく流水で洗って、表面についた血液やとれた鱗を流す。水分をよくきり、4%〜5%の塩水で10分前後ゆでる。ザルに上げ、シャワーにして水をかけてざっと粗熱をとる。うちわであおぎながら表面の水分を乾かす。これを寒い時季なら日が当たらない屋外で、暖かい時期には冷蔵庫で干す。
静岡県田子の潮かつお
加工品

西伊豆の潮かつお

静岡県伊豆半島西岸、カツオ漁の基地であった田子、安良里で、盛んに作られていたのが「潮かつお」だ。カツオの内臓を取り、丸ごとを塩漬けにして寝かせ、干し上げたもので、保存性がただの塩蔵品よりも高い。秋に塩につけ込んで干し、暮れには出来上がるのだが、生ハムのように独特の風味が生まれ、ものによってはスライスして生でも食べられる。西伊豆ではこれを正月飾りに使う。西伊豆から沼津周辺までの地域ではハレの日に食べるもので、年取・正月魚の代表的なものであった。塩蔵して干すという工程があり、明らかに冬の保存食の意味合いがあったものと考えられる。この干しの工程のあるものとは別により手軽に作れる「塩がつお」もある。浜に揚がったカツオ(サバ科のソウダガツオ類やハガツオなどでも作られている)、もしくは比較的近くの都市部に送られていた。干しの工程のあるよりもより日常的な味のものである。東北太平洋側、伊豆半島周辺、紀伊半島で作られているものでカツオだけではなくハガツオ、ヒラソウダなどでも作られていた。
料理法・レシピ

カツオの当座煮

スーパーで見つけてうれしいもののひとつが、カツオの切身である。たぶん煮つけ用だと思う。今回のものは神奈川県秦野市の普通のスーパーを見て回っていたときに発見して、小田原魚市場の魚をたくさん持っているのにも関わらず買い込んでしまった。これを素直におかずにたく。高級な魚や料理店の料理だけではなく、スーパーに並ぶ、何気ない食材に気を止めるのも大人のあり方だし、自然保護にとっても重要なことなのだ。湯通しして冷水に落として霜降りにする。これを酒・みりん・砂糖・濃い口しょうゆ・たまりしょうゆ・水を煮立たせて、切り身をいれて水分がなくなるまでたきあげる。カツオは生でと考えがちだが、本来は煮つけや焼き物にして食べることが多かった。
郷土料理

昔の八王子、イワシの刺身

東京都八王子市諏訪町の魚屋、ダイシンさんに聞き取る。昔、海から遠い八王子では、丸干しのマイワシを手開きにして、酢につけて食べたという。これを「いわしの刺身」と言った。八王子市は人工的にも面積でも大きな都市だ。歴史的にも古く、鎌倉時代、北条執権時代、室町期、戦国期、江戸時代でも要所であった。特に戦国時代には後北条氏、武田氏の領地の中間にある合戦場でもあったはず。この八王子は西の八王子城から開けて、徐々に東に市街地を広げる。当然、諏訪町は八王寺の中でももっとも早く開けた場所と言える。干ものを酢で締めると、身がぼろっとして見た目は悪いものの、意外にもとても味がいい。干ものを煮ると苦みが出てしまうが、生だとそれがない。ひょっとしたら、今にも通用する料理かも。
味わい

クロタチカマスの小骨は気にならない

「すみやき(クロタチカマス)」の骨切りは必要か、どうか、最近迷っている。神奈川県小田原などで揚がる、クロタチカマス科の多くが皮から筋肉に向かって、大量の骨が入り組んでいる。これが煩わしいと骨切りをして焼いたり、煮たりしていた。ただ骨切りすると、うま味を含んだエキスが流れ出て、味にも影響することがわかってきた。それならとそのまま焼き、そのまま煮て食べてみると、骨は比較的柔らかく長いために気にならないことに気づく。確かに大量の骨を抜き取り、口の中から出すなど煩わしいが、骨切りは無用だと思った。
文化

栃木県宇都宮市今里、梵天祭の料理

栃木県宇都宮市今里にある羽黒山神社の創建は平安時代康平年間(1060年頃)とされている。ここでで秋、11月の第3土曜日に行われるのが梵天祭だ。江戸時代の中頃に収穫を感謝して始まったもので、350年以上の歴史がある。15メートルほどの2本の長い竿竹の先に梵天という房状の飾りをつけたものを、今里の町を揃いの半纏をまとった若者が練り歩く。その後、一気に山上の神社まで運び上げ、境内に立て奉納する。
料理法・レシピ

タラバエビ科はイチジクと相性がいい

タラバエビ科のうま味成分と粘液の混ざり合った甘さと、イチジクの甘さがとても相性がいい。特にトヤマエビ、ボタンエビのように大型のタラバエビ科と合わせると豪華でもある。
コラム

長崎県小長井町産マガキの「華漣」がいい!

殻つきの活のマガキ選びは難しい。味の良し悪しは、正直な話、食べてみないとわからないと思う。それでも見た目で選ばざるおえないわけで、そのようなときは小振りで、殻がふくらんでいるものを選ぶ。こんな条件を満たすものを市場で見つけたら、必ず買うのが私流。今回の「華漣」は小振りでよくふくらんでいることなどから、これは「買い」だろうと、迷わず手が伸びた。そして大当たりだった。この見事なプロポーションを作り出すためには、よい種苗を使っていることや、垂下式(繋いで吊しておく)ではなくネット養殖であることなどが最大の要因だろう。ただ、それだけではうまいマガキは作れない。たぶん養殖海域である有明海北部が素晴らしいのだ

該当するコラムが多い為ページを分割して表示します。
全1734コラム中 1701番目~1734番目までを表示中


関連コンテンツ

サイト内検索 (Google)

その他コンテンツ