2m前後になる。紡錘形。目が大きい。胸鰭は第二背鰭・尻鰭基部よりやや長い。第二背鰭、尻鰭はあまり長くない。
メバチマグロの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)



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魚貝の物知り度
★★
これは常識食べ物としての重要度
★★★★★
非常に重要味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目サバ亜目サバ科マグロ族マグロ属外国名
学名
Thunnus obesus (Lowe, 1839)漢字・学名由来
漢字 目撥(メバチ)、眼撥(メバチ)、目撥鮪(メバチマグロ)、眼撥鮪(メバチマグロ) 目鉢鮪 Mebatimaguro
由来・語源 目が大きくまん丸(鉢状)であるため。田中茂穂は「目撥」としているが、「目がぱっちり」しているということだろう。Lowe
Richard Thomas Lowe(1802-1874)。イギリスの植物学、魚類学、軟体類学。地方名・市場名
生息域
海水魚。
日本列島周辺。日本海には希。
朝鮮半島南岸、済州島、世界中の温・熱帯域。生態
マグロの中ではもっとも遊泳層が深く(水深100メートルから150メートル)沖合にいる。
太平洋での産卵期は北半球で4月から6月、南半球で1月から6月。
抱卵数200万から600万粒。
魚類、甲殻類、イカなどの軟体類を食べる。
成長は1年で体長約45センチ、体重約2キロ。
2年で体長約80センチ、体重約10キロ。
3年で体長約1メートル、体重約20キロ。
5年で体長約140センチ、体重約60キロ。
10年で体長約2メートル、体重約150キロ。
寿命10-15歳以上。基本情報
クロマグロの5倍から7倍の漁獲量、輸入量があり。「マグロの刺身」としてもっとも一般的なもの。魚屋さんやスーパーで単にマグロというと本種をさすことが多い。
基本的に中トロはとれるが大トロの部分はないとされているが、近年本種でも「大トロ」の表記を見る。
身の色合いが鮮やかに赤い。この赤さこそマグロらしさともいえそう。安くて赤いマグロさくのほとんどは冷凍もの。三陸沖などで揚がる国産生は非常に高い。水産基本情報
市場での評価 関東の市場ではもっとも大量に見かけるマグロ。冷凍物は比較的安く手頃。秋から冬の生は高価。
漁法 延縄(釣り)、巻き網
主な産地 静岡県、高知県、東京都、宮城県、鹿児島県
港別
生 宮城県塩釜港、千葉県勝浦港、和歌山県那智勝浦港、沖縄県那覇港
冷凍 神奈川県三崎港、静岡県焼津港、鹿児島県山川港
マグロ漁獲量ではもっとも多くマグロ類中30パーセント以上を占める。キハダマグロと双璧をなしている。選び方
切り身(さく)の色合いの鮮やかななかに、白濁する脂が見えるもの。身にはりのあるもの。黒いしみ、筋の多いものはさける。
またスーパーなどで買うなら刺身状に切ったものよりも、さく(板状になっている)を買い、食べる直前に刺身状に切る方がよい。味わい
国内でとれるものの旬は晩秋から冬。
赤身魚のひとつ。マグロ類ではやや大型になる。
鱗は頭部近くにしかない。血合いがマグロ類なので多いがクロマグロほど臭味がない。
基本的に大トロ部分がないが近年、脂のある部分を大トロと表記している例がある。
クロマグロ、ミナミマグロ、タイセイヨウクロマグロと比べると脂が少なく万人向きの味わい。
赤身とは マグロ族の魚(マグロ属/クロマグロ、タイセイヨウクロマグロ、タイセイヨウマグロ[Thunnus atlanticus (Lesson, 1831) ] : Blackfin tuna/一般的ではない)、ミナミマグロ、メバチマグロ、キハダマグロ、コシナガ、ビンナガマグロ ソウダ属/マルソウダ、ヒラソウダ スマ属/スマ カツオ属/カツオ) および、カジキ類のシロカジキ、マカジキ、バショウカジキのこと。これにあえて加えるならカマスサワラかも。特に銚子から三陸であがる生は非常にうまい。ただし一般的に冷凍ものが多いので旬は気にしなくていい。マグロ類のなかでももっとも親しまれているもの。微かな酸味があり、そこに脂の甘みと、旨みが加わる。クロマグロなどと比べてあっさりしている。右から血合い、中の中心部が赤身、下の白く濁っている部分が中トロ。最近、この中トロ部分のもっとも脂の強い部分を大トロと言うこともある。クリックで閉じますメバチマグロの断面
栄養
栄養/鉄分が豊か。DHA、EPAが豊富で成人病を防ぎ、能の老化を予防する。皮膚をきれいにし、皮膚障害を防ぐナイアシン、骨の成長やカルシウムの吸収に関わるビタミンDも多い。危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
メバチの料理法・レシピ・食べ方/生食(刺身、づけ、和え物、ユッケなど)、煮る(コンフィ、煮つけ)、汁(ねぎま、しょうゆ汁、潮汁、みそ汁など)クリックで閉じますメバチの刺身
メバチの刺身 「まぐろの刺身」というとほとんどが本種のものと言ってよい。赤身、中トロ、ネギトロなど、いろんな部分を楽しみたい。秋の国産生がいちばんうまいが、安いものでも一定のうまさがある。
メバチのまぐ茶(マグロ茶漬け) マグロの刺身(切り身)はそのままでも、生じょうゆに漬けても、生じょうゆとみりんに漬け込んでもいい。ご飯にもみ海苔を乗せてマグロを並べて湯(お茶)をそそぐ。刺身そのままの場合はしょうゆをたらして、ふたをして少し蒸らす。漬けの場合はふたをして蒸らす。わさびなどを添えて食べると非常に美味。意外に漬けにしなくてもおいしい。クリックで閉じますマグロ茶漬け
メバチのトロづけ丼 中トロを刺身状に切り、しょうゆ、煮きりみりんに数分漬け込む。これをこのまま食べてもいいし、ご飯にのせて食べてもうまい。あまり漬け込み過ぎないのがコツ。赤身もとてもおいしい。クリックで閉じますメバチの漬け
メバチのぬた 東京下町などに行くと、よくお目にかかるものだ。江戸甘みそ(みそはなんでもいい)に少量の煮きりみりん、少量の砂糖、酢を合わせてすっておく。これをゆでたねぎ、マグロの赤身と和えたもの。クリックで閉じますメバチのぬた
メバチのづけ マグロの冊に湯をかけて霜降りにする。これをしょうゆ、煮きりみりん、煮きり酒、好みによっては少量の砂糖を合わせた地につけ込んで半日以上置く。これを切りつけたもの。保存性も高くなるし、刺身とは別種の味が楽しめる。クリックで閉じますメバチの漬け
メバチのマグロの山かけ 「マグロの山芋かけ」のことだ。比較的廉価なマグロの切り落としなどに、すり下ろした山芋(大和芋)を添える。ウズラの卵や卵黄を添えるといい。安いマグロの物足りなさを山芋の味でカバーするといった風だが、実は味は2つが出合うことで倍以上のうまさになる。クリックで閉じますメバチの山かけ
メバチのオクラ和え オクラ、モロヘイヤ、納豆、甘いたくわんなどメバチの安い刺身と合わせると、より味わい深くなる。安くておいしい冷凍ものなどに最適である。味つけはしょうゆとわさびでも、にんにくしょうゆでもいい。クリックで閉じますメバチのオクラ和え
メバチのユッケ 中骨についたネギトロをユッケのタレで和えたもの。ユッケのタレはコチュジャン、ごま油、しょうゆ、すり下ろした梨、にんにくを合わせて作った。辛いのが好きなら赤唐辛子を加えてもいい。クリックで閉じますメバチのユッケ
メバチのコンフィ メバチマグロの筋の多い尾に近い部分を塩に漬け込むくらい強くして半日寝かせる。塩を洗い流し、粗挽きコショウをまぶしつけて少し置く。これをローリエ、ディルなどを沈めたオリーブオイル70度くらいで数時間ほど煮る。軟らかくて身は繊維に沿ってほぐれる。このまま食べてもいいし、またパンなどに挟んで食べてもいい。クリックで閉じますメバチのコンフィ
メバチのあら煮 血合いの部分や筋の多い部分をしょうゆ、みりん、酒であっさりと甘辛に煮たもの。血合い部分は適宜に切り、湯通しして氷水に落として血液などを取る。よく水分を切ってから煮るときれいに出来る。クリックで閉じますメバチのあら煮
メバチの筋のみそ煮込み 尾や頭部に近い部分の筋を集めて、みそ仕立てで煮たもの。筋は一度湯通し、氷水に落とし汚れなどを取り、よく水を切っておく。みその地はみそ、酒、砂糖、水で味を加減しておく。これで筋を煮込む。しょうがをたっぷりきかせておくと非常にうまい。クリックで閉じますメバチのみそ煮込み
メバチのねぎま鍋 江戸時代からある汁(鍋)である。しょうゆ、みりんなどで味つけした汁で脂のある部分と一本ねぎ(白ねぎ)を煮ながら食べる。汁として椀に入れて供してもうまい。マグロから出て来ただしでねぎを煮るのだけど甘辛の野卑な味つけが向いている。気取った味つけは下の下だ。クリックで閉じますメバチのなぎま汁
メバチのポシェ 市販のハーブブイヨンと少量の白ワイン、月桂樹の葉(ローリエ)、アニスシード、コショウ、などを合わせた地で沸騰させない程度に熱を通したもの。身を取り出し、煮汁を味見、塩を適宜足し、一度こす。これを少し煮つめてソースにする。香りのある野菜などと盛り合わせてソースをかけ回して出来上がり。ライムなど柑橘類などを搾りながら食べる。クリックで閉じますメバチのポシェ
メバチのあらと焼き豆腐の煮込み汁 骨のついた部分や中落ちの身、尾近くの筋だらけの部分を、しょうゆ、みりんで味つけした汁で煮たもの。主役はマグロだが、一緒に煮た豆腐が最高にうまい。簡単に安くできる割りに味が上級である。クリックで閉じますメバチのあらと焼き豆腐の煮込み汁
メバチのみそ汁 江戸時代などもマグロが揚がったら、まずはみそ汁にしたのだと思う。骨付きの部分や脂のあるところを湯通し、氷水に落として血液や汚れを落とす。こうするときれいな汁になる。これを水(昆布だし)で煮だしてみそを溶く。白ねぎでもわけぎやニラ、白菜でも加えるといい。クリックで閉じますメバチのみそ汁
メバチの和風ハンバーグ 尾の部分や中落ちについた身、また脂があるが筋の多い部分を集めて、細かくたたく。ねぎ(玉ねぎのみじん切りを炒めたものでも)、塩コショウ、溶いた小麦粉を加えてねる。これをハンバーグ状にしてソテーする。ハンバーグを取り出して、フライパンにみりん、しょうゆ、少量の砂糖、しょうがの搾り汁を加えてタレにする。クリックで閉じますメバチの和風ハンバーグ
メバチのほおのステーク ほお肉が手には入ったら、生でも食べられるが、ソテーするとおいしい。塩コショウして小麦粉をまぶしてソテー。ごま油でソテーすると韓国風になる。火が通ったら、取り出して置く。火を消してフライパンに酒、みりん、しょうゆ、砂糖などを入れてまた火をつける。これを少し煮つめてにんにく、しょうがなどのおろしたものを加えて、またマグロのほおを戻して絡める。クリックで閉じますメバチのほおのステーキ
メバチの竜田揚げ 安い切り身やブツをしょうゆ、みりん、酒の地につけ込み。漬け地にはにんにくやしょうがをきかせておくといい。片栗粉をまぶして焦げないようにじくりと揚げる。筋の多い部分や生食できない加熱用のマグロを使ってもいい。またカレー風味やコショウを利かせてもおいしい。クリックで閉じますメバチの竜田揚げ
メバチのしょうゆ飯 静岡県や和歌山などで教わった「しょうゆ飯(炊き込みご飯)」を自宅で簡単にできるようにアレンジしたもの。切り落としの身は一度湯通しして、冷水に取る。こうすると炊飯しているときにアクが出ない。水分をよく取り、生じょうゆと少量の酒のなかに漬けておく。普通に水加減した米にマグロの身をつけ汁ごと入れて炊飯する。クリックで閉じますメバチののしょうゆ飯
好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
釣り情報
関東相模湾などでは若魚をルアーや生き餌、疑似餌などで釣る。歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『魚類学 下』(落合明、田中克 恒星社厚生閣)、『栄養学総論』(飯塚美和子、寺田和子、奥野和子、市川芳江、保屋野美智子 南山堂)、『おさかな栄養学』(鈴木たね子、大野智子共著 成山堂書店)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)