【表面】体長50センチに達する。縦扁する(縦に著しく平たい)、卵形に近く、吻(前部先端)が突出する。目と目の間に鱗がなく狭い。鮮度がいいと裏側後半が黄色く染まる。[24cm SL・239g]
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![【表面】体長50センチに達する。縦扁する(縦に著しく平たい)、卵形に近く、吻(前部先端)が突出する。目と目の間に鱗がなく狭い。鮮度がいいと裏側後半が黄色く染まる。[24cm SL・239g]](https://www.zukan-bouz.com/public_image/Fish/160/Thumb630/20221017835.jpg)
![【裏面】水揚げしたばかりのときは裏面は透明感のある白。時間が経つ後半が黄色く染まる。その後、鮮度が落ちると黄色い色合いが退色して白くなる。[24cm SL・239g]](https://www.zukan-bouz.com/public_image/Fish/160/Thumb630/magarei0.jpg)



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珍魚度・珍しさ
★★
少し努力すれば手に入る魚貝の物知り度
★★★
知っていたら通人級食べ物としての重要度
★★★
一般的(流通量は普通)味の評価度
★★★
美味
分類
顎口上目硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系カレイ目カレイ亜科カレイ科マガレイ属外国名
学名
Pseudopleuronectes herzensteini (Jordan and Snyder,1901)漢字・学名由来
漢字 真鰈 Standard Japanese name / Magarei
由来・語源 北海道、日本海などでの呼び名。カレイでもっとも普通のもの。
〈まがれい 北海道〉『帝国博物館天産部魚類標本目録.帝国博物館』(石川千代松・松浦歓一郎 1897/明治30年)
〈異體亞目カレヒ科カレヒ亞科マコガレヒ屬マガレヒ Limanda herzensteini JORDAN et SNYDER〉。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
種小名/herzensteini ロシアの動物学者ソロモン・マルコビッチ・ヘルツェンシュタインにちなむ。
「かれい」「鰈」の由来・語源
■ 目はヌマガレイなど例外を除いて右側にある。
■ 「比目魚」、「偏魚」とも書く。
■ 古名は「からえい」。
■ 「かれい」の由来01/古くは「かたわれ魚」といい。身の一方が黒く、一方が白い。目が一方に偏ってついている。魚の片割れのようなので。
■ 「かれい」の由来02/古名「からえい」が「かれい」になった。「えい」に似ているが、小さく「涸れている」ようだから。
■ 「かれい」の由来03/「韓えい」の約。朝鮮半島周辺でよくとれたから。
■ 「かれい」の由来04/「韓えい」の約。朝鮮半島周辺でよくとれたエイ(サカタザメ)に似ているから。Jordan
David Starr Jordan〈デイビッド・スター・ジョーダン(ジョルダン) 1851-1931 アメリカ〉。魚類学者。日本の魚類学の創始者とされる田中茂穂とスナイダーとの共著『日本魚類目録』を出版。
Snyder
ジョン・オターバイン・スナイダー(1867-1943 アメリカ) 魚類学者。スタンフォード大学の魚類学教授。『日本魚類目録(A catalogue of the fishes of Japan)』を田中茂穂、David Starr Jordanとともに作る。
herzenstein
Solmon herzenstein(ソロモン・マルコビッチ・ヘルツェンシュタイン 1854-1894)。ロシアの動物学者。地方名・市場名
生息域
海水魚。水深100mよりも浅場。
北海道全沿岸、青森県〜長崎県の日本海・東シナ海沿岸、青森県〜福島県の太平洋沿岸、瀬戸内海兵庫県高砂・加古川。
渤海〜東シナ海北部、朝鮮半島南岸・東岸〜間宮海峡の日本海沿岸、サハリン南東岸〜千島列島南部。生態
産卵期は東北北陸で3月〜5月、陸奥湾で4月〜5月、北海道では5月〜6月。
孵化した直後は普通の魚と同様、目は左右にある。
左の目が背中を肥えて移動を開始、15ミリ前後で完全に右側に移動してしまう。
砂泥地で環形動物、エビカニ、イカナゴなどをエサとする。基本情報
北海道、日本海全域、東北太平洋側に生息している。北海道、東北などで底曳き網での漁獲量が多く、値段が安い。干ものなどに加工されるよりも鮮魚での流通が多い。
西日本よりも東日本や、本州日本海側で好まれている。
庶民的な値段なので、関東などでは惣菜魚として人気がある。
珍魚度 比較的東日本で流通する。西日本や四国、九州、沖縄では手に入れにくい。水産基本情報
市場での評価 関東では年間を通じて入荷がある。活け締め、活魚などでの流通はなく値段は安い。
漁法 底曳網
主な産地(カレイ類として) 北海道、青森県、山形県、新潟県、島根県、兵庫県、福島県、宮城県、山口県。ロシアから輸入もしている。選び方
触ってしっかり硬いもの。裏を返して黄色いもの。鮮度がいいほど黄色みが強い。味わい
旬は秋から春。筋肉がいちばんおいしいのはだいたい秋(8月下旬)から初冬(12月)だ。
鱗は軟らかく細かく取りやすい。皮はしっかりして厚く臭味はない。
透明感のある白身だがマコガレイなどと比べると厚みがない。身離れがよく、熱を通しても硬く締まらない。
料理の方向性主に底曳き網でとるため生で食べることは産地でもほとんどないと思う。あまり大きくならないので丸のまま使われることが多い。希に大きなものがあっても2等分にするくらいで切り身加工されることはない。日本海側では素焼きや塩焼きになることが多いが、これは実に美味。煮つけも定番料理。ムニエルや唐揚げなどもいい。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
マガレイの料理・レシピ・食べ方/揚げる(フライ、唐揚げ)、ソテー(ムニエル)、煮る(煮つけ)、焼く(塩焼き、素焼き、一夜干し)マガレイのフライ 非常に上品な味で、身質がいいので揚げると、パン粉の香ばしさの中に、身の豊潤さが同時に味わえる。軽い味わいなのでたくさん食べても食べ飽きない。クリックで閉じます
水洗いして五枚下ろしにする。皮を引いて、塩コショウして小麦粉をまぶし、溶き卵に潜らせる。パン粉をつけて中温で揚げる。
マガレイの唐揚げ 揚げたてを頭からかぶりついて食べるべし。頭からほぼ全部食べられる。取り分け鰭が香ばしい。クリックで閉じます
小振りのものを余すことなく生かすには唐揚げにするのがいちばん。水洗いして水分をよくきり、片栗粉をまぶしてじっくりと二度揚げする。マガレイのムニエル 淡泊な味わいであるが、油とバターがこくを生む。身離れがよくパンにもご飯にも合う。クリックで閉じます
市販の切り身を使うと便利。丸のままのものは、水洗いして水分をよく拭き取り、塩コショウして小麦粉をまぶしてソテー。最後にバターを加えて風味づけする。真子を持っているものは、火の通りが悪いので、フライパンにふたをして一定時間ソテーするといい。マガレイの煮つけ 単調な味わいを醤油などの調味料が補う。豆腐、しらたき、ゴボウなどと一緒に煮るといいおかずになる。クリックで閉じます
関東などでは比較的安く、切身で売られていることが多い。これを買い求めてきて湯通しする。冷水に落として残った鱗やぬめりを流し水分をよく切る。これを東京風に酒・砂糖・しょうゆ味で甘辛く煮てみた。酒・しょうゆだけ、もしくは砂糖の代わりにみりんを使ってもいい。マガレイの白みそ焼(西京焼) ただ塩焼きにしてもいいが、白みその甘味とみりんの甘味をプラスすると味に奥行きが生まれる。クリックで閉じます
切り身に振り塩をする。1時間くらい置いて表面に出て来た水分をていねいに拭き取る。これを白みそ(今回は西京みそを使った)、みりんの地に1日以上つけ込む。好んで食べる地域・名物料理
地域別カレイ 福井県ではアカガレイを好んで食べるが、新潟県、山形県ではマガレイをよく食べる。クリックで閉じます
素焼きガレイ 新潟県、山形県ではマガレイを魚屋さんなどで素焼き、塩焼きにしてもらう。これが古くからのマガレイの流通を今に残す形なのだと思う。水揚げして浜で焼き、山間部や商家などに売り歩いたのではないか。家庭でそのままか、軽く焼きなおして食べる。非常に美味で、旅のお土産にもなる。[阿部鮮魚店 山形県酒田市]
マガレイの塩いり(浜いり、塩煮) 底曳き網などでマガレイが揚がる地域、福井県、石川県などでは強い塩水で水分がなくなるまで煮る。これで保存性を高めて山間部などに送られていたのかも知れない。自宅でも簡単に作れてとてもうまい。大根おろしと酢で食べる。クリックで閉じます
関連コラム(郷土料理)
加工品・名産品
えてがれい干もの 塩味をつけて干し上げたもの。[日本海フーズ 島根県浜田市]
焼きがれい 浜で揚がったものを素焼きにしたもの。宮城県、岩手県、山形県などではこれを甘辛く煮る。[丸九遠藤商店 宮城県塩竃市]
浜いり(塩いり) アカガレイ、マガレイ、めぎす(ニギス)、あから(ハツメ)、カタクチイワシなどを少量の強めの塩水でゆでる。一度ゆで汁を捨て、から煎りして水分をとばしたもの。汁気のない塩味の煮もの。[福井県坂井市三国漁港、石川県加賀市]釣り情報
船釣り。天秤仕掛け、エサはアオイソメ。歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
協力/青木清隆さん(新潟県糸魚川市)
『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『島根のさかな』(島根県水産試験場 山陰中央新報社)、『魚類学 下』(落合明、田中克 恒星社厚生閣)、『北海道の全魚種図鑑』(尼岡邦夫、仲谷一宏、矢部衛 北海道新聞社)、『日本産魚類全種の学名 語源と解説』(中坊徹次・平嶋義宏 東海大学出版部 2015)