フトミゾエビ

Scientific Name / Melicertus latiaulcatus (Kishinouye,1896)

代表的な呼び名シンチュウエビ

フトミゾエビの形態写真

全長190mm前後になる。額角上縁には10前後の歯があり、頭胸甲の額角両側にある溝の幅が太い(広い)。「花魁(おいらん)」と呼ぶ地域があるのは足や腹脚が青や黄色に染まって艶やかだから。
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全長190mm前後になる。額角上縁には10前後の歯があり、頭胸甲の額角両側にある溝の幅が太い(広い)。「花魁(おいらん)」と呼ぶ地域があるのは足や腹脚が青や黄色に染まって艶やかだから。全長190mm前後になる。額角上縁には10前後の歯があり、頭胸甲の額角両側にある溝の幅が太い(広い)。頭胸甲の額角両側にある溝の幅が太い(広い)。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★★
      がんばって探せば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    節足動物門甲殻上綱軟甲綱(エビ綱)真軟綱亜綱(エビ亜綱)エビ上目十脚目根鰓亜目クルマエビ科Melicertus属

    外国名

    学名

    Melicertus latiaulcatus (Kishinouye,1896)

    漢字・学名由来

    漢字 太溝蝦 Standard Japanese name / Futomizoebi
    由来・語源 額角にそって溝があり、これが深く幅が広いため。岸上鎌吉の命名だと思われる。
    Kishinouye
    岸上鎌吉(きしのうえ かまきち 慶応3年〜昭和4年 1867-1929)。東京帝国大学教授。動物学者・水産学者。水産学の黎明期に甲殻類、棘皮動物、魚類など様々な分野を研究した。

    地方名・市場名

    ゾウエビ
    場所愛知県豊橋市 備考豊橋魚市場 
    アオエビ[青蝦]
    場所長崎県雲仙市富津 参考佐藤厚さん 
    シンチュウエビ ツルツル オイラン
    備考シンチュウエビという地域が多い。 

    生息域

    海水生。内湾、砂泥地。
    房総半島以南、沖縄、台湾、東インド諸島、オーストラリア、インド・ベンガル湾、紅海。

    生態

    基本情報

    クルマエビとともに比較的原始的なエビのひとつ。国内の温かい海域に生息している。国内海域は北限でもあるので、まとまってとれることは少ない。そのため国内での認知度は低いが、インド洋では重要種とされている。
    天然ものが輸入されており、国産のものよりも見かける機会は圧倒的に多い。小型でホワイト系に近い色合いなので、比較的手頃な値段となっている。
    珍しさ度 入荷などは不安定で比較的珍しい。がんばって探さないと手に入らない。

    水産基本情報

    市場での評価 国産はほとんど出回らない。冷凍輸入されたものはしばしば目にする。エビの中では安い。
    漁法 底曳き網
    産地

    選び方

    できれば生きているようなものを。頭の黒ずんでいないもの。頭と胴体の間の伸びていないもの。

    味わい

    旬は不明
    主に冷凍流通。国産の生鮮品は貴重。
    やや小型。赤の発色はわるく、薄赤い。肉はしまってほどよく繊維質。甘み、エビの風味、旨みともに豊か。
    フトミゾエビの料理の方向性
    ウシエビ属と比べると熱を通しても硬くなりにくい。赤の発色は悪いがエビらしい風味と食感はいい方だ。煮る、揚げる、トムヤムクンなどのスープにもすべてよし。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    フトミゾエビの料理・レシピ・食べ方/揚げる(天ぷら、フライ、唐揚げ)、煮る(塩ゆで)、汁(スープ)

    フトミゾエビのフライ クルマエビ科といったらフライである。大型が手に入ったらぜひとも作りたい、そんな料理である。
    頭部の殻を取り、脚の部分をていねいに洗って乾かす。胴の部分は背わたを取り、尾だけを除き殻を剥き、尾羽根の先を切り落とす。曲がらないように腹部に切れ目を入れ、親指などでつまみ、筋肉を軽くつぶす。油を熱して、まずは脚を素揚げにする。胴の部分は塩コショウして小麦粉をまぶし、溶き卵をくぐらせ、パン粉をつけて高温で揚げる。柑橘類などを添える。
    一口頬張ると、甘い香りが口中を満たす。高温で揚げると身が硬く締まりすぎず、ほどよい硬さで食べやすい。心地よい食感とともに喉を通り過ぎる。

    フトミゾエビの天ぷら 小振りなので細くと頭部の節だけは残して揚げた。大きいものはこの部分は取り去ってもいい。背わた、額角部分を取り、よく水分をきる。これを衣をつけて強火で揚げる。エビらしい風味、甘味が強く、ぷりっとした食感もある。実に美味。

    フトミゾエビの塩ゆで 塩ゆでして赤の発色は悪いが、あまり硬く締まらず、エビらしい風味が豊かだ。甘味もほどよい。揚げる、焼くなどよりも端的に本種の味を楽しめるのが塩ゆで。食べ始めると止まらなくなること請け合い。
    フトミゾエビの塩焼き 生きているものに振り塩をして焼き上げたものである。もちろん死んでしまったものでもそんなに味は落ちない。強火で何度も返しながらまんべんなく焼き上げる。焼くことでエビの香りがとても強まる。身は締まり、うま味自体も濃縮される。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    『日本産エビ類の分類と生態 Ⅰ.根鰓亜目』(林健一 生物研究社)
  • 主食材として「フトミゾエビ」を使用したレシピ一覧

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