体長10cm前後。頭が大きく額角が短く上方にそる。[雌]
サルエビの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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珍魚度・珍しさ
★★★
がんばって探せば手に入る魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★★
一般的(流通量は普通)味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
節足動物門甲殻上綱軟甲綱(エビ綱)真軟綱亜綱(エビ亜綱)エビ上目十脚目根鰓亜目クルマエビ科サルエビ属外国名
学名
Trachysalambria curvirostris Stimpson,1860漢字・学名由来
漢字 猿海老、猿蝦 Saruebi
由来・語源 体表面が細かい毛で覆われているため。Stimpson
William Stimpson(ウイリアム・スティンプソン 1832-1872 アメリカ)。動物分類学・海洋生物学。スナガニ、ババガゼ、サルエビなど。「stimpsoni 」は献名されたもの。地方名・市場名
生息域
海水生。内湾。
北海道西岸以南の日本海・東シナ海、三陸以南の太平洋沿岸、瀬戸内海。
朝鮮半島、中国、東南アジア、エジプト、イスラエル。生態
産卵期は春から初夏、秋(5月〜10月上旬/全国的に)。
寿命は満1年と満2年の個体群がある。
雌の方が大きい。基本情報
日本各地の内湾などに普通に見られる小エビ。国内でとれる小エビ類は減少傾向にあるが、サルエビだけは今も比較的健在だ。小エビの中でも重用種で食用のほか釣り餌にも利用されている。
一般に単に塩ゆでにして食べたり、天ぷらなどで食べられている。
また加工品としては干しエビ、えびせんなどになり、国産エビとしては今でも重要。
珍しさ度 浅い海域に多く珍しいエビではない。ただし本種をとっている底曳き網などの減少で、手に入りやすい西日本と手に入れにくい東日本など地域差がある。水産基本情報
市場での評価 小エビは近年高くなってきている。それでもサルエビは比較的安く、手頃。ただし関東の市場などではあまり見かけない。
漁法 底曵網
主な産地 愛知県、徳島県、兵庫県、山口県など瀬戸内海沿岸、神奈川県選び方
できれば生きているようなものを。頭の黒ずんでいないもの。頭と胴体の間の伸びていないもの。味わい
旬は4月から9月くらいまで。大きい雌の比率が多く、子持ちが喜ばれる。
殻は柔らかく額角のみ硬い。
ゆでると赤くなり、旨味が強い。ミソにも強い旨味がある。エビの中では脂を感じる。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
サルエビの料理法・レシピ・食べ方/煮る(塩ゆで、煮つけ)、揚げる(天ぷら、フリッター、素揚げ)、焼く(塩焼き)、ご飯(炊き込みご飯、カレー)クリックで閉じます
サルエビの塩ゆで もっとも基本的な料理法が塩ゆでである。ゆでておけばサラダにも、また適当に切ってアヒージョに使ってもいい。チャーハンやパスタ、エビチリなど用途が広い。
買って来たらザルなどに入れて流水で表面の汚れを落とす。水分をよくきり、強めの塩水で5分前後ゆでる。完全に火を通した方がいい。ザルなどに入れ、流水か冷やした水をかけて粗熱をとり放冷する。
サルエビの煮つけ 背わたのみ取り、軽く塩水で洗って、水分をよく切る。これをしょうゆ・みりん・酒を合わせた地で絡めるように煮る。煮すぎると身が痩せ、佃煮になってしまう。火が通ったらすぐにエビを取りだし、冷めた地につけ込んだもの。しょうゆとエビは好相性。うまさの相乗効果が生まれ、酒の肴にも、刻んでご飯と混ぜてもうまい。クリックで閉じますサルエビのかき揚げ 基本的にワタと額角と胴の部分の殻を取って軽く塩水で洗って使う。大振りのものは2-3尾で天ぷらにしてもいいが小さい物はかき揚げにするとゴージャスに見える。サルエビは脂があるなどというが甘味のなかにこくが感じられる。エビらしい香りも高くとてもうまい。クリックで閉じますサルエビのフリッター むき身にして、小麦粉、油(マヨネーズでも)、ビールの衣で揚げたもの。天ぷらのサクサク感ではなく、ふんわりと揚がる衣のなかにサルエビの風味が閉じ込められて、口中に入れると極めて印象的に広がる。実に甘味が強くてうますぎる。クリックで閉じますサルエビの素揚げ 額角を取り、軽く塩水で洗う。ていねいに水分をとり、最初は低温で、徐々に温度をあげて香ばしく揚げきる。足や頭部、尾などが実に香ばしく、身は甘味が濃縮されて印象的になる。ビールなどの肴にすると、ついつい箸の伸びてしまう。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
釣り情報
マダイ釣りなどのエサとして重要。歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
大阪府環境農林水産総合センター「大阪湾の魚」、『青山老舗』愛知県一色町、『大型甲殻類図鑑Ⅰ・Ⅱ』(三宅貞祥 保育社)、『あいちの水産物 ハンドブック100』(愛知県農林水産課)、『[水産増殖35巻3号161-169 The SUISANZOSHOKU(1987)] 紀伊水道産サルエ ビの産卵 と成長』(上田幸男/徳島県水産試験場)