小柴産サルエビに朝から夢中になる

小エビの中では大型で、脂を感じる


八王子綜合卸売協同組合『マル幸』に小柴産サルエビがきていた。
「小柴」は横浜市にある金沢八景のひとつで、現在の横浜市柴漁港にあたる。古くからアナゴ(マアナゴ)、シャコ、小エビ類、カレイなど江戸前魚介類の産地として有名なところだ。今日、これに加えてタチウオの産地としても関東圏ではつとに名を馳せている。
現在の状況はよくわからないものの、もともと底曳き網漁の盛んなところで、小柴のシャコ、エビ類は非常に有名であった。
今回、やってきたサルエビもそのひとつだ。小エビ類の中では比較的大形で最大10cm前後になる。雄雌では雌が大きくなり、春から秋にかけて抱卵(内子とよばれることの多い受精前の卵を持っている)個体が多く、この時季に子持ちが楽しめるのも魅力である。
小エビ類の寿命は短く1歳〜2歳で死んでしまう。ある意味、旬がはっきりしている魚介類のひとつ、今が旬といってもいいだろう。
また、小柴でサルエビがとれているということは、東京湾はまだ健全さを完全に失っていない証拠でもある。

決して生の部分があってはならない


さて、持ち帰ったサルエビは剥き身にするか、ゆでてしまうか、だ。今回は少量を剥き身にしてあとはゆでてしまう。塩ゆでは本種の味がもっとも明確にわかる料理である。
さて、ざっとザルなどに入れて洗い、水分をきる。
鍋にたっぷりの水を沸かして多めの塩を入れる。
沸騰したところで5分前後ゆでる。
エビは半生ではなく完全に火を通した方がおいしい。
非常に生に近いゆで方をする今流のすし屋のやり方では、時間が経つと水が出るし、臭味も出る。
さて茹で上がりをザルに取り、氷で冷やした水をかけ回して粗熱を取る。
タオルなどに上に置いて完全に水分をとれば出来上がりである。

内子とみそが一緒に味わえる


ゆでたエビ(サルエビほか)は、愛知県三河の方曰く、昔は子供が夢中になる、おやつであったという。高度成長期に、じょじょに新しいお菓子が手に入るようになっても、人気が落ちることはなかったという。
それほど甘味があり、エビの風味が高い。
朝なので凍頂烏龍茶を飲み、飲み、ほの温かいのを夢中になって頬張る。


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