江の安漁場、ワタルさんの「わかし」と夏野菜煮

疲れているとき、わかしと夏野菜で元気になりたい

ワカシの煮つけ

「わかし」からにじみ出たうま味だけで夏野菜を煮たもので、2日間かけて食べる。
本来は捨ててしまう尾鰭と尾柄部(尾鰭のつけ根)、かま(胸鰭まわり)から非常に味わい深いだしが出てくる。
尾にもかまにもたっぷり身があってほどよく締まり、調味料と調和して甘い。
「わかし」のうま味を吸い取った夏野菜がうまいのは当たり前である。
ぎょうさん作ってこつこつ食べるのが煮つけというものの本来の形である。
ボクはこのような平凡な料理が好きで、昔々から平凡を研究している。
あたらめて、紹介させてもらうと、ボクは「け」の研究家なのである。

夏の「わかし」に、夏野菜が合う

ワカシ,夏野菜

神奈川県小田原市、小田原魚市場、江ノ浦沖、江の安漁場日渉丸、ワタルさんに体長25cm・250g前後の「わかし」を分けていただく。
もちろんしっかり締めて血抜き済みである。
6月7日には体長17cm・90g前後だったものが、1ヶ月経った7月4日には重さで2倍以上に成長している。
相模湾は「わかし釣り」の時季を迎えている。
以上は前回も書いた。

刺身にする部分とかま、尾を分けた。
これを湯通しして冷水に取り、表面のぬめりを流す。
このかまと尾を、神奈川県秦野市の直売所、秦野じばさんずで買った、なす、赤・青つるむらさき、マダケを煮た。

マダケは米糠と一緒に1時間くらいゆでる。
7月ものなので茹で上がったら節の部分を切り取り、柔らかい部分だけにする。
なすは切って水に放つ。
つるむらさきは適当に切る。

あとは酒・みりん・醤油・水の中でことことと煮る。
好みで差し昆布(小さな昆布を一緒に煮る)をしてもいい。
最初は「わかし」、煮染まってきたらマダケ、なすを加え、終いにつるむらさきを加える。

小太り、小振りのわかしも末はブリになる


ブリは北海道から九州までの沿岸域を回遊している。
体長1m以上になる大型魚で、成長にともなって名前が変わる出世魚である。
相模湾では、「わかし」、「いなだ」、「わらさ」、「ぶり」と出世する。
東京(江戸)では古くから小田原で揚がるブリを珍重し、「小田原ぶり」という呼び名まであった。


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