ショウサイフグ(Globefish, Blowfish, Puffer)

Scientific Name / Takifugu snyderi (Abe, 1989)

ショウサイフグの形態写真

体長30cmを越える。全身に棘がない。胸びれの周辺には大きな斑紋はない、斑紋があっても分割されている。
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体長30cmを越える。全身に棘がない。胸びれの周辺には大きな斑紋はない、斑紋があっても分割されている。胸鰭後方にある濃い黒褐色の斑紋はいくつかに分断する。背の部分の模様は白地に不定形の褐色の斑紋を持つ。体側の下部に尾鰭から頭部に続く皮褶(ひしゅう/皮と皮の合わせ目のような部分で盛り上がる)がある。
  • 魚貝の物知り度 食べ物としての重要度 味の評価度

    ★★★★

    知っていたら達人級

    ★★★

    一般的(流通量は多くも少なくもない)

    ★★★★

    非常に美味
    分類
    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系フグ目フグ亜目フグ科トラフグ属
    外国名
    Globefish, Blowfish, Puffer
    学名
    Takifugu snyderi (Abe, 1989)
    漢字・学名由来
    漢字 潮際河豚、潮前河豚
    由来・語源 もとは東京、江ノ島、大阪などでの呼び名。意味由来は不明だが、このように細かな斑文のあるコモンフグも「しょうさいふぐ」という地域があり、波の崩れる様を思わせるためか?
    ショオサイフグとも書く。
    Abe
    阿部宗明(あべ ときはる Abe Tokiharu 1911-1996)。魚類学者。田中茂穂の後継者。多くの魚を記載。国内だけではなく、「新顔の魚」にて輸入、海外で漁獲される魚の魚名も多数つけている。
    地方名・市場名 [?]
    コマル
    サイズ / 時期小型 場所福岡県福岡市中央卸売市場 
    ダイコン[大根]
    サイズ / 時期大型 場所福岡県福岡市中央卸売市場 
    ナゴヤフグ[名古屋河豚] ナゴヤ[名古屋]
    備考ナゴヤ、ナゴヤブクとも呼ぶ地域は多そう。これは「尾張名古屋は城でもつ」の「尾張」を「身の終わり=死」にかけたもの。また名古屋は「美濃尾張(身の終わり)」にも通じる。 場所愛媛県松山・伊予市・川之江 
    メアカ
    場所徳島県海部郡海陽町『宍喰漁業協同組合』 
    オキナコモンフグ
    サイズ / 時期大型 備考田中茂穂は大型のショウサイフグを「オキナコモンフグ」としていたことがあるとも。やはりコモンフグとの混同は現在市場などでも見かける。 
    アオシバ イソフグ カマヤフグ ガンバ ガンバチ ゴマフグ コメフグ シオサイフグ シホサエフグ シワフグ スズメフグ チャンフグト チンチンブク ドクフグ フク フクツトウ フクト フグト フグトン マガンバ マフグ マメフグ モフグ モブク
    参考文献より。 
    生息域
    海水魚。
    津軽海峡〜九州長崎県の日本海・東シナ海沿岸、津軽海峡〜九州南岸の太平洋沿岸。朝鮮半島南岸・東岸。
    生態
    産卵期は梅雨時から初夏。
    基本情報
    値段の安い庶民的な中型フグといったもの。関東には春に大量に入荷がある。
    関東ではトラフグよりもヒガンフグや本種の方が多かったのではないか、と思われる。
    江戸時代前期、松尾芭蕉の俳句にある「ふくと汁」は本種の可能性が強く、しかも「みそ汁」であっただろう。現在でもそうだが、下町などでは「なごやふぐ(ショウサイフグ)」の鍋は手軽な値段から親しまれている。
    値段はトラフグを頂点として、マフグ、ヒガンフグ(「アカメフグ」)があり、この下にショウサイフグがくる。
    またサバフグはよく干物などの加工原料になり、市場でもよく見かけるが、本種は値段的に加工に回ることは少ない。
    スーパー、魚屋など小売り店で見かけることはほとんどない。
    水産基本情報
    市場での評価 フグ類では安い。秋口から春までまとまって入荷してくる。
    漁法 底引網、定置網
    主な産地
    選び方
    触って硬いもの。身に張りのあるもの。
    味わい
    旬は秋から春。
    鱗と皮は一枚の布状で力は要するがはぎ取れる。骨はあまり硬くない。
    透明感のある白身で白濁しやすい。熱を通しても硬く締まらない。
    毒性 卵巣、肝臓は猛毒、皮膚と腸は強毒、筋肉は弱毒、精巣は無毒。個人の責任で食べるなら頭を落として身だけを食べるのが無難。
    フグの調理は一般人は原則的に行なわないこと。調理するときには自己責任で
    栄養
    寄生虫
    食べ方・料理法・作り方
    汁(鍋もの、みそ汁、潮汁)、煮る(煮つけ、魚すき)、生食(刺身、焼霜造り、霜皮造り)、焼く(ポン酢焼き、幽庵焼き、干もの)、揚げる(唐揚げ)
    フグの調理は一般人は原則的に行なわないこと。調理するときには自己責任で

    ショウサイフグのちり鍋ショウサイフグのちり鍋 ショウサイフグの鍋は東京下町などで食べられるもの。トラフグと違って庶民的な値段で、しかも味がいい。フグ調理師のいる魚屋なら、鍋用に下ろしてもらえる。昆布だしに酒、塩で味つけし、野菜、豆腐などと合わせて煮ながら食べるのだが、贅沢な味わいとなる。
    ショウサイフグの潮汁 ショウサイフグは水洗い(毒の除去)し、皮を引き、頭部などの脳みそなどを洗い流す。これをさっと湯引きして冷水に取り、水分をよく切る。鮮度のいいものは湯引きは不要。これを昆布だし、もしくはカツオ節だしで煮だして「塩、酒」もしくは「塩、酒、しょうゆ」で味つけする。さっぱりした口当たりながら、味に奥行きがある。非常に美味。
    ショウサイフグの煮つけ 水洗いして毒を除去。ぶつ切りを酒、みりん、しょうゆでこってり甘辛く煮つけたもの。古い物は湯通しした方がきれいに仕上がる。ここではしょうがではなく鷹の爪(赤唐辛子)を使っている。煮ても硬く締まりすぎずとてもおいしい。
    ショウサイフグの薄造りショウサイフグの薄造り 活魚をしめて水洗いし(毒の除去)、三枚に下ろしてペーパータオルに包み、一日寝かせる。これを薄く造る。一日寝かせて水分を抜き、やや締まったものは食感も楽しめ、上品な甘味も感じられておいしい。
    ショウサイフグのたたきたたき たたきは小振りのショウサイフグを三枚に下ろして表面をあぶって、冷水に取り、水分を切り、辛子酢味噌(からしすみそ)で食べる。刺身よりも、個人的には湯引きや、表面をあぶったものが好きだ。
    ショウサイフグの湯引き湯引き 水洗い(毒を除去)し、皮を引き三枚に下ろす。これを軽く湯引き、氷水に落としてよく水分を切る。冷蔵庫などで少し寝かせてもいい。これをたた大振りに切る。柑橘酢(ポン酢)で食べる。香辛野菜、季節の野菜などと合わせて美味。
    ショウサイフグの唐揚げショウサイフグの唐揚げ おしなべてフグ類は水分が多く、熱を通すと締まる。唐揚げにして驚くほど美味である。水洗いして皮を剥き、適宜に切り、片栗粉をまぶしてじっくりと揚げる。揚げたてに塩コショウする。
    ショウサイフグのムニエルショウサイフグのムニエル 水洗い・皮を剥き(毒の除去)し、三枚に下ろす。これを1日以上寝かせる。塩コショウして、小麦粉をまぶしてじっくりとソテー。仕上げ煮バターで香りづけする。身を取り出して白ワイン少々でデグラッセしてソースにする。
    好んで食べる地域・名物料理
    加工品・名産品
    干物などになる
    釣り情報
    東京湾、千葉県外房などでのフグ釣りの対象は本種である。いかり状のカットウバリに青柳(バカガイ)などをつけてしゃくる。釣れたものは最後にフグ調理師の免許を持った船頭さんなどがさばいて毒を除去してくれる。この釣りは千葉県大原から始まった。
    歴史・ことわざ・雑学など
    参考文献・協力
    『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『広辞苑』、『魚と貝の事典』(望月賢二 柏書房)、『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『魚』(1940 田中茂穂 創元社)
  • 主食材として「ショウサイフグ」を使用したレシピ一覧

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