ショウサイフグ

Scientific Name / Takifugu snyderi (Abe, 1989)

ショウサイフグの形態写真

30cm SL 前後になる。断面が丸く体表に棘がなく円滑。背の部分に褐色、もしくは黒い不定形の斑紋がある。側線がある。胸鰭後方に比較的大きな斑紋が、集まっている部分がある。体側の下部に尾鰭から頭部に続く皮褶(ひしゅう/皮と皮の合わせ目のような部分で盛り上がる)がある。[18cm SL ・147g]
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30cm SL 前後になる。断面が丸く体表に棘がなく円滑。背の部分に褐色、もしくは黒い不定形の斑紋がある。側線がある。胸鰭後方に比較的大きな斑紋が、集まっている部分がある。体側の下部に尾鰭から頭部に続く皮褶(ひしゅう/皮と皮の合わせ目のような部分で盛り上がる)がある。[18cm SL ・147g]30cm SL 前後になる。断面が丸く体表に棘がなく円滑。背の部分に褐色、もしくは黒い不定形の斑紋がある。側線がある。胸鰭後方に比較的大きな斑紋が、集まっている部分がある。体側の下部に尾鰭から頭部に続く皮褶(ひしゅう/皮と皮の合わせ目のような部分で盛り上がる)がある。体表に棘がなく円滑。体側の下部に尾鰭から頭部に続く皮褶(ひしゅう/皮と皮の合わせ目のような部分で盛り上がる)がある。胸鰭後方にある濃い黒褐色の斑紋はいくつかに分断する(比較的大きな斑紋が、集まっている部分がある)。背の部分の模様は白地に不定形の褐色の斑紋を持つ。胸鰭後方にある濃い黒褐色の斑紋はいくつかに分断する(比較的大きな斑紋が、集まっている部分がある)。背の部分の模様は白地に不定形の褐色の斑紋を持つ。胸鰭後方にある濃い黒褐色の斑紋はいくつかに分断する(比較的大きな斑紋が、集まっている部分がある)。背の部分の模様は白地に不定形の褐色の斑紋を持つ。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★★
      がんばって探せば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★★
      一般的(流通量は普通)
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系フグ目フグ亜目フグ科トラフグ属

    外国名

    学名

    Takifugu snyderi (Abe, 1989)

    漢字・学名由来

    漢字 潮際河豚、潮前河豚 Standard Japanese name / Shousaifugu
    由来・語源 もとは千葉県(安房)、東京、江ノ島、大阪などでの呼び名。
    『魚鑑』、『物類称呼』などに「しほさい」、「しヲさい」があり、体の模様が潮騒を思わせるからだ。ショオサイフグとも書く。
    〈TETRODON vermicularis, Schleg. マフグ 渡島江差、同 東京市場、同 東京市場、志ほさいふぐ 安房、まふぐ 函館〉『帝国博物館天産部魚類標本目録.帝国博物館』(石川千代松・松浦歓一郎 1897/明治30年)
    「ふぐ」の語源
    〈関西では「ふく」と言い、「ふくと」、「ふくべ」とも言う〉『最近俳句歳時記 冬』(山本健吉 文藝春秋 1972)
    体を膨らませて海水を吸い込み、吐き出して泥などに隠れているゴカイなどを見つけるので、「吹く」。
    体が「ふくべ(瓢箪)」のような形をしているため。
    Abe
    阿部宗明(あべ ときはる Abe Tokiharu 1911-1996)。魚類学者。田中茂穂の後継者。多くの魚を記載。国内だけではなく、「新顔の魚」にて輸入、海外で漁獲される魚の魚名も多数つけている。

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。
    津軽海峡〜[兵庫県浜坂]・九州長崎県の日本海・東シナ海沿岸、津軽海峡〜九州南岸の太平洋沿岸。
    朝鮮半島南岸・東岸、東シナ海。

    生態

    産卵期は梅雨時から初夏。

    基本情報

    値段の安い庶民的な中型フグといったもの。関東では春に大量入荷がある。
    関東では皮に棘のあるトラフグよりもヒガンフグや本種の方が多かったはずだ、と思われる。江戸時代前期、松尾芭蕉の俳句にある「ふくと汁」は本種の可能性が強く、しかも「みそ汁」であっただろう。現在でもそうだが、下町などでは「なごやふぐ(ショウサイフグ)」の鍋は手軽な値段から親しまれている。
    本種は手頃な値段でみがいて(毒の除去)さえいれば、一般家庭でも気軽に楽しめるものだ。値段はトラフグを頂点として、カラス(がとら)、マフグ、ヒガンフグ(「アカメフグ」)があり、この下にショウサイフグ、サバフグ類(シロサバフグ、クロサバフグ)がくる。
    またサバフグはよく干物などの加工原料になり、市場でもよく見かけるが、本種は値段的に加工に回ることは少ない。
    スーパー、魚屋など小売り店で見かけることはほとんどない。
    珍魚度 流通量は決して少なくないが、購入できるのは地方自治体のフグ取り扱い免許のある人間だけ。食用としては少し探せば手に入る。

    水産基本情報

    市場での評価 フグ類では安い。秋口から春までまとまって入荷してくる。
    関東以北三陸周辺までの海域でゴマフグとの交雑種が多くみられる。毒性は不明なので要注意。
    漁法 底引網、定置網
    主な産地 千葉県、茨城県


    雑種 ゴマフグとの交雑固体。胸鰭の後ろに分割化された褐色斑があり、臀鰭が黄色い。流通上では珍しいものではない気がする。三陸はともかく茨城県、千葉県からも入荷する関東でも珍しいものではないように思う。日本海に多いゴマフグが、ショウサイフグの生息域である太平洋側にも生息域を広げて交雑、三陸などで増えている模様。写真は産地不明。詳しい毒性は不明。[24cm SL ・364g] 下関のふく通信No.7(下関のふく共同研究機関/水産大学校:高橋洋)


    ショウサイフグ 胸鰭の後ろに分割化した褐色の斑紋があり、体の背の部分の斑紋はあまり小さくない。臀鰭が白。


    ゴマフグ 体の背の部分に散らばる斑紋が円形、もしくは楕円形で細かく、臀鰭が黄色い。


    ショウサイフグとコモンフグ 2種は同じ海域で揚がり非常に似ている。毒性が違うので危険である。模様などは瓜二つである。ショウサイフグは表面に棘がなく、コモンフグは体表に棘があるので、触って混同する可能性は低い。

    選び方

    野締めよりも活け締めを選ぶべき。死ぬとすぐに筋肉の弾力がなくなり、身色がくもる。触って硬いもの。身に張りのあるもの。

    味わい

    旬は秋から春。
    鱗と皮は一枚の布状で力は要するがはぎ取れる。骨はあまり硬くない。
    透明感のある白身で白濁しやすい。熱を通しても硬く締まらない。
    鮮度がいいものは気にしなくていいが、普通に流通してきたものは水分をよくとってから料理する。
    フグの調理は一般人は原則的に行なわないこと。調理するときには自己責任で

    栄養

    危険性など

    肝・卵巣・皮・腸などは有毒。精巣と筋肉は弱毒だが食用化。

    毒性 卵巣、肝臓は猛毒、皮膚と腸は強毒、筋肉は弱毒、精巣は無毒。個人の責任で食べるなら頭を落として身(筋肉)だけを食べるのが無難。フグの調理は一般人は原則的に行なわないこと。

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ショウサイフグの料理法・レシピ・食べ方/煮る(鍋、煮つけ、魚すき)、汁(みそ汁、潮汁)、生食(刺身、焼霜造り、霜皮造り)、焼く(ポン酢焼き、幽庵焼き、干もの)、揚げる(唐揚げ、天ぷら、フライ)、ソテー(ムニエル)

    ショウサイフグの韓国風鍋 水洗いして毒を除去。筋肉だけにする。これをペーパータオルなどにくるんで一晩寝かせる。適当に切り、振り塩をして表面に出て来た水分を拭き取る。湯通しして冷水に落として霜降りにし、水分をよくきる。鍋にだし(煮干しだし・酒・塩。だしはなんでもよくダシダを使ってもいい)。野菜などを用意し、煮ながら食べる。唐辛子は韓国産を使ったが、必ずしもいれなくていい。このまま汁と一緒に食べるが、もの足りなければ醤油やポン酢で。

    ショウサイフグの魚醬鍋 ここで使ったのは石川県の「いしる」だが、ナンプラーでも秋田の「しょっつる」でもいい。水洗いしてペーパータオルなどにくるんで半日以上寝かせる。適当にきり振り塩をして表面に出て来た水分を拭き取り、湯通しして冷水に落とし霜降りに。水分をよくきり、水・魚醬・酒を合わせた中で煮る。野菜は季節のものを使うといい。秋などナスがとても合う。
    ショウサイフグのちり鍋ショウサイフグのちり鍋 ショウサイフグの鍋は東京下町などで食べられるもの。トラフグと違って庶民的な値段で、しかも味がいい。フグ調理師のいる魚屋なら、鍋用に下ろしてもらえる。昆布だしに酒、塩で味つけし、野菜、豆腐などと合わせて煮ながら食べるのだが、贅沢な味わいとなる。

    ショウサイフグの煮つけ 水洗いして毒を除去。ペーパータオルなどに来るんで半日以上寝かせる。ぶつ切りにして振り塩をして酒・砂糖・しょうゆ・水で甘辛く煮つけたもの。味付けはお好みで。古い物は湯通しした方がきれいに仕上がる。ここではしょうがではなく鷹の爪(赤唐辛子)を使っている。煮ても硬く締まりすぎずとてもおいしい。
    ショウサイフグの醤油汁 水洗い(毒の除去)し、ペーパータオルなどに来るんで半日以上寝かせる。適当に切り振り塩をし、表面に出て来た水分を拭き取る。これをさっと湯通しして冷水に取り、水分をよく切る。鮮度のいいものは湯引きは不要。これを昆布だし・醤油・酒で煮る。
    ショウサイフグのみそ汁 水洗いして水分をていねいにとる。できればペーパータオルにくるんで半日以上寝かせたいが、そこまでする必要はないかも。適当に切り、湯通しして冷水に落として霜降りにする。水分をよくきり水から煮出してみそを溶く。
    ショウサイフグの薄造りショウサイフグの薄造り 活魚をしめて水洗いし(毒の除去)、三枚に下ろしてペーパータオルに包み、一日寝かせる。これを薄く造る。脂の甘味ではなく筋肉ないのうま味成分からくる甘味が舌に感じられ、ほどよい食感が心地よい。この食感は厚みによって変わるので、様々な厚みを試すといい。
    ショウサイフグのあぶり(焼霜造) 水洗いして毒を除去。三枚に下ろして腹骨・血合い骨を取る。皮目をバーナーであぶって氷水に落とし水をていねいにとる。
    ショウサイフグの湯引き 水洗い(毒を除去)し、皮を引き三枚に下ろす。これを軽く湯引き、氷水に落としてよく水分を切る。冷蔵庫などで少し寝かせてもいい。これをたた大振りに切る。柑橘酢(ポン酢)で食べる。香辛野菜、季節の野菜などと合わせて美味。
    ショウサイフグの網焼きポン酢 水洗いして毒を除去。ペーパータオルなどにくるみ半日以上寝かせる。これを焼きやすい大きさにきる。これを炭火で焼き、ポン酢に落とす。季節の野菜などと一緒に食べる。
    ショウサイフグのみりん干し 小さな個体を水洗いして毒を除去する。水分をよくきり、醤油・砂糖・みりんの地に半日つけ込んで干し上げる。焼きやすいように半割にして焼き上げる。干すのと焼くので身が締まってとても味わい部貝。気軽に手で摘まんで食べて欲しい。
    ショウサイフグの唐揚げショウサイフグの唐揚げ 水洗いして水分をよくきる。ペーパータオルにくるんで半日くらい寝かせる。(揚げ物は必ずしも寝かせなくてもいい)食べやすい大きさに切る。片栗粉をつけてじっくりと揚げる。身が鶏肉のように締まり、ほどよく繊維質。ほんのり甘味がある。
    ショウサイフグのフライ 水洗いして毒を除去する。三枚に下ろして腹骨を取る。水分をよくきり、小型はこのままでいいが、大型は切れ目を入れて少し平たくする。ペーパータオルにくるんで半日以上寝かせる。(揚げ物は必ずしも寝かせなくてもいい)塩・コショウして小麦粉をまぶし、溶き卵に潜らせてパン粉をつけて高温で短時間揚げる。あまり揚げすぎると硬くなる。食感は鶏肉に近くて、魚らしいうま味が堪能できる。
    ショウサイフグの天ぷら 水洗いして毒を除去する。三枚に下ろして腹骨を取り、身に切れ目を入れるこれをペーパータオルにくるんで半日以上寝かせる。(揚げ物は必ずしも寝かせなくてもいい)振り塩をして表面に出て来た水分をよくきり、衣をつけて高温で短時間揚げる。フライよりも本種の持ち味がよくわかると思う。ほどよく口の中でほぐれて甘味がある。
    ショウサイフグのエスカベッシュ 小型魚を使う。水洗いして毒を除去。三枚に下ろしてペーパータオルなどにくるんで半日以上寝かせる(揚げ物は必ずしも寝かせなくてもいい)。食べやすい大きさに切り、片栗粉をまぶしてかりっと揚げる。揚げたてをマリネ液に浸す。マリネ液は白ワインビネガー・溶かしたハーブブイヨン・白ワイン・白糖を合わせて一煮立ちさせたもの。これに粒コショウ、季節の野菜を加えたもの。半日以上寝かせると出来上がる。
    ショウサイフグのムニエル 水洗い・皮を剥き(毒の除去)し、三枚に下ろす。これを1日以上寝かせる。塩コショウして、小麦粉をまぶしてじっくりとソテー。仕上げ煮バターで香りづけする。身を取り出して白ワイン少々でデグラッセしてソースにする。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    干物などになる

    釣り情報

    東京湾、千葉県外房などでのフグ釣りの対象は本種である。いかり状のカットウバリに青柳(バカガイ)などをつけてしゃくる。釣れたものは最後にフグ調理師の免許を持った船頭さんなどがさばいて毒を除去してくれる。この釣りは千葉県大原から始まった。

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    『日本産魚類検索 全種の同定 第二版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『広辞苑』、『魚と貝の事典』(望月賢二 柏書房)、『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)、『魚』(1940 田中茂穂 創元社)、下関のふく通信No.7(下関のふく共同研究機関/水産大学校:高橋洋)

    地方名・市場名

    サバフグ
    場所三重県志摩市和具 参考日比野友亮さん/和具の方言 
    カマヤフグ
    場所三重県鳥羽 参考文献 
    アオシバ
    場所千葉県 参考文献 
    コガネフグ
    場所和歌山県新宮 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    シオサイフグ シホサエフグ
    場所和歌山県白崎・塩屋・田辺・和深・太地 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 
    フグトン
    場所和歌山県雑賀崎・白浜 参考文献 
    フグト
    場所和歌山県雑賀崎・白浜、鹿児島 参考文献 
    マフク
    場所富山県、熊本県 参考文献 
    フク
    場所富山県滑川、山口県小野田、高知、熊本 参考文献 
    チンチンブク
    場所島根県 参考文献 
    ノゴヤフグ ナボヤフグ ナメタフグ
    場所島根県西部 参考島根県水産技術センター 
    ナメタレ
    場所島根県隠岐 参考島根県水産技術センター 
    マメフグ
    場所新潟 参考文献 
    スズメフグ
    場所新潟、福岡県柳河、熊本、有明海 参考文献 
    フグ
    場所新潟県新発田、福島県小名浜、熊本 参考文献 
    ゴマフグ
    場所東京 参考文献 
    ショウサイフグ ショオサイフグ シヨオサイフグ
    場所東京、神奈川県江ノ島、大阪 備考ショウサイフグは標準和名。 参考文献、聞取 
    ススメフグ
    場所熊本 参考文献 
    マフグ
    場所福島県小名浜、富山県、東京、有明海 参考文献 
    コメフグ
    場所秋田県象潟 参考文献 
    コムギネヂ
    場所紀州 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929)・水族志 
    ガンバ ガンバチ ドクフグ マガンバ
    場所長崎 参考文献 
    イソフグ
    場所長崎県壱岐 参考文献 
    チーフグ チーブク
    場所長崎県雲仙市小浜 参考佐藤厚さん 
    シワフグ
    場所香川県高松市雄雌島 参考文献 
    フクト
    場所高知県浦戸・柏島、長崎県壱岐 参考文献 
    フクツトオ
    場所高知県高知市浦戸 参考文献 
    チャンフグト
    場所鹿児島県 参考文献 
    コマル サイズ / 時期小型 
    ダイコン[大根] サイズ / 時期大型 
    場所福岡県福岡市中央卸売市場 備考コマル(小型)→ダイコン[大根](大型)。 
    ナゴヤフグ[名古屋河豚] ナゴヤ[名古屋]
    場所神奈川県三崎、大阪府岸和田、島根県浜田、愛媛県松山・伊予市・川之江・宇和島 備考ナゴヤ、ナゴヤブクとも呼ぶ地域は多そう。これは「尾張名古屋は城でもつ」の「尾張」を「身の終わり=死」にかけたもの。また名古屋は「美濃尾張(身の終わり)」にも通じる。 
    メアカ
    場所徳島県海部郡海陽町『宍喰漁業協同組合』 
    モフグ モブク
    場所福井 参考文献 
    オキナコモンフグ
    サイズ / 時期大型 備考田中茂穂は大型のショウサイフグを「オキナコモンフグ」としていたことがあるとも。やはりコモンフグとの混同は現在市場などでも見かける。 
  • 主食材として「ショウサイフグ」を使用したレシピ一覧

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