コモンフグ

Scientific Name / Takifugu flavipterus Matsuura 2017

コモンフグの形態写真

体長25cm前後になる。斑文は白く丸味があり、くっきりしている。吻と頬の周辺を除き腹部・背側に小さな棘があるが頭部から尾にかけてなぞってもわからないほどに小さい。尾から頭部にかけて指でなぞると棘の存在がわかる。尻鰭は淡い黄色。体の背面後方の斑紋は円形に近い。
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体長25cm前後になる。斑文は白く丸味があり、くっきりしている。吻と頬の周辺を除き腹部・背側に小さな棘があるが頭部から尾にかけてなぞってもわからないほどに小さい。尾から頭部にかけて指でなぞると棘の存在がわかる。尻鰭は淡い黄色。体の背面後方の斑紋は円形に近い。体の背面後方の斑紋は円形に近い。背の部分の斑紋は褐色の地に白い比較的円形に近い斑紋が浮かぶ。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★★
      がんばって探せば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★★
      一般的(流通量は普通)
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系フグ目フグ亜目フグ科トラフグ属

    外国名

    Fine Patterned Puffer
    言語英語 備考fishbase 
    Globefish Blowfish Puffer

    学名

    Takifugu flavipterus Matsuura 2017

    漢字・学名由来

    漢字 小紋河豚 Komonfugu
    由来・語源 型染めの「小紋柄」に似て一定の斑紋があるため。
    〈癒顎族裸歯類マフグ科マフグ屬 コモンフグ Sphaeroides alboplumbeus (RICHARDSON)〉。『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)
    Takifugu poecilonotus (Temminck & Schlegel, 1850)→Takifugu flavipterus Matsuura 2017
    Matsubara
    松原喜代松(Matsubara Kiyomatu 兵庫県現宝塚市 1907-1968)。1932年、坂本喜代松(Sakamoto)から婿養子になり松原喜代松に改名。水産講習所(後の東京海洋大学)に入学。京都大学初代農学部水産学科教授。『日本産魚類検索』、『魚類の形態と検索』など魚類学史上重要な著書を多く残す。

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。沿岸域。
    北海道〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸、北海道南西部〜九州南岸の太平洋沿岸、瀬戸内海、有明海。
    朝鮮半島東岸・南岸・南部西岸、済州島、台湾、香港。

    生態

    基本情報

    フグ科トラフグ属の小型のフグである。有毒なので可食部などは別項を見て欲しい。琉球列島をのぞく、国内各地に生息しているが瀬戸内海、有明海など西日本での水揚げが多い。
    見た目がショウサイフグやナシフグに似ているので、普通の人間が同定するのは難しいと思われる。
    おいしい種の多いトラフグ属の中でも取り分け味がいい。
    珍魚度 珍しい魚ではない。ただ同定(見分け方)が難しく、本種を本種として売り買いの対象としている地域が少ない。フグの知識がないと手に入らない。

    水産基本情報

    市場での評価 入荷は少ない。やや高値。
    漁法 定置網
    主な産地

    ショウサイフグ(上)とコモンフグ(下) 2種は同じ海域で揚がり非常に似ている。毒性が違うので危険である。模様などは瓜二つである。ショウサイフグは表面に棘がなく、コモンフグは体表に棘があるので、触って混同する可能性は低い。

    選び方

    触って硬いもの。斑文がくっきりしているもの。

    味わい

    旬は秋から冬。
    鱗は皮と一体化して力はいるが剥がせる。骨はあまり硬くはない。透明感のある白身で白濁しやすい。熱を通すとやや硬く締まる。食用になるのは筋肉だけ。
    フグの調理は一般人は原則的に行なわないこと。調理するときには自己責任で

    栄養

    危険性など

    肝臓、卵巣は猛毒。精巣、皮膚、腸は強毒。筋肉は弱毒。
    食用となるのは筋肉のみ。

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    コモンフグの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、焼霜造り)、揚げる(唐揚げ)、煮る(鍋、煮つけ)、焼く(みそ漬け、幽庵焼き)汁(みそ汁)、煮る(煮つけ)
    コモンフグの刺身 おいしいトラフグ属の中でも味がいい種の筆頭格である。これで大型ならトラフグ以上かも知れない。
    水洗いして毒を除去する。可食部分は筋肉のみなので要注意。三枚に下ろして、ペーパータオルにくるんで一日寝かせる。活魚の場合には数日寝かせてもいい。薄皮を引き薄造りにする。ねぎと柑橘しょうゆ、もしくはポン酢で食べる。
    薄く造っても程よい食感があり、時間が経てばうま味が増してくる。うま味が口の中でだれない。

    コモンフグの焼霜造り フグの刺身はやや単調に感じるときがある。そのせいかフグを連続的に食べたいと思わない。こんな単調なとき、味の変化するなら表面をあぶって作るといい。刺身同様に寝かせる。薄皮付きのまま表面をあぶり、氷水に落とす。水分をよくきりやや薄めに造る。
    コモンフグの唐揚げ 水洗いし、毒の除去をする。骨と筋肉だけになったら適当に切り、水分をていねいにのぞく。片栗粉をまぶしてじっくり二度揚げにする。揚げると身が締まり、食感は鶏肉のようになる。香ばしい中に、身自体にもうま味があり、実に味わい深い。
    コモンフグのちり鍋 水洗いして皮・鰭などもすべて取り除き、骨と筋肉だけにする。筋肉部分をぶつ切りにして、湯通しして霜降りにし、水分をよくきる。これを昆布だし・塩・酒の中で煮ながら食べる。味つけは好みでいいが、この単純な鍋つゆの中で煮て食べると味わいが映える。
    コモンフグの煮つけ 水洗いして骨と筋肉だけにする。水分をていねいに取る。これをぶつ切りにして湯通しする。霜降りにして冷水に取り、水分をよく切る。これを酒・みりん・醤油・水・鷹の爪(しょうがでも)の中であっさり煮る。レモンや柚子を絞り込んでもうまい。
    コモンフグのみそ漬け 水洗いして鰭も皮も内臓も除去。骨と身だけにする。愛媛県産の甘めの麦みそとみりんを合わせた地に一日漬け込んで焼き上げる。みそで漬け込むことで適度に身が締まり、焼き上げるとみその味わいと相まってとてもおいしい。
    コモンフグのみそ汁 水洗いして皮や鰭、内臓などを除去する。これを適当に切る。刺身にしたときのアラを使ってもいい。水分をよくきり、水から煮出してみそを溶く。もの足りなかったら、酒やだしの素や味の素を加えてもいい。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/田中水産(鹿児島県鹿児島市 ■http://tanakasuisan-kagoshima.com/) 長山商店(宮城県気仙沼市)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『魚と貝の事典』(望月賢二 柏書房)、『日本近海産フグ類の鑑別と毒性』(厚生省生活衛生局乳肉衛生課 中央法規出版)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)

    地方名・市場名

    フグト フグトン
    場所和歌山県雑賀崎・白浜 参考文献 
    メアカフグ
    場所宮城県 参考文献 
    コメフグ
    場所富山県新湊・東岩瀬 参考文献 
    ギンフグ
    場所広島県佐伯郡・賀茂郡(広島市、廿日市市、東広島市周辺) 参考文献 
    イトフグ
    場所徳島県北灘 参考聞取 
    ギシフグ
    場所愛媛県川之江 参考文献 
    ガンバ
    場所有明海 参考文献 
    ナヅフグ
    場所松島 参考文献 
    ヒガンフグ
    場所神奈川県三崎 参考文献 
    コモンフグ
    場所福岡県玄海・志賀島 参考文献 
    ホシフグト
    場所鹿児島 参考文献 
    ナゴヤフグ ナゴヤ
    場所広島県広島中央市場、愛媛県松山市・四国中央市(川之江市) 
    モフグ
    参考文献 
  • 主食材として「コモンフグ」を使用したレシピ一覧

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