SL 35 cm前後になる。紡錘形で体高はあまり高くない。背面の小さな棘は頭部から背鰭起部近くまで達しない。腹部にも短いが強い棘が無数に散らばる。鰓孔は黒くない。尾鰭は二重湾入形。全体に黒っぽい。尾も黒く上下にはっきりとした白い部分がある。[28cm SL ・0.463kg]
クロサバフグの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★
美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系フグ目フグ科サバフグ属外国名
学名
Lagocephalus cheesemanii (Clarke 1897)漢字・学名由来
漢字 黒鯖河豚 kurosabafugu
由来・語源 サバフグは長崎県、和歌山県などの呼び名。サバのように群れを作るため、もしくは色合いから。
古くはシロサバフグと一緒に単に〈サバフグ Sphaeroides spadiceus (Richardson, 1845) /シノニム→Lagocephalus lunaris spadiceus (Richardson, 1845) /シノニム〉 だった。後に2種であることがわかり、全体が黒っぽいクロサバフグ(cheesemanii)と白いシロサバフグ(spadiceus)に分かれる。
本和名は比較的新しく、阿部宗明、多部田修(?)の命名である可能性が高い。『日本産魚類大図鑑』(益田一、荒賀忠一、尼岡邦夫、上野輝弥彌、吉野哲夫 東海大学出版会 1984)に初出である可能性がある。
Lagocephalus gloveri Abe and Tabeta,1983→Lagocephalus cheesemanii (Clarke 1897)Abe
阿部宗明(あべ ときはる Abe Tokiharu 1911-1996)。魚類学者。田中茂穂の後継者。多くの魚を記載。国内だけではなく、「新顔の魚」にて輸入、海外で漁獲される魚の魚名も多数つけている。地方名・市場名
生息域
海水魚。
北海道〜九州南岸の太平洋沿岸、富山湾魚津、能登半島、福岡県津屋崎、東シナ海。
渤海、黄海、朝鮮半島南西岸・南岸、済州島、台湾、中国東シナ海・南シナ海沿岸、大スンダ列島、小スンダ列島南岸。生態
東シナ海では4月〜5月に産卵。基本情報
日本各地で水揚げがある。シロサバフグと生息域が重なり、同じように水揚げされる。ときどき大発生して産地を悩ませる。
日本各地で水揚げがあるもののドクサバフグに似ているために、まとまらないと廃棄されることも多く、流通の場ではあまり見かけない。シロサバフグ同様に美味な魚である。水産基本情報
選び方
ー味わい
旬は秋から冬。
背面の皮、腹部に棘があり、触ると痛い。皮は剥ぎやすい。基本的にフグ調理師がみがく(毒の除去)と皮をとってしまうが、棘のない部分の皮は美味であるので、フグ調理師などに皮をそのままにしてもらうか、毒の除去だけしてもらい皮を利用するといい。
透明感のある白身で鈍く濁りやすい。水っぽいので、ペーパータオルなどにくるみ一昼夜寝かせるといい。煮るなどすると適度に締まる。
フグの調理は一般人は原則的に行なわないこと。調理するときには自己責任で栄養
ー危険性など
南シナ海の個体は筋肉は弱毒、卵巣、肝臓に猛毒との報告があるので要注意。可食部分は筋肉、皮、精巣。食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
クロサバフグの料理・レシピ・食べ方/汁(鍋、みそ汁)、煮る(煮つけ)、生食(皮霜造り、焼霜造り)、揚げる(唐揚げ)、生食(皮霜造り)、ソテー(ムニエル)、焼く(一夜干し)クリックで閉じます
クロサバフグの鍋 フグ類のもっとも基本的な料理法は鍋だと思っている。水洗いして棘のない部分の皮、筋肉もしくは筋肉と白子を使う。水洗いして塩をまぶし、一日ペーパータオルなどにくるみ水分を飛ばすといい。これを適当に切り、湯通しして冷水に落とし表面のぬめりを流し、水分をよくきる。だし(こぶだしだけでもいいが、少し魚系の煮干し・カツオ節出しを足してもうまい)に酒・塩で味つけした中で煮ながら食べる。野菜などは好みのものを。
クロサバフグのキムチ鍋 水分が多くあまりうま味がないので、できれば皮を残して料理したいが、剥き身などではそれができない。ここではキムチの素とシャンタンを使った汁の中で煮て食べる。剥き身などは塩を揉み込み、半日以上寝かせて水分を取る。出て来た水分を拭き取り、食べやすい大きさに切る。これをキムチの素(白菜キムチでもいい)、シャンタンで作った地で煮ながら食べる。クリックで閉じますクロサバフグのみそ汁 水洗いして皮を剥き、目なども抜き取って適宜に切る。湯通しして、冷水に落とし滑りや汚れを取る。よく水気を拭き取る。これを水から煮出して、少量の酒(必須ではない)を加え、みそを溶く。実にうま味豊かな汁になる。クリックで閉じますクロサバフグの炒り煮 毒を除去。ペーパータオルなどにくるんで一日寝かせる。皮は棘のある部分は使えないので切って捨て、適当に切る。鍋にしょうが、醤油・みりん・酒・砂糖・少量の水を煮立て、少し煮詰まった中に入れて炒り煮にしていく。濃度の濃い煮汁なので身が適度にしまり、甘辛い味わいでご飯がすすむ。クリックで閉じますクロサバフグの梅干し煮 水洗いして皮を剥き(棘のない部分の皮は使ってもうまい)、目なども取る。適宜に切り、湯通ししてぬめりなどを取る。水分をよく切っておく。鍋に酒、少量の砂糖、梅干し、少量のしょうゆを合わせた地で煮上げる。梅干しの酸味が爽やかでとても食べやすい。クリックで閉じますクロサバフグの皮霜造り 鮮度落ちが早く、すぐに食感が悪くなるので活けじめ、活魚を使いたい。三枚に下ろして皮を剥く、薄皮の上から湯をかけて氷水に落として粗熱を取る。水分をよくきり、刺身状に。単調な味わいがゆびきにすることで、味わい深くなる。クリックで閉じますクロサバフグの唐揚げ 水洗いして皮を剥き、眼球なども取る。適宜に切り、ふきんなどに包み、一昼夜寝かせて水分を抜く。片栗粉をまぶしてじっくりと揚げる。揚げ上がりに塩コショウ、カレー塩などを振る。クリックで閉じます好んで食べる地域・名物料理
ー加工品・名産品
釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
協力/伊東正英さん(南さつま市)、二宮定置(神奈川県二宮町)、マル幸水産(東京都八王子市)
『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『日本産魚名大辞典』(日本魚類学会編 三省堂)