SL 80cm前後。ブダイとしては大型。頬に鱗は3列に並ぶ。歯は板状で小さな突起が網目状になる。雌と雄の体色・形態変化が大きく同じ種とは思えない。雌は赤褐色で腹側の鱗ごとに斑紋があり地味。雄は青く目立つ。雌もかなり大型になる。[雄]
イロブダイの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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魚貝の物知り度
★★★★★
知っていたら学者級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★★
非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系ベラ亜目ブダイ科イロブダイ属外国名
学名
Cetoscarus bicolor (Rüppell, 1829)漢字・学名由来
漢字 色舞鯛 Irobudai
由来・語源 退色が特徴的だから。
『原色 沖縄の魚』(具志堅宗弘 タイガー印刷 1972)が初出だと思う。
〈本種は雌雄の色がもっとも異なる。色彩及び斑紋に特徴があるので水中でも容易に識別できる。雌では体側背部は白く見える〉。『魚類大図鑑 南日本の沿岸魚』(益田一、荒賀忠一、吉野哲夫 東海大学出版会 1975)Rüppell
Wilhelm Peter Eduard Simon Rüppell (エドゥアルド・リュッペル 1794-1884)。ドイツ。博物学者。地方名・市場名
生息域
海水魚。サンゴ礁域。
屋久島、琉球列島、南大東島
幼魚/三宅島、八丈島、和歌山県串本、高知県柏島
台湾南部、東沙諸島、中沙諸島、西沙諸島、南沙諸島、インド-太平洋域(ハワイ諸島・イースター島をのぞく)生態
ー基本情報
ブダイ類のなかでも味は最上級。上品な白身で刺身など様々な料理にして非常に味がいい魚である。ある意味、主菜になりえる魚ともいえるだろう。
主に屋久島以南にいる大型のブダイ。大型のブダイの多くが高級魚だが、本種は中でも目立つ存在である。雄は高値で取引されている。水産基本情報
市場での評価/沖縄県周辺でよく見かけるもの。小型の雌は安く雄はやや高値。
漁法/刺し網、刺突漁
産地/沖縄県選び方
斑紋など色合いが鮮やかなもの。触って張りのあるもの。味わい
旬は不明。年間を通してあまり味が変わらないが産卵期が春から初夏なので、産卵後はまずい。
鱗は大きく手で取ることができるが、なかなか大変である。皮は厚みがあって強い。
骨は頭部咽頭歯以外はあまり硬くない。筋肉は微かに赤みがかっており、張りがある。熱を通すと締まらず脆弱になる。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
イロブダイの料理法・レシピ・食べ方/生食(刺身)、煮る(まーす煮)、揚げる(天ぷら)、汁(みそ汁)、ソテー(バター焼き)クリックで閉じますイラブチャーの刺身
イロブダイの刺身 沖縄の刺身、特に「イラブチ」と呼ばれるブダイ類は皮を生かして皮霜造りにすることが多いようだ。筋肉は甘味があって上品ではあるが少し単調な身の味わい。イロブダイはブダイ科でも皮を引いても味のある魚だが、皮のうま味と食感があいまってよりいっそう味わい深くなる。
イロブダイのまーす煮(塩煮) まーす煮(塩煮)は沖縄の郷土料理だ。調味料は原則的に、まーす(塩)のみ。最近では泡盛、日本酒を使うこともある。1尾丸ごと使うのが基本だが、大型魚は適当に切って使う。ていねいに水洗い。水分をよく切り、強めの塩水のなかで短時間強火で煮きる。豆腐は必ず一緒に煮ること。古くは水分を飛ばすように作ったが若干残っていた方がうまいと思う。クリックで閉じますイラブチのまーす煮
イロブダイの天ぷら 沖縄の天ぷらの衣には、塩、ときに砂糖も加え、ベーキングパウダーも入れることがある。ここでは衣に塩味をつけ、少量のベーキングパウダーを加えている。三枚下ろしにして腹骨、血合い骨を抜き、水分をよくきり、小麦粉をまぶして衣をつけて揚げる。沖縄の天ぷらの特徴はさくっとしているのではなく、ふんわり軟らかなことだ。クリックで閉じますイラブチャーの天ぷら
好んで食べる地域・名物料理
ー加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
協力/河村雄太さん(沖縄県石垣市)
『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)、『沖縄県、八重山地方における生態と世界観に関する文化人類学的研究』(山田貴子 京都大学図書館)地方名・市場名 ?
スブーヤー
場所沖縄県南城市知念漁協 性別雌 参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012)
ハーブシー
場所沖縄県南城市知念漁協 性別雄・雌 参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012)