ヒラニザ

Scientific Name / Acanthurus mata (Cuvier, 1829)

ヒラニザの形態写真

SL40cm前後になりクロハギ属では大型種。体はやや細長く体側に青く細い縦縞が無数にある。目の前に黄色い帯が2本ある。尾柄部の棘は1対で前に折りたためる。歯はクロハギ属ではやや幅広く内側に倒せない。[35.5cm]
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SL40cm前後になりクロハギ属では大型種。体はやや細長く体側に青く細い縦縞が無数にある。目の前に黄色い帯が2本ある。尾柄部の棘は1対で前に折りたためる。歯はクロハギ属ではやや幅広く内側に倒せない。[35.5cm]SL40cm前後になりクロハギ属では大型種。体はやや細長く体側に青く細い縦縞が無数にある。目の前に黄色い帯が2本ある。尾柄部の棘は1対で前に折りたためる。歯はクロハギ属ではやや幅広く内側に倒せない。[41.5cm]目の前に黄色い帯が2本ある。歯はクロハギ属ではやや幅広く内側に倒せない。
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目ニザダイ亜目ニザダイ科クロハギ属

    外国名

    学名

    Acanthurus mata (Cuvier, 1829)

    漢字・学名由来

    漢字 平仁座
    由来・語源 ニザダイ科でやや側へん(左右に平たい)するため。
    Cuvier
    バロン・ジョルジュ・レオポルド・クレティアン・フレデリック・ダゴベール・キュヴィエ(Baron Georges Léopold Chrétien Frédéric Dagobert Cuvier 1769-1832)。フランスの分類学者。キュビエとされることが多い。スエーデンのリンネ、フランスのビュフォンの分類体系に解剖学や古生物学などを加味して現在の形の礎を作った巨人のひとり。

    地方名・市場名

    生息域

    海水魚。岩礁域、サンゴ礁域。
    [長崎県]、八丈島、小笠原諸島、硫黄島、千葉県館山湾、相模湾、伊豆半島、熊野灘、和歌山県串本、高知県柏島、屋久島、琉球列島、南大東島。台湾、東沙諸島、西沙諸島、南沙諸島、インド-太平洋。
    [ ]内は水揚げ地

    生態

    基本情報

    主にサンゴ礁に生息するニザダイ科の魚。ニザダイ科は熱帯域では非常に重要な食用魚。本州などでもお馴染みのニザダイと比べると熱帯域の種の方が臭みが少なく感じる。
    沖縄県では「とかざー」と呼ばれるクロハギ属のひとつ。比較的安い魚なので家庭などでバター焼きなどになる総菜魚のひとつ。

    水産基本情報

    市場での評価/大型のクロハギ属。あまり高くない。
    漁法/釣り、刺突漁、刺し網
    産地/沖縄県

    選び方

    色合いが明るいもの。触って張りのあるもの。

    味わい

    旬は不明。
    鱗は細かく硬く皮と一体化している。剥き取った方がいい。骨はあまり硬くない。
    透明感のある白身で血合いは弱い。熱を通しても硬く締まらない。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ソテー(バター焼き)、煮る(塩煮、しょうゆ煮)、生食(刺身、ポキ、カルパッチョ)、揚げる(素揚げ、フリット、フライ)、汁(みそ汁)、焼く(塩焼き)

    ヒラニザのバター焼き 非常に緻密な白身なのに熱を通すとふっくらとする。ソテーするとそれに香ばしさが加わる。切身にして塩コショウ、それを多めの油でソテーする。仕上げにマーガリン(バター)で風味づけ。このまま食べてもいいが、しょうゆを少したらすととてもご飯に合う。

    ヒラニザのまーす煮 強めの塩水で短時間で煮上げるもの。ここでは兜の部分を使う。梨子割りした頭部を強めの塩水で煮上げる。「まーす煮」本来は液体を飛ばしきる料理法だが、適度に残して仕上げる。身をほぐしながら煮汁と一緒に食べる。豆腐を一緒に煮るとこれがまた非常にうまい。

    ヒラニザの煮つけ 切身を湯通しする。冷水に落としてぬめりや残った鱗を流す。水分をよくきり、酒・みりん・しょうゆ味・水で煮る。ここでは豆腐、玉ねぎ、青菜と一緒に煮たが、魚単体で煮てもいい。意外に臭みはほとんどなく、食べやすい。ご飯に合う。

    ヒラニザの刺身 鮮度がよいときに内臓を取れば身に臭みはない。緻密で上質なので、刺身は非常においしい。3月長崎県で揚がった個体は脂ものっていた。口に含むと脂が溶けるときの甘味がきて魚本来のうま味がくる。非常に美味。
    ヒラニザのポケ(ポキ) 刺身などにするとどうしても端切れや尾に近い部分などが出る。これを集めて置く。トマトやアボカド、ルッコラなどの野菜を適当に切り、合わせて好みの味つけをする。ここではしょうゆ・ごま油、スイートチリソースを使ったが、しょうゆではなく塩でもいい。また柑橘類を使ってもおいしい。

    ヒラニザのカルパッチョ 身は非常に緻密で、血合いがよわく、白身として実にきれい。これをできるだけ薄く切る。皿ににんにくをなすりつけ、オリーブオイル、塩を入れて、切身を並べていく。上からも塩とオリーブオイル、コショウなどを振り、馴染ませて好みの野菜を散らす。味わいが多彩であるのに、後口が軽い。白ワインに非常に合う。

    ヒラニザの素揚げ 沖縄県石垣島のウミンチュは魚を唐揚げではなく、素揚げにすることが多いという。これは熱帯域でも同じ。素揚げの方が軽い味わいで、食べやすいからかも。手でばらしながら、チリソースやしょうゆなどをつけて食べる。ご飯やパンにとても合う。

    ヒラニザのポテト&チップス 切身に衣をつけて、ポテトと一緒に揚げたもの。衣は小麦粉・卵・酢・少量のオイルもしくはマヨネーズ・ビール。さくっと軽く揚がり、中がふんわりして甘味がある。柑橘類や酢を振るといい。

    ヒラニザのフライ 大型なのにフライ用の切身になる。これに塩コショウして、小麦粉をまぶし、バッター液(卵・小麦粉・水)もしくは溶き卵をからめて、パン粉をつけて揚げる。揚げても身は硬く締まらず、筋肉の層に肉汁が感じられてとてもおいしい。

    ヒラニザのみそ汁 頭部やあらを集めて置く。湯通しして冷水に落としてぬめりなどを流す。これを水から煮出してみそを溶く。とてもうま味豊かでしかもイヤミのない汁になる。沖縄県ではこれを「魚汁」といい、ご飯の主菜とする。
    ヒラニザの塩焼き ニザダイ科なので焼いてうまいはずがないと思い込んでいた。鮮度がいいときに焼くと少し硬く締まる。振り塩をしてビニール袋などに入れて1日寝かせて焼き上げると、さほど強くしまらない。やや淡泊ながら美味。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/石田拓治さん(印束商店 長崎県長崎市)、河村雄太さん(沖縄県石垣市)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)、沖縄水産試験場 沖縄で漁獲される主要魚の名称一覧表

    地方名・市場名

    トゥカジャ
    場所沖縄県伊良部島 参考『魚名からみる自然認識:沖縄・伊良部島の素潜り漁師の事例から』(高橋そよ 2014年03)、聞取 
    トカザー
    場所沖縄県南城市知念漁協 参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 
    マチラカー
    場所沖縄県南城市知念知念漁協など 参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 
    トカジャー
    場所沖縄県石垣市 参考河村雄太さん 
    アブラゴーメ サカゲン
    場所鹿児島県種子島 参考『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 
    トウカジャー
    場所沖縄本島 
    クースキャー
    場所沖縄宮古 
    コーグルートカジャー
    場所沖縄八重山 
  • 主食材として「ヒラニザ」を使用したレシピ一覧

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