SL 33cm前後。胸鰭上方に暗色の斑紋がない。背鰭には縦筋がない。目の直前後方に黄色い帯がある。胸鰭上部は黄色。尾柄の棘は前方に可動し納まり白い。尾鰭には無数の暗色斑がある。[山口県阿武郡阿武町 宇田郷定置網 27.5cm SL、772g]
ニセカンランハギの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
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魚貝の物知り度
★★★★★
知っていたら学者級食べ物としての重要度
★★
地域的、嗜好品的なもの味の評価度
★★★
美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目ニザダイ亜目ニザダイ科クロハギ属外国名
学名
Acanthurus dussumieri Valenciennes, 1835漢字・学名由来
漢字/偽橄欖剥
由来・語源/カンランハギににて別種という意味。Valenciennes
アシル・バランシエンヌ(Achille Valencienne 1794-1865)はフランスの動物学者。ジョルジュ・キュビエとともに『魚類の自然誌』を刊行。国内で水揚げされる多くの魚を記載。地方名・市場名 ?
生息域
海水魚。岩礁・サンゴ礁域。
北海道函館市臼尻町(幼魚)、八丈島、小笠原諸島、硫黄島、沖ノ鳥島、岩手県、茨城県〜九州南岸の大平洋沿岸、新潟県柿崎、京都府伊根湾近く、山口県阿武町、長崎県野母崎・男女群島、琉球列島、南大東島、尖閣諸島。
幼魚/福岡県津屋崎
済州島、台湾、香港、東沙諸島、西沙諸島、南沙諸島、インド-西太平洋、ジョンストン島、ハワイ諸島、ライン諸島。生態
ー基本情報
本種をはじめクロハギ類をトカザーとかトカジャーと呼び、市場では一緒くたにされて競りにかけられていることが多い。サンゴ礁域で群れを作っているので水揚げが多く、安いので庶民的な魚なのだと思う。
料理法によってはとてもおいしく、食用魚を調べる上でも重要なものと考えている。水産基本情報
市場での評価/沖縄県では非常によく見かける。カンランハギなどクロハギ類と一緒になって競りにかけれレルことも多い。比較的安い。
漁法/刺し網、刺突漁
産地/沖縄県選び方
触って張りのあるもの。黄色や青など色が鮮やかなもの。味わい
旬は不明だが晩春から夏にかけて味が不安定。大きいほど味がいい。
皮は皮革を思わせる。鱗引きを使うと細かい鱗が比較的簡単にとれる。焼き物や素揚げなど皮をむいてもいいし、煮つけなど鱗を引いて皮を使って料理してもいい。
透明感のある上質の白身で、熱を通しても締まらない。
漁獲方法や漁獲後の扱いで臭みのある個体がある。味のいい魚なので活け締めにした方がいい。また野締めは内臓をとりのぞくと、臭わなくなる。希に筋肉自体も臭いことがある。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
ニセカンランハギの料理法/煮る(煮つけ、まーす煮)、ソテー(バター焼き)、揚げる(素揚げ、唐揚げ、フライ)、生食(セビチェ、刺身)クリックで閉じますトカジャーのまーす煮
ニセカンランハギのまーす煮 臭うのは内臓なので手に入れたら早めに水洗いして取り去った方がいい。皮を剥かないで鱗を引き、頭部も落として料理した。強めの塩水で短時間強火で煮上げる。このとき一緒に豆腐も煮るとなおいい。上質の白身で口に入れると甘味があってとてもうまい!
ニセカンランハギのバター焼き 皮を剥かないで鱗を引く。頭部と内臓を取り去り、切れ目を入れて塩コショウ。これを多めの油でじっくりとソテー。仕上げにマーガリン(バター)で風味づけする。最後にしょうゆを落とすとご飯に合う。きめの細かい上質の白身を味わい尽くせる料理だと思う。クリックで閉じますトカザーのバター焼き
ニセカンランハギのフライ 皮を剥き頭部を落として水洗いする。三枚に下ろして塩コショウしてフライにする。上品な白身で揚げても硬く締まらない。今回の個体に臭みはなく、しまった身にうま味がある。クリックで閉じますトカザーのフライ
好んで食べる地域・名物料理
ー加工品・名産品
ー釣り情報
ー歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
協力/宇田郷定置網(山口県阿武町)、河村雄太さん(沖縄県石垣市)、中山陽一さん(京都府)
『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)、『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012)、『記録的猛暑の 2023 年に北海道函館市臼尻から SCUBA 潜水によって採集された北限記録 13 種を含む初記録 14 種の魚類』(根来晃佑 1, 2・宗原弘幸)