ゴマテングハギモドキ

Scientific Name / Naso maculatus Randall and Struhsaker, 1981

ゴマテングハギモドキの形態写真

50cm SL前後になる。体はアーモンド型。尾柄部の骨質版は2で尾鰭は湾入形。腹の部分を除いて黒い線形の斑紋が散らばる。
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50cm SL前後になる。体はアーモンド型。尾柄部の骨質版は2で尾鰭は湾入形。腹の部分を除いて黒い線形の斑紋が散らばる。50cm SL前後になる。体はアーモンド型。尾柄部の骨質版は2で尾鰭は湾入形。腹の部分を除いて黒い線形の斑紋が散らばる。[31cm SL ・913g]腹の部分を除いて黒い線形の斑紋が虫食い状に散らばる。尾柄部の骨質版は2。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★★
      がんばって探せば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★★
      知っていたら学者級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★★
      究極の美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目ニザダイ亜目ニザダイ科テングハギ属

    外国名

    学名

    Naso maculatus Randall and Struhsaker, 1981

    漢字・学名由来

    漢字/胡麻天狗剥擬 Gomatenguhagimodoki
    由来・語源/
    〈ゴマテングハギモドキ(新称) Naso lopezi HERRE テングハギに似るが体色は淡く、黒色斑点が多数散在する〉。『魚類大図鑑 南日本の沿岸魚』(益田一、荒賀忠一、吉野哲夫 東海大学出版会 1975/11/25)
    Randall
    John Ernest Randall (ジョン・アーネスト・ランドール 1924-2020年)はアメリカの魚類学者。

    地方名・市場名

    コーミン
    場所沖縄県南城市知念漁協 参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 
    ゴエン
    場所鹿児島県屋久島 
    ニノジ
    場所関東など釣りで。 

    生息域

    海水魚。岩礁域、サンゴ礁。
    伊豆諸島、小笠原諸島、火山列島、沖ノ鳥島、神奈川県横須賀、伊豆半島西岸、和歌山県白浜・串本、香川県仁尾・屋久島、琉球列島、南大東島、尖閣列島。
    幼魚/高知県柏島。
    済州島、台湾、東沙諸島、インド-太平洋(モーリシャス諸島諸島以東、イースター島をのぞく)、クリッパートン島。

    生態

    基本情報

    暖かい海域から熱帯域まで生息域の広い魚である。伊豆諸島や小笠原、九州南部、琉球列島などでとれる。都内ではほとんど見かけない。
    伊豆諸島の釣りではお馴染みの魚で、ニノジと呼ばれている。
    ニザダイ科でもテングハギの仲間で非常に味がよい。食味などの情報が広がれば高値を呼ぶ魚になること間違いなし。
    珍魚度 珍しい魚ではないが、ほとんど流通しない。がんばって探すしかない。

    水産基本情報

    市場での評価/数回見ている。知名度はほぼゼロ。
    漁法/釣り、定置網
    産地/東京都、静岡県、沖縄県

    選び方

    触って張りのあるもの(硬く感じるもの)。地色が薄いもの。

    味わい

    旬は晩春から初夏ではないかと考えている。
    鱗は皮と一体化している。皮は剥けるが、熱を通す料理ならそのまま使った方がいい。
    血合いが強い白みで、脂が層を作る。熱を通しても硬く締まらない。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ゴマテングハギモドキの料理・レシピ・食べ方/揚げる(素揚げ、唐揚げ)、生食(刺身)、焼く(塩焼き)、煮る(塩煮、しょうゆ煮)、汁(素揚げのみそ汁、潮汁)、ソテー(バター焼き)

    ゴマテングハギモドキの素揚げ ニザダイ科の魚を常食する熱帯域、国内では沖縄などでは素揚げにして食べることが多い。皮が硬く鱗と一体化している。肉厚でうま味豊かな身であるために、揚げてもふっくらとして柔らかい。作り方は単純。内臓と鰓を取り去り、ていねいに水分を拭き取る。適当に切れ目を入れて、じっくり香ばしく素揚げにする。柑橘類と醤油で食べるのだけど、意外にご飯に合う。

    ゴマテングハギモドキの素揚げ(揚げたところ) 熱帯では揚げたものとキャッサバ、タロイモなどを添えてランチに食べたり、弁当にしたりする。またご飯にとても合う。






    ニノジの唐揚げゴマテングハギモドキの唐揚げ 三枚に下ろした腹側を適当に切り、片栗粉をまぶしてじっくりと揚げたもの。下味にしょうゆを使ったわけでもないのに、褐色の揚げ色がつく。揚げたてに塩とヒバーツ(香辛料はお好みで)を振る。皮下が実にジューシー。かつ身がほくほくとして、表面の香ばしさが際立つ。





    ゴマテングハギの刺身 希に臭みのある個体があるものの、皮下に脂が層を作るとともに筋肉にも混在する。この脂が独特の風味を持つ。身にも濃厚なうま味があり、刺身は絶品である。内臓以外はきれいな魚で皮も剥ぎやすい、難点は血合いの色だけかも知れない。

    ニノジの皮付き塩焼きゴマテングハギモドキの塩焼き 皮はそのままにして身の方に振り塩。これをじっくりと焼き上げる。分厚くザラザラした皮目が波打ってくる。その周辺から脂がしたたり落ちる。実に魅力的な香りがたってくる。焼き上がったら箸を入れてみて欲しい。適度に繊維の身の周辺に溶け出したエキスと脂でとてもジューシー。皮下にゼラチン質のような層があるがこれが最高にうまい。

    ニノジの兜煮ゴマテングハギの煮つけ 兜を梨子割りにして、湯に通す。冷水に落として表面のぬめりなどを流す。これを酒・しょうゆで煮上げる。酒・砂糖・しょうゆでも、酒・みりん・しょうゆでも味つけは自分好みがいちばんいい。ザラザラした皮、へばりついた身などすべてうまし。ご飯にも合う。
    ニノジの塩煮ゴマテングハギモドキのまーす煮 皮付き頭部に近い部分を強めの塩水で短時間で煮上げる。塩水が沸騰するとともに内臓周りについた脂肪のかたまりが溶け出してくる。この脂肪と塩水が一緒くたになり、豆腐と切り身を煮上げる。この煮汁が官能的なおいしさだし、皮下にあるゼラチン質と身を口に入れるや強いうま味が口中を満たす。一緒に煮た豆腐も食べてビックリのおいしさだ。


    ニノジの素揚げのみそ汁
    ゴマテングハギモドキ素揚げのみそ汁 石垣島のウミンチュは魚の素揚げでみそ汁を作るのだという。ここでは適当に切ったものを素揚げ。少し冷まして、二番だしもしくは出しの素をといた水で煮だしてみそをとく。実に濃厚なうま味が汁にも素揚げにした身からも感じる。ご飯に合う。

    ニノジの潮汁ゴマテングハギモドキの潮汁 三枚に下ろして骨つきの方をぶつ切りにする。これを昆布だしで煮る。あくをすくいながらまずは酒、仕上げに塩味をつける。皮からうま味が出ているのではないかと思う。実に濃厚なうま味を感じる。付着した身もとても美味。
    ニノジのバターソテーゴマテングハギモドキのバター焼き 皮付きの切り身に塩コショウする。これを多めの油でじっくりとソテー。火が通ったら、余分な油を捨てて、仕上げにマーガリンで風味づけする。皮目がカリット香ばしい。身に汁気が多く、しっとりと柔らかい。少し濃厚だが、うまいと思う。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    協力/ねこや商店(宮崎県日南市油津) マル幸水産(東京都八王子市)
    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)
  • 主食材として「ゴマテングハギモドキ」を使用したレシピ一覧

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