トヤマエビ

Scientific Name / Pandalus hypsinotus Brandt,1851

トヤマエビの形態写真

20cm前後になりタラバエビ科では大型。明るい朱色に褐色の横縞、胸部(頭部)に白い斑紋が散らばる。タラバエビ科では大型種で20センチを超える。
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20cm前後になりタラバエビ科では大型。明るい朱色に褐色の横縞、胸部(頭部)に白い斑紋が散らばる。タラバエビ科では大型種で20センチを超える。20cm前後になりタラバエビ科では大型。明るい朱色に褐色の横縞、胸部(頭部)に白い斑紋が散らばる。タラバエビ科では大型種で20センチを超える。頭胸甲(甲)に白い斑紋がある。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★
      少し努力すれば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★
      知っていたら通人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★★
      一般的(流通量は普通)
    • 味の評価度

      ★★★★★
      究極の美味

    分類

    節足動物門甲殻亜門軟甲綱(エビ綱)真軟甲亜綱エビ上目十脚目抱卵亜目コエビ下目タラバエビ科タラバエビ属

    外国名

    学名

    Pandalus hypsinotus Brandt,1851

    漢字・学名由来

    漢字 富山蝦、富山海老 Toyamaebi
    由来・語源 命名した標本を採取したのが富山だから。

    地方名・市場名

    ボタンエビ
    場所北海道、新潟県糸魚川市親不知、東京都など関東周辺 備考一般的には。 参考松澤周一さん(新潟県糸魚川市) 
    ガシ ガシエビ
    場所新潟県糸魚川市能生 

    生息域

    海水生。 水深100〜400メートル。
    島根県以北の日本海側、北海道以北の太平洋、オホーツク海に棲息。
    カナダ沖までの北太平洋。

    生態

    雌雄同体。雄性先熟。成長すると雌になる。
    水深100〜400メートルに生息。
    産卵期は北海道日本海側で4月〜6月、孵化が翌年3月〜5月。釧路沖で5月〜6月、孵化が翌年2月〜3月。噴火湾では7月〜9月、孵化が翌年1月〜3月。オホーツク海では4月〜8月、孵化は翌年4月〜8月。
    産卵したら腹肢に卵を半年〜10か月抱き、孵化させた後、雌は1年産卵しないが、太平洋側とオホーツク海の一部は毎年産卵する。
    孵化後2.5歳〜4,5歳で雄から雌に性転換する。
    小型甲殻類、貝類、クモヒトデなどを餌とする。

    基本情報

    日本海山陰、太平洋側では北海道以北に生息している。一般にも、流通上も「ぼたんえび」という呼び名で呼ばれていて標準和名のトヤマエビを知る人はほとんどいない。標準和名の「とやま(富山)」というのは最初に研究採取されたのが富山湾であるためだ。「ぼたんえび」は北海道噴火湾などでの呼び名で、今ではすしネタなどで定着している。
    比較的浅い場所でとれるので、北海道では甘エビ(ホッコクアカエビ)よりも早くから漁獲されていた。標準和名ボタンエビもあるが漁獲量が少ないので、こちらの方が本家「ぼたんえび」といった感がある。
    本州日本海側でも水揚げがあるが北にいくほど水揚げ量が増える。北海道がいちばん漁獲量は多い。
    今では高級すしダネとして定着している。非常に高価で、ほとんどが料理店、すし屋などで利用される。
    珍しさ度 流通する普通の食用エビで、流通量は少ないが珍しいエビではない。ただし非常に高価である。

    水産基本情報

    市場での評価 国産のものも、ロシアからの冷凍輸入ものもある。年間を通して市場に入荷する。安くてもキロあたり2000円以上、キロ当たり20000円を超えることもある。また冷凍ものも高値安定。
    漁法 エビカゴ漁、底曳網
    主な産地 北海道、山形県

    選び方

    赤味が強く、白い斑文などがくっきりしているもの。

    味わい

    旬は不明
    殻はやや硬いが向きやすい。活け、北海道西部などからくる活きのいいものは取りにくい。
    エビ類のなかでは水分が多いが甘えび(ホッコクアカエビ)などタラバエビ科では身がしっかりとしている。熱を通しても甘えびほど痩せない。殻やみそからいいだしが出る。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    トヤマエビの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、マリネ)、煮る(しゃぶしゃぶ)、汁(みそ汁、潮汁)、焼く(塩焼き、兜焼き)
    トヤマエビの刺身 本種は冷凍品もあるが、できれば色鮮やかな生で食べて欲しい。鮮度がいいものの刺身の味は無類である。タラバエビ類のうまさは粘液質のアミノ酸が決め手だが、本種はやや淡泊でいながら甘みが強い。食感もいい。タラバエビ属のなかでも屈指の味。外子はあまりうまいとは思えないので添える必要があるのか疑問に感じている。

    トヤマエビのあぶり 殻を剥き、外子、わたと一緒に器にのせて軽くあぶったもの。まだ温もりがある内に食べる。あぶることで甲殻類の香りが立ち、甘味も食感も増す。打ち粉もわたも炙った方がうまい気がする。
    トヤマエビの醤油漬 剥き身にして適当に切る。外子があれば加える。これを醤油(今回は三重県尾鷲産辛い唐辛子虎の尾で辛味を加えた)・みりんで和えて一日寝かせる。1週間くらいもつが、漬け加減は好みがわかれる。漬け地にもとろみが出て身にからみ甘味も強くなる。佳肴である。
    トヤマエビとイチジクのマリネ タラバエビ科のエビとイチジクの相性がとてもいい。殻を剥き、適当に切り、イチジク、ライム、塩、オリーブオイルと合わせてマリネする。野菜はここではルッコラセルバティコとトレビス。
    トヤマエビの煮つけ 流水などで軽く洗い、水気をきる。鍋に酒・醤油・水を湧かし、軽く煮て鍋止めする。1時間以上寝かせると出来上がる。野性的に手で食べると、身はほろほろして甘味が強くてとてもおいしい。
    トヤマエビのみそ汁 刺身などにした後の頭部、殻を水から、殻をつぶしながら煮出してみそを溶いた。エビの甘みとうま味がでて非常に濃厚な味わい。酒の後などにもってこいの汁である。
    トヤマエビの塩焼き 小振りの雄を強火で焼き上げたもの。エビらしい香りが立ち、身の甘味が焼くことで強まる。ほろほろとした食感が好ましくとても味わい深い。いくつでも食べることができる。
    トヤマエビのかぶと焼き 刺身などで食べたとき、頭部もそのまますすりみそを味わってもいいが、焼くと濃厚なうまさが楽しめる。生よりも食べやすく、刺身と取り合わせるととても見栄えがする。

    関連コラム(料理法・レシピ)

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    ラバエビ科のうま味成分と粘液の混ざり合った甘さと、イチジクの甘さがとても相性がいい。 特にトヤマエビ、ボタンエビのように大型のタラバエビ科と合わせると豪華でも・・・ 続きを開く

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    北海道漁業史 「甘えび(ホッコクアカエビ)」よりも浅い海域に棲息するので、タラバエビ科ではもっとも早く漁獲対象とされていて、北海道噴火湾では明治35(1902)〜 36年のこと。砂原(北海道茅部郡森町)で手繰り網漁が始まる。また昭和30 (1955)年から漁業的開発が始まる。(参考文献/『新 北のさかなたち』水島敏博他 北海道新聞社)

    参考文献・協力

    『大型甲殻類図鑑』(三宅貞祥 保育社)、『甲殻類学』(朝倉彰編著 東海大学出版局)『新北のさかなたち』(水島敏博、鳥澤雅他 北海道新聞社)、『商用魚介名ハンドブック』(日本水産物貿易協会編 成山堂)
  • 主食材として「トヤマエビ」を使用したレシピ一覧

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