シロメバル
代表的な呼び名 メバル
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SL 25cm前後。体色は黒か、灰色でときに薄い暗色の横帯が出る。両眼の間に斑紋はないかあっても目立たない。涙骨に顕著な2棘がある。胸鰭は17軟条。[23cm SL・320g] SL 25cm前後。体色は黒か、灰色でときに薄い暗色の横帯が出る。両眼の間に斑紋はないかあっても目立たない。涙骨に顕著な2棘がある。胸鰭は17軟条。[23cm SL・320g] SL 25cm前後。体色は黒か、灰色でときに薄い暗色の横帯が出る。両眼の間に斑紋はないかあっても目立たない。涙骨に顕著な2棘がある。胸鰭は17軟条。[秋田県八森産] SL 25cm前後。体色は黒か、灰色でときに薄い暗色の横帯が出る。両眼の間に斑紋はないかあっても目立たない。涙骨に顕著な2棘がある。胸鰭は17軟条。 胸鰭は17軟条。(クロメバル16軟条、アカメバル15軟条)
関連種 ~ メバル3種。元々は「メバル」として1種であった。
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珍魚度・珍しさ ★★ 少し努力すれば手に入る
魚貝の物知り度
★★★★★ 知っていたら学者級
食べ物としての重要度
★★ 地域的、嗜好品的なもの
味の評価度
★★★★ 非常に美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目カサゴ亜目メバル科メバル属(旧メバル)
外国名
Rockfish
学名
Sebastes cheni Barsukov,1988
漢字・学名由来
漢字 白目張 Standard Japanese name / Shiromebaru
由来・語源 古くはメバル。色合いの傾向から。
メバル 「Sebastes inermis Cuvier et Valenciennes」が『魚類の形態と検索』(松原喜代松 岩崎書店 1955)にある。また田中茂穂も〈アカメバル、クロメバル、キンメバルなどゝ區別せられ是等は多少住所が違っている為に各ゝを別種とする學者もあるが、是等は同一種の異型とみるべきである〉。それが2008年に3種であるとしてクロメバル、アカメバル、シロメバルに分かれる。メバル3種のひとつ。
Barsukov Vladimir Viktorovich Barsukov (ウラジミール・ヴィクトロヴィッチ・バルスコフ)はソビエト(現ロシア)の魚類学者。旧カサゴ目の多くの魚を記載している。ウッカリカサゴを記載したことで有名。
地方名・市場名
ウキソ 備考 クロメバル、アカメバル、シロメバルともに。 場所 岡山県
チャデリ[茶デリ] 参考 松宝丸 場所 秋田県男鹿
メバル 備考 一般的に。
概要
生息域
海水魚。沿岸の岩礁域、より内湾に多い。
青森県〜九州西岸の日本海・東シナ海、東北地方太平洋沿岸、相模湾〜三重県の太平洋沿岸、瀬戸内海、有明海。
朝鮮半島東岸。
生態
■ 卵胎生。11月前後に交尾、12月から2月に出産される。
■ 浅い岩礁域・藻場に生息。
■ 北海道から九州、朝鮮半島。
■ 仔魚期には小型の甲殻類、成魚になると小魚、エビなどをエサとする。
●メバル3種は共通。
基本情報
本州から九州の浅場にいる。いまだに流通上メバルは1種で、クロメバル、シロメバル、アカメバルは区別しない。当然本種だけの一般的評価はない。
沖合にいるウスメバルが「沖めばる」、本種など3種類が「めばる」と呼ばれていた。
古くから国内全域で煮つけ用の魚として人気があり、やや高値をつける魚である。
珍魚度 珍しい魚ではない、普通の食用魚である。ただメバル3種を見分けるのが難しい。
水産基本情報
市場での評価/メバル3種(アカメバル、シロメバル、クロメバル)は区別されない。入荷量は決して多くなくやや高値。
漁法/刺し網、定置網など
産地/
選び方・食べ方・その他
選び方
味わい
旬は夏。冬から春は漁の最盛期で安くて手軽なのでもうひとつの旬
旬はわかりにくい。夏の魚とされていたこともあるが、必ずしもそうとは言えない気がするので、調べているところ。
鱗は細かく取りやすい。皮は薄いが強い。骨は柔らかい。
透明感のある白身で煮ると軟らかくなる。
シロメバルの料理の方向性
非常に上品な白身で脂がのっていても後味がいい。油よりも水との相性がよく、煮る、汁などに向いている。熱を通しても硬くならない上に皮目に独特の風味があるので塩焼きもいい。生食してもおいしいが、あらの方が主役になるかも。
栄養
危険性など
食べ方・料理法・作り方
シロメバルの料理・レシピ・食べ方/煮る(しょうゆ煮)、焼く(塩焼き)、揚げる(唐揚げ)、生食(刺身、焼霜造り)
シロメバルの煮つけ 比較的浅場にいる「めばる」のひとつである。分類学的に3種に分かれてしまったが、昔から親しまれてきた「めばる」だと思うといいだろう。
あまり大きくならないので丸のまま煮るのが基本。鱗をていねいに引き内臓はずぼ抜きする。これを湯通しして冷水に落として残った鱗やぬめりを流す。これを酒、みりん、薄口しょうゆで煮る。しょうゆ・砂糖・濃い口しょうゆ油でも、酒・しょうゆで味つけしてもいい。甘い方がご飯には合う。
きめ細やかな身質で身離れがいい。皮にもうま味があり、食べ飽きない味わいである。
シロメバルの塩焼き 熱を通しても硬くならず、皮目に好ましい風味があるので塩焼きは絶品。写真のものは大型だったので二枚下ろしにして骨のある方を塩焼きにしたもの。これほど上品でいながら、うま味豊かな塩焼きは珍しいだろう。
シロメバルの唐揚げ 小振りのメバル科はなんといっても唐揚げが美味。火が通りやすいように背開きにして水分をよく拭き取る。片栗粉をまぶしてじっくりと二度揚げする。小振りなので頭部からかぶりつける。
シロメバルの焼霜造り 身は非常に上品で淡泊な味わいである。旬の脂の乗ったものがともかく、少しもの足りなく感じる。今回は皮をあぶって切りつけた。三枚に下ろし、腹骨・血合い骨を取る。皮をあぶって氷水に落として粗熱を取り、水分をよくきる。これを刺身状に切る。
シロメバルの刺身 梅雨時に買った鮮度のいいものを刺身にしたもの。本種などメバル科の魚は脂が均質に身に混在して、これが甘味に感じられる。クセのない上品な白身でとても味わい深い。
好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
釣り情報
メバル竿というのがある。2メートル上の柳のように軟らかな竿である。これに胴つきの2〜3本のハリをつけ、小エビやときにドジョウ、活けのカタクチイワシ、イカナゴなどを餌に釣る。素晴らしいヒキ込みに竿は弓なりに。1匹かけて待って2匹と、連になると折れんばかりに曲がるのを耐えて総てのハリにかけるのがこの釣りの醍醐味である。
歴史・ことわざなど
■ 山形県鶴岡市で「天口ふじな」は「大きな口あけて上を向くな」という意味だという。[いな舟 山形県鶴岡市]
参考文献
『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会 20130226)、『魚の目きき 築地魚河岸60年』(伊藤勝太郎口伝 徳間書店 1984)