
八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産にキツネダイが来ていた。
伊豆半島の以東にあまりいない魚で、西、駿河湾以南に多い。
今回のものは静岡県御前崎産であるが、過去にも何度か御前崎の荷を見ている。
体長30cm・624g なので本種としては大型である。
ベラ科タキベラ属は味のいい魚が多いが、本種は取り分けうまい。
ただ旬がよくわからない。
さて、三枚に下ろすと身に張りがあり、少ししっとりしている。
透明感がなく少し白濁しているのは、少ないながら脂ありとみた。
皮に味があるので水洗いして三枚に下ろす。
腹骨・血合い骨を取り、皮付きのまま刺身状にきる。
これを沸かした塩水の中で2、3秒湯引きする。
梅肉とわさび醤油で食べたが、やはりおいしい魚だと改めて思った。
水揚げ量がそれほど多くないので知名度が低い。
そのせいで高級魚ではあるが、それ以上ではない。
湯引きは飽きることがなく、半身分作って食べ尽くすことができた。
今回は上品過ぎると思った身にほどよい甘味があり、食感の心地よさを楽しめた。
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日記風に。
朝一番の冷たい茶漬けほどうまいものはない。
最低限のおかずと、焙じたての番茶と、それだけがいい。
十津川村など奈良県や三重県などの番茶でなけらば出ない、さらりとした味と苦味が夏バテぎみのボクを現に戻してくれる。
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岡山県の郷土料理に「かけ汁」、「かけ飯」というのがある。児島湾などをはじめ、汽水域や浅場にいる魚を材料とするもので、岡山県を代表するものである。
過去に様々な魚で作っているが今回作ったのはコノシロのかけ汁である。
「このしろ(標準和名コノシロの成魚)」もしくは、「つなし(コノシロの若い個体、小型)」のミンチ(細かく叩いた身)からは非常に濃厚で味わい深いだしがでる。
豊かなうま味があるのに、後味がよく軽い味わいで、食べ始めるととまらなくなる。
ご飯がなくなると新たによそい、「かけ汁」をかけてかきこむと箸が止まらなくなる。
ごぼう、にんじんなどの根菜が非常にいい役をこなしているのもわかる。
日常的な安い魚を使って、これほどの味わい深い料理を生み出すとは、岡山県の食文化の奥深さを感じる。
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神奈川県小田原市、小田原魚市場、江ノ浦沖、江の安漁場日渉丸、ワタルさんに体長25cm・250g前後の「わかし」を分けていただく。
もちろんしっかり締めて血抜き済みである。
6月7日には体長17cm・90g前後だったものが、1ヶ月経った7月4日には重さで2倍以上に成長している。
相模湾では「わかし釣り」の時季となっている。
さて、ワタルさんが締めた魚は、それだけで別格である。
持ち帰ったばかり昼ご飯のおかずと、夜、酒の肴にしたが、「わかし」の刺身は非常に味わい深い。
普通、「わかし」は数時間で食感が落ちてしまうが、ワタルさんの締めたものはその食感が水揚げしたてと変わらない。
軽い味だけど、豊かなうま味が感じられるし、終いの方に酸味がくる。
夜には2尾分の刺身を造って、食べきったほどなので飽きの来ない味といってもいいだろう。
事ほど左様に、名人が締めて、ていねいに持ち帰った「わかし」はうまいのである。
このとこと静岡県藤枝市「志太泉」を飲み過ぎていて、また2合がなくなる。
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6月8日、神奈川県小田原市、二宮定置の水揚げを見ているときエソ科マエソ属の何かを渡してくれた。
マエソ属に関しては奮闘努力中なので、とてもありがたい。
ところが、またまた今回も、魚類検索が悪いのか、ボクが悪いのか?
検索できない。
困ったときの和田英敏さんに送ったら、答えが返ってきた。
なーんだマエソかよとは思ったが、ものすごく勉強になった気がする。
このような、ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード、紆余曲折の果てに、マエソ属が恐くなくなる。
マエソにはまさか隠蔽種はいないと思うけど、全部要注意! 細心の検索を要す。
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神奈川県小田原市、小田原魚市場の定置網は夏枯れ状態が続いている。水揚げ量が全体に減っており、場内ではむしろ深場の魚が目立つ。
そんな中、小田原江ノ浦沖、江の安漁場日渉丸、ワタルさんに体長12cm〜15cmのマイワシを分けてもらう。
コバルトブルーに輝く素晴らしいマイワシである。
当然、刺身だろう。
とは思ったが、丸干しを作りたかったので分けてもらったものなので、迷わす、丸干しを作る。
立て塩を作る。
鍋に水を張り塩を入れてかき混ぜ、溶けにくいと感じるくらいの量の塩を加える。
一煮立ちさせて、渋いくらいの塩辛さになったら冷やす。
マイワシは大ザルに入れて真水で洗う。
水分をよく切る。
冷えた立て塩に8分間漬け、水分を切る。
徹底的に水分を取り、サーキュレーターと扇風機で丸一日かけて干し上げる。
ザルに入れて冷蔵庫で半日冷やす。
あとは保存するだけだ。
これで14食分の丸干しが出来上がった。
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数量的にはわからないけど、浅いところの泥を網ですくっても貝が入ってこない。
護岸を見ても貝類があまり見当たらないのはなぜだろう?
大量についているはずのムラサキイガイがあまりいないし、昔、アサリ漁をやっていたことがあるという人に聞くと、タマガイ科の貝がいないという。
「あけみがい(イソシジミ)」はもっと見ていないらしい。
マガキの付着も少ない気がする。
鷲津方面で落ちていないかと探したタマガイ科の巻き貝はやはり見つけられなかった。
今回、落ちている貝殻の中でヒラフネガイも探したけど見つからず。
今回は慌ただしくて、じっくり見て回れなかったが、次回は車中泊しながら水辺をじっくり観察したいと考えている。
それにしても浜名湖にたくさんいたタマガイ科などなどは、どこに行ったんだろう。
今の浜名湖は、どことなく不気味である。
今回の参院選でひとりも自然保護や温暖化を叫ぶ立候補者がいない。
生き物を見ていても明らかに危険な状況にある、と思うんだけど、自然保護は金にならないからやらないんだろうな。
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神奈川県小田原市、小田原魚市場の定置網は夏枯れ状態が続いている。水揚げ量が全体に減っており、場内ではむしろ深場の魚が目立つ。
この夏場の状況は毎年変わらない。
それでは定置網においしい魚はいないのだろうか? というとさにあらず、小田原の定置は扱いがていねいなので魅力的なものがいっぱいあるのである。
今回はいろいろあって水揚げに集中できなかったので、定置網の方達が引き上げた後に、瓜坊(イサキの幼魚)体長15cm・70g前後をひとつふたつみっつ、とダンベから救出してきた。
定置網の魚でダンベに行くというのは、魚粉になるということで、人の口に直接入らない、魚たちである。
とった魚は直接人の口に入る方が自然に優しいし、温暖化防止になる。
ところがイサキの100g以下は流通しない。
流通しないというのは、今どきの曖昧言語を使うと未利用魚である。
この100g以下のイサキがまずいかというと、真逆で漁師さんも知る非常においしい魚なのである。
これが高値で飛ぶように売れるようになると、温暖化もほんのわずかストップできるのだけどな、と思いながら内臓をずぼ抜き。
振り塩をして保存する。
2日後に取り出して、水分を拭き取り、焼きたてをあつつと言いながら食べる。
縦縞の消えた大人のイサキと比べると脂は少ないとはいえ、比べなければ脂は十二分にあるし、本体全部が非常にうまい。
ちなみにイサキのおいしい点は少しだけ磯の香りがして、上品過ぎないところにある。
イサキの塩焼きご飯一升というけれど、瓜坊の塩焼きでも5合はいけるだろう。
最近のボクは、酒に溺れているので、静岡県藤枝市、志太泉を、なんと2合、も。
どんなに瓜坊が栄養豊かでも、これでは夏が越せない。
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