
あまり魚の内臓は好きではないが、もともと血抜きをしていたのもあるが、再度血抜きをしたのがよかったかも。
いただきもののシークヮーサーをじゃぶじゃぶかけながら食べる。
非常に食べやすい。
少し硬めだけど、マグロの血液の風味があり、うま味がある。
後味に甘さが来るのもいい。
100%酒のつまみだけど、このようなものが一品あるといい。
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迷うことなく根室市杉山水産の11を買う。
昨年は18から始めているので、今年は滑り出しから上々である。
値段は500円なのでワンコインである。
ここ数年でいちばんいいものだし、安いと思う。
さすがに室温で表面が潤むというほどではないが、身が脂のせいで非常に柔らかい。
当然、脂から来る甘味がある。
サンマには特有の渋甘い味わいがあるが、久々に魅了される。
非常に酒をやりたくなったが、お昼なのでご飯で我慢する。
ご飯だってすすみすぎて、困った。
今年の初サンマは上々吉。
これ以上はいらぬ。
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関東を見回しても、一般客を受け入れない市場はなくなったと言っていいだろう。
むしろ、一般客大歓迎といった市場ばかりである。
市場では高級料理店でしか食べられない魚が、手に入る。
もちろんお買い得なものもたっぷりある。
野菜なども同じである。
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今回は、三重県鳥羽市安楽島、出間リカさんに送って頂いた貝類の中にサザエがたっぷり入っていた。
撮影していろんな料理にしたが、たっぷり入っていたので、何個かをそのまま水洗いして水を張り、塩を加えた鍋に入れて火をつけた。
たぶん約8分くらいゆでてそのまま鍋止め(鍋のまま冷ます)する。
ゆで汁は吸物程度の塩分濃度である。
このやり方は昔々、防波堤釣りで川奈港(静岡県伊東市)に通っていたことがあり、そこでお昼ご飯を一緒に食べていた(引退した)漁師さんに習ったもの。
島根県隠岐では少量の水分で蒸すという話を聞いたが、要はゆでるだけなので、さほど深く考える必要はない。
最近までやや濃い目の塩水で煮ていたが、最近薄味でもいいと思うようになっている。
ふたの隙間に貝剥き(貝棒)を入れて軟体部分を取りだし、砂を噛んでいたらゆで汁で洗う。
あとは酢みそでもいいし、意外にそのまま食べてもおいしい。
ルール無用なので好きなように食べるといい。
ちなみに知り合いの居酒屋オヤジのおすすめはタバスコ&マヨ(ネーズ)だ。
醤油で食べてもいい。
ちょっと変だけど、ウスターソースで食べてみた。これが変だけどうまい。
ときどきサザエは苦みだなんて通っぽいことを言う人がいるが、そんな人にはワタだけ食べてもらってもいい。
ボクは通などになりたくもなし(一応一茶風に)、なのでワタの苦みはちょっぴりでいい。
このどうにでもしてね、というのがサザエのよさだ。
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人間は生きていること自体が自然破壊、自然に対する悪影響を極力抑えなければならないが、生き物を無駄なく使うことも重要である。
そのためには、さかな料理を習得しなければならないが、そのとき守るべきことをいくつか挙げる。
さかな料理の入門八箇条(第一考)
一、料理などで知ったかぶりはしない。知らないを武器にする。
二、最初、向上心はいらない。もっとおいしくとか、正しい料理法とかは考えなくてもいい。向上心はおいおい勝手に自分の中に生まれてくる。
三、道具は買わない。包丁くらいは家にあると思う。あればいい。さかな用に買うなんてやってはけない。だいたい包丁にこだわっている人に限って包丁を知らない。包丁を買うべき時は、自然にやってくると思うし、買うべきときが来なければ、切れない包丁を一生使い続けてもまったく問題はない。
四、できるだけ下ごしらえは他人任せにする。スーパーとか魚屋でやってもらう。あとは焼くだけ、とか煮るだけ、とかがいい。
五、惣菜を買って来ても勉強にはなる。外食も大いにするといい。コンビニにもさかな料理はある。刺身でも塩焼きでも煮物でも、まずは買って食べてみるべし。
六、好奇心こそ料理上手を作る。さかな料理を楽しむべし。花から花へ飛んでいくモンシロチョウになれ。
七、自分が作ったものは、おいしくない、と思いがちである。自分が作った料理はうまい、と思え。
八、通の話は無視すべし。世に本物の通はいない。世間で通と言われる人はやけに説得力はあるが、正しいことを言っていない。自分本位である。他人のことは考えないし、排他的な考え方をする。できるだけ、通ではない素直な自分を探し出せ。
入門編で終わっても、それでいいのだ。
もっと詳しくなりたいと思ってから、もっと勉強すべし。
さかな上手になるために、入門編は非常に大切である。この段階を経ないと「さかな上手」になるのがとても難しくなる。
■写真は東京都八王子市、『舵丸水産』。
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「下総の下人どもが食(しょく)いたします俗に下魚(げうお)と唱えまするものゆえ、高位の君があがるものではございません」
という進言を無視して、近所の百姓家でさんまを食べたのだが、さあその美味さが忘れられない。翌日、殿中の溜の間で諸侯を前にこのはなし。これをきいた黒田筑前守(筑前国福岡藩主)が早速に家来に申しつけ、房州の網元からさんまを取り寄せたのだが、御膳奉行が「塩の強い、油のはなはだしきものをあがりつけないお上ゆえ」と、塩と油気をすっかり抜いてさし出したから美味いわけがない。
あくる日、出羽守をつかまえると、
「まるで木をゆで、かんでいるようなもの」
「まずいとおっしゃるが、ご貴殿さまはいずれから……」
「家来に申しつけ、房州の網元から」
「黒田候、それは房州だからまずい。さんまは目黒にかぎる」〉
『目黒のさんま』
矢野誠一の『落語長屋の四季の味』(文春文庫)に出てくる。
先月なくなった矢野誠一のエッセイや評論はすべて我が家にある。
落語はそんなに好きではないというか、時間がないのでじっくり聞いていられないのだけど、矢野誠一の文章は好きでならない。
矢野誠一の死で「東京やなぎ句会」は全員が冥土に旅立ったことになる。
ひとつの時代が終わったのだ。
■銚子産の丸干し。少し黄ばんでいるが、江戸時代、明治時代にはもっとくすんだものだったはず
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その日とれた小魚類を塩味だけでいり煮した、いたって素朴なお惣菜である。一部略〉『味のふるさと 福井の味』(角川書店 1978)
このシリーズの本はプロの割り付けがなされ、しっかり監修もされていて、大きな間違いがないなどとても優秀である。
「越前・海の幸」とあるので、福井県三国(坂井市)から越前町あたりの料理と言うことになる。
今回の作り方は、書籍の記述だけではなく、三国同様「塩いり」を作る石川県加賀市塩屋での話も参考にした。
といっても料理法などというような複雑なものではない。
少量の水にやや多めの塩とほんの少しの酒を加える。
煮立った中に、ざっと水洗いした「甘エビ(ホッコクアカエビ)」をいれて箸で動かしながらいり煮する。
ほんの1分かからず火が通る。
火を通しすぎると身が痩せる。
酒を加えたのと加えていないのを両方作ったが酒は必ずしも誓う必要はないとみた。
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あらゆる情報から離れたところにいる、といってもいいだろう。
国内各地に行くと、店の位置まではネットを見るが、できる限り、その土地に根づいているものを探す。
お昼ご飯を食べるときは、できれば個人経営の店を目指す。
余談になるが、ボクは明らかに知名度ゼロの人間である。
どこからどう見ても目立たない薄汚いデブオヤジだ。
たまたまだろうが、浜松市で3組の方達から声をかけられた。
希に、ごく希に「ですよね」と話しかけられることがあるが、複数の方に声をかけられたのは初めてだ。
昼を過ぎていたので、その中のご夫婦の方に、「このあたりに昔ながらのものが食べられるところありますか?」と聞いたら、ついてきなさいと言ったので、ついて行った。
ムムム、そこは思いもしなかったところ、ボクが絶対に足を踏み入れないところ、チェーン店だったのだ。
仕方なく店内に入って席に着くやいなや、目撃したその光景にビックリ仰天した。
出て来た料理と店員さんとで写真をとっている家族がいたのだ。
とすると、これはこれで「昔ながらのもの」なのか?
あとあとウィキで調べると、なんだかんだあって今の形の創業は1989年のようだ。
どう考えても老舗とは言えないと思うが、悪意で教えてくれたわけでもないだろう。
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