カヤモノリ

Scientific Name / Scytosiphon lomentaria (Lyngbye) Link, 1833

カヤモノリの形態写真

長さ50cm前後になる。一点から茎が筋状に伸び、枝分かれしない。細長くイネ科びイネもしくはカヤ(茅)の茎ににて節(くびれ)がある。
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長さ50cm前後になる。一点から茎が筋状に伸び、枝分かれしない。細長くイネ科びイネもしくはカヤ(茅)の茎ににて節(くびれ)がある。長さ50cm前後になる。一点から茎が筋状に伸び、枝分かれしない。細長くイネ科びイネもしくはカヤ(茅)の茎ににて節(くびれ)がある。
    • 物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    植物界褐藻植物門褐藻綱カヤモノリ目カヤモノリ科カヤモノリ属

    外国名

    学名

    Scytosiphon lomentaria (Lyngbye) Link, 1833

    漢字・学名由来

    漢字 茅藻海苔
    由来・語源 「萱」の葉のような海藻ということ。

    地方名・市場名

    生息域

    海水生。潮間帯上〜中部の岩などの上。
    日本各地沿岸。朝鮮半島、中国、台湾、オーストラリアなど世界中の温帯、亜寒帯。


    生態画像 浅いときに干上がるような岩や杭などにつく。干潮時の姿。
    生態画像 船着き場の筏についたもの。

    生態

    基本情報

    日本各地で海岸線でいたって普通に見られる海藻。
    各地で干して加工する。不思議なことに生のまま使うという地域は少ないようだ。乾製品はあまり産地から出ることなく利用されている。呼び名が違っても、乾燥させて狭い地域で流通するという共通点がある。
    非常に味のいい海藻で、香り高く、汁の実などにして美味なので、正月などに食べるという地域も多い。
    よく食べる習慣のある三重県鳥羽市では養殖も試みられている。

    水産基本情報

    市場での評価 比較的狭い地域で乾製品が流通する。高価。
    漁法 採取
    産地 三重県、愛知県、静岡県、福井県、徳島県

    選び方

    流通しているのは乾燥品。乾燥して、香ばしい磯の香りのするもの。

    味わい

    旬は乾物なので周年。
    採取時期は冬から春。板状に乾燥させている。
    そのままあぶる、熱湯に入れると鮮やかな緑になり、香りが強い。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    カヤモノリの料理法・調理法・食べ方(乾製品)/あぶる、汁(吸もの、みそ汁)、天ぷら 生/ゆでる、汁(みそ汁、吸もの)、佃煮
    かやものりのあぶり
    あぶる(炙る)/乾製品 静岡県、愛知県で食べられている「なのり」は採取して水洗い、板状に広げて干したもの。そのままのもの(左)と、あぶったもの(右)。あぶると緑色が少しだけ鮮やかになる。
    かいのりのあぶり/乾製品 カヤモノリの乾製品の基本形はあぶって細かくもみ、ご飯などにかけて食べるである。静岡県沼津などでは少ししょうゆを加えるなどする。個人的にはそのままで別におかずを添えるのが好みだが、食べ方はお好みで。
    お握り(なのりお握り)/乾製品 カヤモノリの乾製品(ここでは愛知県産なのりを使用)をあぶって細かくほぐす。これを塩握りにまぶしつけたもの。ご飯に混ぜ込んでお握りにしてもおいしい。ご飯は炊きたてか、レンジで温めてから。温かいご飯の方が香りが立つ。
    カヤモノリのあぶりあぶり/乾製品 ここでは福井県の「菅藻(すがも)」を使った。両面を苦みが出ない程度にていねいにあぶったもの。しょうゆを添えて酒の肴やご飯の菜にする。お弁当などに入れてもいいだろう。
    むぎわらのりと餅むぎわらのりと餅/乾製品 三重県尾鷲市の「むぎわらのり」をあぶって焼きたての餅に絡めたもの。海藻の風味と餅、少量のしょうゆが合わさってとてもおいしい。
    カヤモノリのお吸いものお吸いもの 磯で採取したカヤモノリをよく水洗いして、水分を取り、カツオ節だしに放ったもの。味つけは酒と塩のみ。香りは乾物の方がいいが、食感と甘味は生の方がいい。
    なのりのみそ汁みそ汁/乾製品 乾燥カヤモノリを軽くあぶり、カツオ節だしのみそ汁に入れたもの。あぶらなくてもいい。しゃきしゃきと心地よい食感が楽しめ、ワカメとは別種のうまさが楽しめる。生で作ってもおいしい。
    カヤモノリの吸もの
    お吸いもの 採取したカヤモノリはよく水洗いして、付着物などを除去する。水分をよくきり、とんとんと刻み、カツオ節の汁に放つ。成長したものは少し煮た方がいい。味つけは酒・塩でも、酒・しょうゆでもいい。
    カヤモノリの佃煮
    カヤモノリの佃煮 採取したカヤモノリは水洗いして付着している別の海藻や汚れを取り、水分をよく切っておく。これをトントンと刻む。しょうゆ、砂糖、酒を煮立たせたところに刻んだカヤモノリを入れてさっと短時間に煮る。味つけはお好みで。シャキシャキとした心地よい食感でおいしい。

    好んで食べる地域・名物料理

    静岡県沼津市、愛知県、三重県尾鷲市・鳥羽市・南勢町、徳島県、福井県など

    加工品・名産品


    けのりけのり(毛海苔) 漢字で「毛海苔」は若いものを採取するので干し上げると髪の毛のようであるため。比較的若い柔らかいものを板状にしないで干して束ねたもの。さっと炙り、ご飯にかけてり、ご飯の混ぜてお握りにしたり。またお吸いものに入れてもいい。[あらしま新鮮組 三重県鳥羽市安楽島]
    かいのり 漢字では「貝海苔」ではなく「茅海苔(かやのり)」が変化したものかも知れません。比較的大きくなったものを採取して板状に干し上げたもの。あぶってもみほぐしてご飯に乗せて食べたり、汁ものに利用する。[徳島県海部郡海陽町宍喰・竹ヶ島]
    なのりなのり 静岡県や愛知県では「なのり」という。この東海地方が「なのり」という同じ呼び名で流通する地域としては一番広いと思う。漢字にすると「菜海苔」かも知れない。板状にすいて干し上げたもので、炙ってご飯にかけたり、雑煮に入れたりする。
    むぎわらのりむぎわらのり(麦藁海苔) 「麦藁海苔」は江戸時代にもある呼び名。これは三重県尾鷲市で作られているもの。板状で比較的厚みのある。あぶると非常に香ばしく、海藻のうまさが堪能できる。
    菅藻福井菅藻(すがも) 「菅」はイネ目カヤツリグサ科の植物で形状はイネ(稲)やムギ(麦)に近い。鮎川(福井市)で作られているもの。板状にすいて強く干して乾物にしたもの。軽く炙ってそのまま食べたり、酢のものに入れたりして食べる。[天辰 福井県福井市]

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    ■ 「麦わらのり」というのが江戸初期延宝年間(1600年代後半)の『いとなみ六ぽう』の「おごうり」の売り声にワカメ、昆布などに混ざって「むぎわらのりいそもちのり」というのが出てくる。この「むぎわらのり」がカヤモノリ、「いそもちのり」がハバノリかも知れない。参考文献『海藻』宮内章 法政大学出版局

    参考文献・協力

    協力/菊貞・菊地利雄さん(静岡県沼津市沼津魚市場)、岩田昭人さん(三重県尾鷲市)、竹ヶ島のみなさん(徳島県海部郡海陽町宍喰竹ヶ島)
    同定他/千葉県立中央博物館海の博物館 菊地則雄

    地方名・市場名

    ムンギャラ[麦藁]
    場所三重県尾鷲市 
    ムギワラ[麦藁] ムギワラノリ[麦藁海苔]
    場所三重県鳥羽市・尾鷲市 参考岩尾豊紀さん 
    ケノリ
    場所三重県鳥羽市全域 参考岩尾豊紀さん 
    エゲソ
    場所三重県鳥羽市周辺 参考岩尾豊紀さん 
    カイノリ
    場所三重県鳥羽市相差・畔蛸 参考岩尾豊紀さん 
    モーコナゴ
    場所三重県鳥羽市答志島 ・安楽島 参考岩尾豊紀さん、出間リカさん 
    フクゾ
    場所三重県鳥羽市答志島 桃取 参考岩尾豊紀さん 
    ダンダラ
    場所三重県鳥羽市菅島 参考岩尾豊紀さん 
    ガネガス
    場所徳島県海部郡美波町日和佐 参考20190220 
    スガモ[菅藻]
    場所福井県福井市 
    スガラ
    場所青森県中泊町小泊 参考20200507野呂恭成さん 
    ナノリ[菜海苔]
    場所静岡県、愛知県 
  • 主食材として「カヤモノリ」を使用したレシピ一覧

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