さかな料理の入門7箇条。素直がいちばん

向上心はいらない、自己肯定的になろう


さかな上手とは、水産物(食用水産生物)を上手に、日々活用できる人間のことである。
人間は生きていること自体が自然破壊、自然に対する悪影響を極力抑えなければならないが、生き物を無駄なく使うことも重要である。
そのためには、さかな料理を習得しなければならないが、そのとき守るべきことをいくつか挙げる。

さかな料理の入門八箇条(第一考)
一、料理などで知ったかぶりはしない。知らないを武器にする。
二、最初、向上心はいらない。もっとおいしくとか、正しい料理法とかは考えなくてもいい。向上心はおいおい勝手に自分の中に生まれてくる。
三、道具は買わない。包丁くらいは家にあると思う。あればいい。さかな用に買うなんてやってはけない。だいたい包丁にこだわっている人に限って包丁を知らない。包丁を買うべき時は、自然にやってくると思うし、買うべきときが来なければ、切れない包丁を一生使い続けてもまったく問題はない。
四、できるだけ下ごしらえは他人任せにする。スーパーとか魚屋でやってもらう。あとは焼くだけ、とか煮るだけ、とかがいい。
五、惣菜を買って来ても勉強にはなる。外食も大いにするといい。コンビニにもさかな料理はある。刺身でも塩焼きでも煮物でも、まずは買って食べてみるべし。
六、好奇心こそ料理上手を作る。さかな料理を楽しむべし。花から花へ飛んでいくモンシロチョウになれ。
七、自分が作ったものは、おいしくない、と思いがちである。自分が作った料理はうまい、と思え。
八、通の話は無視すべし。世に本物の通はいない。世間で通と言われる人はやけに説得力はあるが、正しいことを言っていない。自分本位である。他人のことは考えないし、排他的な考え方をする。できるだけ、通ではない素直な自分を探し出せ。

入門編で終わっても、それでいいのだ。
もっと詳しくなりたいと思ってから、もっと勉強すべし。
さかな上手になるために、入門編は非常に大切である。この段階を経ないと「さかな上手」になるのがとても難しくなる。
■写真は東京都八王子市、『舵丸水産』。


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