サワラ
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珍魚度・珍しさ | ★ いつでも手に入る |
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魚貝の物知り度 | ★ 知らなきゃ恥 |
食べ物としての重要度 | ★★★★ 重要 |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
分類 | 顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目サバ亜目サバ科サワラ族サワラ属
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外国名 | Japanese spanish mackerel
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学名 | Scomberomorus niphonius (Cuvier, 1831)
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漢字・学名由来 | 漢字 鰆、狭腹、小腹、馬鮫魚 Standard Japanese name / Sawara Cuvier バロン・ジョルジュ・レオポルド・クレティアン・フレデリック・ダゴベール・キュヴィエ(Baron Georges Léopold Chrétien Frédéric Dagobert Cuvier 1769-1832)。フランスの分類学者。キュビエとされることが多い。スエーデンのリンネ、フランスのビュフォンの分類体系に解剖学や古生物学などを加味して現在の形の礎を作った巨人のひとり。 |
地方名・市場名 |
概要
生息域
海水魚。沿岸表層性。
北海道南部〜九州南岸の日本海・東シナ海・太平洋沿岸、瀬戸内海、沖縄本島。
東シナ海大陸棚域、朝鮮半島南岸・西岸、済州島、黄海、渤海、台湾。
生態
産卵期は春から初夏。早まっているという情報もある。
基本情報
北海道から朝鮮半島、中国東シナ海、台湾などで見られる大型魚で、我が国だけではなく韓国や中国、台湾などでも重要な食用魚だ。サワラは、成長にともなって名前が替わる出世魚のひとつ。
古くは西日本に多く、瀬戸内海などで春に産卵回遊してきたものを大量にとっていたので、春の季語となり、魚へんに春という漢字が当てられた。それがまったく当てはまらなくなっている。
西日本の魚で、東日本に少ないというイメージもあった。ただ、東京湾などでも揚がり始め、北上傾向にあり東北などでも水揚げ量が増えている。当然、全国的に知名度が上がり、食文化の地域性は完全に消滅している。
鮮魚だけではなく、塩蔵品、干物、漬け魚でも流通する。
国産の他、輸入もされており需要の高い魚の代表格でもある。
珍魚度 古くは西日本の魚だったが、今や本州以南のどこでもとれる。水揚げ量も増えており、スーパーなどでも普通。
水産基本情報
市場での評価 「さごち(若魚)」は年間を通して入荷の多いもの。「さわら」も年々入荷が増えてきている。値段は大きいほど高い。大型は高級魚。
漁法 流し刺し網、釣り(曵き縄)、定置網、巻き網
主な産地 福井県、石川県、京都府、長崎県、島根県
選び方・食べ方・その他
選び方
身のしっかりして硬いもの。目が澄んで、体色(銀色)の光っているもの。
味わい
旬は周年。旬と言える区切られる期間はなくなっている。国内各地から年間を通して非常に味のいい固体がやってくる。サワラは季語とはならなくなった。
サゴチ(小型魚)はあまり脂はのっていないが、年間を通して安定しており、種々の総菜などに利用出来る。
鱗は小さく簡単にとれる。皮は弱く骨は硬くない。鮮度のいいときは透明感のある白身だが、すぐに白濁する。味わいは淡白でいながら、ほろっとした甘みがあり、クセのないもの。刺身は鮮度がよく脂がのっているものがよい。生で食べると上品で、嫌みのない味わい。皮目をあぶると旨みが重圧になる。
白子、真子、はらわた(胃、心臓、肝など)も美味。料理法を選ばない魚である。
栄養
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危険性など
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食べ方・料理法・作り方
三枚に下ろして小さなものは血合い骨を抜く。大型は血合いを切り取る。皮目をあぶって冷水に落として粗熱を取る。水分をよくとり刺身状に切る。
皮目の味わいの深さはサバ科ならでは。かといって白身のよさを兼ね備えているのが、サワラの素晴らしさだと思っている。写真は全長70cmで、あまり脂が強くないので限りなく食べられそうである。
好んで食べる地域・名物料理
りゅうきゅう 生の魚の切り身をすりごまとしょうゆ、みりんなどのタレに漬け込んでご飯にのせたもの。「あつ飯」と同じ。[大分県全域]『酒と肴の文化地理 大分の地域食をめぐる旅』(中村周作 原書房)
あつ飯(あつめし) 生の魚の切り身(刺身)をたれ(しょうゆ、みりん、酒、ねぎ、しょうが、すごまを合わせたもの)に漬け込んで置き、温かいご飯(熱々のご飯)にのせて食べるものなので「熱飯」という。魚はマアジ、サバ、ブリ、カンパチ、サワラ。[大分県佐伯市、大分県北部]『酒と肴の文化地理 大分の地域食をめぐる旅』(中村周作 原書房)
加工品・名産品
冷凍フィレ フィレやロインなど様々なものがある。輸入ものもあるし、国産もある。
釣り情報
ルアーなどで船釣りが関東でも盛んとなってきている。
歴史・ことわざなど
季語歳時記
春
宴席料理の吸い物に使う 徳島県美馬郡貞光町の宴席料理にて吸い物に切り身が入る。
浪花の風 〈(浪花では)端午には、汁にふき、茗荷の子、小赤豆、細根大根にあぶら物、焼物には塩ざわらを用ふ〉『浪花の風』(久須美祐雋)
地方名・市場名
参考文献 場所愛媛県川之江
参考『美ら海市場図鑑 知念市場の魚たち』(三浦信男 ぬにふぁ星 2012) 場所沖縄県南城市知念漁協
参考文献 場所福岡県玄海
参考文献 場所長崎県対馬
備考他のサワラ類とわけて。 参考鮮魚店20220204 場所東京都北区霜降、島根県東部
サイズ / 時期小型魚・若魚 備考『和漢三才図会』、『魚鑑』にある。狭腰。【出世魚】小型魚をサゴシ、50cm~70cmほどをヤナギ、成魚をサワラ。 参考聞取、『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 場所和歌山県、島根県西部、徳島県阿南市『椿泊漁業協同組合』、高知県宿毛市田ノ浦すくも湾漁協、鹿児島県種子島
備考石川県金沢ではマカジキを「サワラ」というに対して。 場所石川県金沢
サイズ / 時期1㎏弱 場所徳島県海部郡海陽町宍喰・竹ヶ島
サイズ / 時期1㎏弱 場所関東
サイズ / 時期若い個体 備考地域でサイズが違う。【出世魚】小型魚をサゴシ、50cm~70cmほどをヤナギ、成魚をサワラ。高知では全長30cm前後まで。 場所徳島県阿南市『椿泊漁業協同組合』、高知県
サイズ / 時期成魚 備考【出世魚】小型魚をサゴシ、50cm~70cmほどをヤナギ、成魚をサワラ。一般的魚名でもある。 参考『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 場所東京、神奈川県、和歌山県、徳島県阿南市『椿泊漁業協同組合』、高知県、鹿児島県種子島
備考【出世魚】小型魚をゴシ、シマウマ。1kg以下をサゴシ。50cm~70cmほどをヤナギ、成魚をサワラ。 場所高知県
参考文献 場所沖縄県