スルメイカ
代表的な呼び名スルメ
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珍魚度・珍しさ | ★★ 少し努力すれば手に入る |
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魚貝の物知り度 | ★ 知らなきゃ恥 |
食べ物としての重要度 | ★★★★★ 非常に重要 |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
分類 | 動物門軟体動物門頭足綱鞘形亜綱十脚形上目ツツイカ目開眼亜目アカイカ科スルメイカ亜科スルメイカ属
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外国名 | Japanese flying squid
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学名 | Todarodes pacificus Steenstrup.1880
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漢字・学名由来 | 漢字 鯣烏賊、須留女烏賊、寿留女烏賊 Surumeika Sasaki 佐々木望(ささき・まどか/明治16年〜昭和2年 1883年〜1927年)。広島県広島市生まれ、ハンガリー、ブダペストで客死。動物学者。軟体類とくに頭足類の分野で大きな業績を残す。多くの軟体類を記載。 |
地方名・市場名 |
概要
生息域
海水生。
オホーツク海、北海道〜琉球列島。香港。北限はカナダでも発見されている。
生態
孵化して産卵するまでが1年、産卵すると死んでしまうので、まさに1年イカである。
スルメイカはメスが大きくオスが小さい。
市場で見ていると小振りの「ばらイカ」というものが真冬の日本海を皮切りに入荷してくる。それが初夏まで続くのであるが、これは日本近海でのスルメイカが産卵期によって3系群あることによる。
外套長(胴の長さ)25センチ前後になる。胴は太さが一定に近く細長い。腕は8本だが、触椀というエサを捕獲するための2本の特殊な腕を持っており、合計10本となっている。
吸盤には角質化したリングがはまっていて鉤状になっている。
体の中に軟甲(なんこう)という柔らかく透明なプラスティックを思わせるようなチキン質の貝殻の退化してものを持つ。
秋生まれ群 東シナ海北部から日本海南西部で9月から11月に発生する。日本海の沖合を回遊し、大型になり、日本海での漁獲の7割を締めるもの。
冬生まれ群 太平洋九州・四国沿岸で12月から3月に発生。黒潮にのって太平洋側を多くが回遊、もっとも北まで到達する。太平洋側での水揚げの多くはこの系群。
基本情報
日本列島を取り巻くように群れを作って回遊している。日本各地で「マイカ(真イカ)」と呼ばれているのは水揚げ量が多く、もっとも一般的だからだ。乾物として、干ものとして、生鮮品として日常的なものだし、非常に重要なものだ。これが2020年前後から不漁となっているのは深刻である。
貝殻は非常に退化的で薄いプラスティックのよう。武井周作はこれを〈骨硝子紙(びいどろがみ)のごとし〉と記している。
その群れに三群あって、産卵期が少しずつずれているために、年間を通して市場にみられ、年間をとおしておいしいものが手に入る。日本の総水揚げ量の半分を占めていたこともあり、重要な水産物でもある。
鮮魚として重要なだけでなく、おびただしい種類、量の加工品の原材料となっている。
特に「するめ」のほとんどが本種を原材料としている。
すなわちもっともたくさん「するめ」に加工されるイカであるから本種の名がある。
珍しさ度 普通の食用イカである。スーパーなどでもお馴染みであるが、最近、入荷が不安定でいつでも手に入るイカではなくなりつつある。
水産基本情報
■ 鮮魚、冷凍ともに毎日のように入荷している。量的にも多い。価格は安値安定。
■ 氷を下に敷き詰めて並べたものを「下氷」、釣り上げたものを冷海水のなかでしめて、そのまま水氷で近場から直送したものを活けスルメと呼ぶ。「活けスルメ」の方がやや高値。
■ 季節によって大きさによって入荷方法が違う。小型のものを発泡に無造作に投げ込んで出荷、これを「バライカ」と呼ぶ。値段は大型以上に安い。
漁法 釣り、巻き網
産地(漁獲量の多い順) 北海道、青森県、宮城県、岩手県、石川県、長崎県
下氷は船上で釣り上げたものをすぐに箱詰めする。漁場は遠く、値段も安い
比較的近海で釣り上げたものを海水氷でしめたもの。入荷までの時間が短く、吸盤がすいついてくる。下氷と比べて高い
春から初夏にかけて入荷してくるまだ若いものを「ばらいか」という。小振りなので箱に並べられない。値段は安い
選び方・食べ方・その他
選び方
生きているとき、水揚げされた時点では透明、時間をおくと褐色になり、やがて白濁した色合いとなる。スーパーなどでは白くないものを選ぶ。
味わい
年間を通して美味。
身はほどよい硬さで、旨み、甘みは生ではやや少ない。
焼くと少し硬く締まる。旨み、甘みが増す。特に皮は味わい深い。
栄養
良質なタンパク質が多く、低カロリー。コレステロール低下作用や視力向上、肝機能を強化してくれるタウリンが豊富に含まれます。肝には目の疲れ、視力の低下を軽減し、肌荒れ、風邪の予防効果のあるビタミンAが非常に多く含まれる。またイカ墨にはガン抑制作用があるとされています。
危険性など
■ アニサキスの宿主。刺身などでは注意が必要。
食べ方・料理法・作り方
好んで食べる地域・名物料理
かき揚げ 江戸前天ぷらの天丼のかき揚げに使う。かき揚げには上と並があり、並ネタのひとつ。
するめの天ぷら 「するめ」をもどして天ぷらにしたもの。他には「身欠きにしん」をもどして天ぷらにする。[会津地方全域]
加工品・名産品
いかずし ニンジンと一緒につけ込んだもの。すしというよりも漬け物に近い。
いかぽっぽ焼き ゆでたスルメイカを串に刺して焼くのみの状態になっている。
沖づけ 沖で漁をするときにしょうゆ、みりん、酒などで調味したつけ汁を持参して、釣り上げたばかりのスルメイカを生きているときにつけ汁に入れる。関東州半の海辺など、日本各地。
岐阜県古川(岐阜県飛騨市古川町)では〈正月よりもむしろこの「としとり(年取)」に重きが置かれる。「ぶりや煮いかやカマボコなど、普段では食べられないようなご馳走を食べる習慣があった」〉飛騨古川 八ツ三旅館 女将 池田加津美『サライ』(1990 12/20)
釣り情報
関東ではイカ角(擬餌バリ)を使って釣る。初夏の麦イカ釣りから、やや深場のスルメイカ釣りまで人気が高い。
歴史・ことわざなど
鯣 結納の品のひとつ、「寿留女(するめ)」の原料。
■ 加工品、鮮魚ともにもっとも重要な水産物。
■ 漁獲量が多く、我が国での水産物水揚げの5パーセント前後を占める。
真いか 国内で漁獲するイカの半分以上が本種である。代表的なイカであることから「真いか(まいか)」と呼ぶ地域が多い。それでスルメを釣る船の漁り火は、人工衛星からの映像で日本海を大都市が出現したかのように浮かび上がらせると言う。
■ 加工品の種類が多い。イカの塩辛、缶詰、するめ、丸干し、一夜干し、いかめし(イカ飯)、酢いか、さきイカ。
島根のすさみ 川路聖謨。天保11年佐渡への途次。三国街道、三俣宿(新潟県湯沢町)宿の食事。〈汁 くじら・なす・豆腐。平(平椀) ぜんまい・いんげん。膾 大根おろし、名もしらぬ塩肴一切れ。鮨 きざみするめ三筋ズツ。取肴 名はしらず、田づくりに似たるもの十ばかり〉。この鮨は明らかにスルメイカを糀と漬け込んだものと思われる。
地方名・市場名
サイズ / 時期稚イカ 参考河部友彦さん(海辺のかわべ屋/三重県度会郡南伊勢町) 場所三重県南度会郡伊勢町
参考福畑敏光さん 場所長崎県平戸市度島
場所青森県青森市
サイズ / 時期稚イカ 場所山口県萩
参考青山時彦さん(宇部市青山鮮魚)、聞取 場所山口県宇部市・下関
場所徳島県阿南市
サイズ / 時期稚イカから胴長10cm前後まで 備考1尾の大きさが皿に盛ってはみ出さないほどだという意味合い。 場所三重県熊野市遊木漁港
場所島根県、山口県仙崎
備考小型のものを言うことが多い。 場所鳥取県、島根県
場所静岡県沼津市
サイズ / 時期稚イカ 参考河部友彦さん 場所三重県南伊勢町・紀伊長島・尾鷲市・熊野市
サイズ / 時期小型 備考春から初夏にかけてとれるまだ小振りのもの。 場所新潟県佐渡、東京都内市場
場所各地
サイズ / 時期小型 場所高知県宿毛市田ノ浦すくも湾漁協、青森県鰺ヶ沢
サイズ / 時期小型 備考初夏に関東周辺でとれる小さな若いイカ。これは相模湾などで若いスルメイカがとれる時期と麦の収穫期が同じであることからきている。 参考聞取 場所神奈川県相模湾周辺
部位肝臓 備考関東でもときどき「ゴロ」という。 場所関東
部位肝臓 備考腑ではないかと思われる。香住では形の揃わない個体が混ざって入った箱をいう。 場所宮城県