ウバガイ
代表的な呼び名ホッキガイ
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珍魚度・珍しさ | ★★ 少し努力すれば手に入る |
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魚貝の物知り度 | ★★★ 知っていたら通人級 |
食べ物としての重要度 | ★★★★ 重要 |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
分類 | 軟体動物門二枚貝綱異歯亜綱マルスダレガイ目バカガイ超科バカガイ科バカガイ亜科ウバガイ属(Pseudocardium)
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外国名 | Hen-clam
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学名 | Spisula sachalinensis (Schrenck, 1862)
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漢字・学名由来 | 漢字 姥貝、雨波貝 Ubagai 目八譜 1843(天保14)、武蔵石寿(武蔵孫左衛門)が編んだ貝の図譜のひとつ。図は服部雪斎が描く。武蔵石寿は貝類を形態的に類別。1064種を掲載する。現在使われている標準和名の多くが本書からのもの。貝類学的に非常に重要。 |
地方名・市場名 |
概要
生息域
海水生。潮間帯下〜水深50mの砂泥地。
九十九里・銚子〜北海道日本海沿岸以北。
千島列島、サハリン、沿海州、オホーツク海の浅い砂地に生息。
生態
河川の影響を受けない砂地に生息。
海水中の植物プランクトンやデトリタスをエサとしている。
生殖腺の色(やや赤い乳白色-雄、乳白色-雌)。
産卵期は初夏から夏。
基本情報
国内では茨城県以北の太平洋沿岸、北海道で揚がる。水揚げ量は圧倒的に北海道が多い。市場などでは主にホッキガイと呼ばれている。漢字にすると「北寄貝」で北のイメージが強い。ウバガイという標準和名はもとは福島県での呼び名で、流通の場ではまったくといっていいほど使われていない。
代表的な産地は北海道、青森県、福島県など。貝ケタ網漁でとる。流通量は多く、比較的安い。
基本的に剥き身にして利用するが、非常に剥きやすい。
万人向きの味なのでもっと一般家庭でも利用すべきだと思う。
珍しさ度 流通量は決して少なくない。手に入らなければ通販でも入手できる。
水産基本情報
漁法 けた網漁
産地 北海道、青森県(12月〜3月)、福島県、宮城県
選び方・食べ方・その他
選び方
持ち重りのするもの。しっかり貝殻を閉じているもの。
味わい
貝殻は厚く重みがある。砂を噛んでいることが多い。
足(すしネタなどに利用する部分)が大きく、つけ根部分の中にざらっとした肝膵臓がある。
クセのない味わい。熱を通すと少し硬くなる。
栄養
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危険性など
ヒモビル 環形動物門無針綱ヒモムシ目。外套腔に寄生する。人体にはまったく影響しない。
食べ方・料理法・作り方
剥いてヒモや内臓を切り取り、塩水の中で砂などをていねいに流す。身(足)を開いて赤く染まるくらいにやや強めの塩水で湯引き、氷水に落としてぬめりをとる。水分をよく切り、大きさによっては半分に切る。軽く酢洗いしてもいい。
好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
■「(石川啄木)の明治45年の日記に「夜になると熱は下がったが、からだは疲れてゐた。豆銀糖を食ってゐると、不図私は盛岡の蒸し北起が食いたくなった」。
「(昭和30年代生まれ)幼いときから蒸しホッキをまるごと、豆腐などの食材と一緒に入れた『おつゆ』を食べていた」、「(同父親の回想)ホッキ貝は盛岡では珍しいものではなく、冬ともなれば竹串に三つずつ刺したものを売っていた」[『盛岡学 vol.2 2006』内「石川啄木が愛した盛岡の味」松田十刻]
■「ホッキ貝の蒸したものをお雛様に供えました(雛の節供に食べていたと言うことかも)」[金谷つた 1904年盛岡市生まれ『おばあちゃんからの聞き書き 明治・大正・昭和の食卓』(ハウス食品ヒーブ室編 2001)]
「ウバガイ」は主に福島県での呼び名なので主に東北などから来たものだと思われる。山梨県韮崎市では軒先に干していたというので、比較的気温の低い時季に生きた状態で送られてきていて、寒冷な山梨県で干していたのだと思われる。今では干したものが北海道からやってきている。
非常に硬いものだが基本的にそのまま口のなかに入れてじっくり唾液に馴染ませて食べる。子供には足の先端に孔をあけて糸を通して首にかけておやつとして与えていたという。おしゃぶりの代わりだろう。水管やひもなどはかゆにする。
また風邪を引いたときには粥に入れて食べていたらしい。
[みな与 山梨県甲府市ほか]
釣り情報
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歴史・ことわざなど
母恋 北海道室蘭市。駅名にもある。アイヌの語「ポクセイ・オ・イ」。ホッキガイ(ウバガイ)がたくさんとれるところ、という意味から。
地方名・市場名
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所アイヌ語
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所北海道十勝・釧路
参考文献 場所北海道長万部
参考『銚子および飯岡沿岸におけるウバガイ漁業』(信太雅博千葉県水試研報1993) 場所千葉県銚子市外川
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所福島県、茨城県
参考『日本貝類方言集 民俗・分布・由来』(川名興 未来社) 場所青森県八戸
備考アイヌ語のポキセイからきたものだと思う。漢字を当てたのは後世のことだろう。 場所北海道道根室市・道南地方・網走・十勝、東北、青森県八戸・野辺地、岩手県旧九戸郡、宮城県仙台、福島県相馬市、東京、関東周辺、九州
備考アイヌ語で。 参考文献より。