ホッコクアカエビ
代表的な呼び名アマエビ
こちらも一般に「甘エビ」と呼ばれるよ
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珍魚度・珍しさ | ★ いつでも手に入る |
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魚貝の物知り度 | ★★ これは常識 |
食べ物としての重要度 | ★★★★ 重要 |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
分類 | 節足動物門甲殻亜門軟甲綱(エビ綱)真軟甲亜綱エビ上目十脚目抱卵亜目コエビ下目タラバエビ科タラバエビ属
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外国名 | 英名/Deepwater prawn,Deepwater shrimp,Pink prawn
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学名 | Pandalus eous Makarov, 1935
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漢字・学名由来 | 漢字 北国赤蝦、北国赤海老 Hokkokuakaebi |
地方名・市場名 |
概要
生息域
海水生。水深300m-1000m。
日本海から北海道、ベーリング海、アラスカ、カナダ西岸にまで棲息する。
生態
■ 資源的にはタラバエビ科では比較的安定している。これはタラバエビ科でも本種を含むタラバエビ属(Pandalus)は抱卵数が多く資源が回復しやすい。
■ 春先に産卵して、メスが卵を1年近く腹にある足で抱きかかえて保護し翌年の冬に孵化放出する。
■ 雄性先熟。孵化した幼生はプランクトンとして漂い。小エビになって約5年から6年間オスとして成長する。オスとして成熟するには4年から5年かかり、交尾してからメスに性転換する。すなわち市場で見る大型の甘エビ(ホッコクアカエビ)は大きなものは総てメスなのだ。
■ メスの産卵は2年ごとであり、卵を抱く期間が1年弱。市場でも抱卵しているのと抱卵していない個体を見るのはこのためである。
■ 小振りの甘エビで抱卵していないものはオスと言うこともある。
基本情報
生息する水深が深く、漁業の対象となったのはそれほど古くはない。主に日本海側でとれるもので、1960年代に新潟県などから「ナンバンエビ」という呼び名で入ってきていた。この当時、デパートの物産展などが行われ、徐々に一般に知られる存在となった。
本来エビは生で食べるよりもゆでたり、揚げたりして食べていたもの。これを主に生で食べる甘エビ類が当時は新鮮であったよう。最近では国内産だけでは足りずロシア、カナダなどからの輸入している。近縁種のホンホッコクアカエビもグリーンランドから輸入していて、日本人の「甘えび好き」はわかる。
珍しさ度 スーパーなどでも普通に売られている。殻付きも珍しくはない。
水産基本情報
市場での評価 年間を通して入荷してくる。冷凍物はロシア産が多くやや高値。生鮮生は高級。
漁法 カゴ漁、底曳網
主な産地 北海道、石川県、新潟県、富山県、福井県
選び方・食べ方・その他
選び方
冷凍ものは解凍も簡単で値段も安いのでおすすめ。
生は赤味の強いもの。
味わい
旬は不明。
性転換する前の小振りの雄がうまいとも。
殻は薄く、身は水分が多い。旨みは少なく、甘みが強い。この甘みは粘液質のアミノ酸が原因で、甘みを長く感じるため。
栄養
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危険性など
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食べ方・料理法・作り方
まずは剥き身にしてオリーブオイルと塩で和えておく。こうすると冷凍しても劣化しない。耐熱の器にたっぷりのにんにく、オリーブオイル、剥き身を入れる。塩コショウして少しかき混ぜる。火にかけて泡立ってきたら一度かき混ぜて、お好みの火の通し加減になったら出来上がり。
身自体も甘味があって非常に美味だが、身から出たうま味を溶かし込んだオリーブオイルがさらにうまい。
好んで食べる地域・名物料理
なんばんえびの塩辛 頭と尻尾を指でプチッとつまみとって、殻を剥いて薄い塩水で洗い、塩を振り一日置く。北海道釧路市。『釧路港 味覚の散歩道』(工藤虎男 釧路新書別巻)
加工品・名産品
釣り情報
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歴史・ことわざなど
■ 現在「アマエビ(甘えび)」として市場に流通するのは北大西洋でとれるホンホッコクアカエビと本種である。本種はホンホッコクアカエビと同種、もしくは亜種とされた時期があったが近年別種となった。
■ 新潟の甘エビ漁師に聞くとこの性転換前のオスがいちばん味がいいという。
■ 産地は鳥取県から北海道西部、噴火湾から根室。ロシアから大量に入荷してくる。
■ もっとも漁獲量の多いのは北海道西岸。北海道での甘エビの漁獲高は全国での7割前後をしめる。
■ 主にエビカゴで、また底引き網でとるのだが、当然カゴ漁のものが鮮度もよく値段が高い。これはエビカゴでとったものは船の生け簀でいかし、出荷直前に箱詰めされる。値段からして底引きとエビカゴ漁では別物。
■ 活け、とれたばかりより、翌日の方が甘味は強い。
タラバエビ科(Pandalidae)について◆
■ タラバエビ属、モロトゲアカエビ属、ミノエビ属、ジンケンエビ属など食用種が多い。
■ 代表的な食用種にボタンエビ、トヤマエビ(ボタンエビ)、スナエビ、モロトゲアカエビ(シマエビ)、ヒゴロモエビ(ブドウエビ)、ホッコクアカエビ(甘エビ)、ホンホッコクアカエビ(甘エビ)、ミノエビ、アカモンミノエビ、ジンケンエビなど多数。
■ 輸入されている種も多い。
地方名・市場名
場所富山県、福井県三国
場所山形県鼠ヶ関
備考抱卵していないホッコクアカエビのこと。抱卵しているものは「アマエビ」。 場所富山県高岡市地方卸売市場
備考一般的。 参考松澤周一さん(新潟県糸魚川市) 場所関東周辺、新潟県糸魚川市親不知
場所水産業界、兵庫県但馬地方、山口県宇部市
備考新潟県能生町ではコショウエビ(胡椒蝦)。エビカゴ漁を営んでいる「太平丸」の船長さんにお聞きすると「甘エビは普通はナンバンエビ(南蛮えび)というがお年寄りなどは今でも胡椒えびという」との話。「南蛮」=「唐辛子」で赤くて細長い形に由来する。そしてこの唐辛子の古い呼び名が「胡椒」なのだ。九州で「柚胡椒」というのが柚と唐辛子であるのもそうだし、各地で唐辛子の古い品種を「〇〇こしょう」というのもこの名残だ。 場所新潟県能生町
場所築地市場
備考北海道、新潟県、富山県で大量にとれるのでトンエビ。 場所北海道、新潟県、富山県
備考新潟県では唐辛子のことを南蛮(なんばん)という。赤く細い唐辛子に似た姿から「南蛮えび」と呼ぶようになる。 参考聞取 場所新潟県