202310/07掲載

越前町産甘エビ、思った以上に鮮度よし

福井県産甘エビは意外にめずらしい


最近、古いノートをワープロで打ち込んだテキストをときどき見ている。もともと大して打ち込んでいないし、少ししか変換していないが、初甘エビ(ホッコクアカエビ)は高校二年生のとき銀座で、だ。なぜこのとき東京にいたのかは、あまりにも恥ずかしいので言えない。
女性誌に「とても珍しいエビが食べられると載っていたので、その店を選んだ」と家族に言われている。甘エビは1970年代、東京で一般的には非常に珍しいエビで、1980年代になってやっと知られ始めた、新しいエビだったと考えている。
それまでクルマエビを筆頭に、大正えび(タイショウエビ)、シバエビ、サクラエビ、イセエビ(以下は省略)などが国内を代表するエビで、これらはみな浅場でとれるエビたちである。
ここに新たに登場した甘エビは水深300m以上の深海に生息している。当然、動力船以前(帆や櫂でこいで船を走らせていたとき)、また化学繊維以前にとるのは大変だった。タラバガニやズワイガニがたまたまとれて知られていた時代に同じ程度に知られていたエビだ。ちなみに甘エビの科・属名であるタラバエビのタラバは、マダラがいるくらいに深い場所(鱈場)にいるエビという意味がある。
これが動力船になり、化学繊維の網やカゴができると漁業対象になる。日本海で「トンエビ」というのは、とれると何トンもとれるためである。
さすがに今では漁獲量は激減しているものの、それなりの金額を出せば国内でとれたものが手に入る。ちなみに甘エビは2種類のエビの総称である。アイスランドやカナダ、グリーンランドなど大西洋北部からくるホンホッコクアカエビ(国内産と同種だと思われていた)も甘エビとして海鮮丼などに盛んに使われ、またスーパーにも並んでいる。この海鮮丼などに使われている甘エビは冷凍ものである。
冷凍と完全なる生との味の違いは少なくない。
甘エビ(ホッコクアカエビ)は島根県以北の日本海、北海道以北の深海にいる。国産以上にロシアなどからの冷凍輸入ものもあり、流通の全体量は非常に多い。
海鮮丼に甘エビが入っていて、「贅沢だ」などと思っていると、実は大西洋産やロシア産の冷凍品だったりする。冷凍エビはとても儲かる商材なのだ。

そのままを剥きながら食べるのがいちばんうまい


さて、今回の福井県産は底曳き網でとったものだと思うが非常に鮮度がいい。八王子総合卸売協同組合、マル幸でパック詰めしていたので味見は出来なかったけど、福井県産は珍しいし、色が飛んでいなかったので思わず手が出た。400gは多すぎるけど、比較的安くもあり、買って来た。
その日のうちに刺身で食べたが、素晴らしい味である。ちなみに生きている個体、もしくは水揚げ直後の個体は味がない。エビはアミノ酸成分からして鮮度が重要だけど、新しければいいというものではない。たぶん水揚げ日の翌日に関東に来て、その日の内に食べるのは産地とあまり変わらないと思う。甘くてぷりっとした食感があっておいしい。

あまりそうなら、あまる分を油と塩で和えておくのがベスト


あまりは総て剥き身にしてオリーブオイルと塩でマリネする。
これで翌日も食べられる。
翌夕方はマリネをそのまま香辛料も振らずに食べた。

アヒージョに向いているかも

甘えびのアヒージョ

それでも多いので翌々日はマリネしたものをアヒージョにする。
400gは一見多そうに見えるけど、あれこれ料理するとあっと言う間に消えてしまうのである。
それにしてもアヒージョは強烈ウマスギ!だった。

このコラムに関係する種

ホッコクアカエビのサムネイル写真
ホッコクアカエビ英名/Deepwater prawn,Deepwater shrimp,Pink prawn海水生。水深300m-1000m。日本海から北海道、ベーリング海、アラスカ、カナダ西岸にまで棲息する。・・・・
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