イサキ
代表的な呼び名イサギ
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珍魚度・珍しさ | ★ いつでも手に入る |
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魚貝の物知り度 | ★★ これは常識 |
食べ物としての重要度 | ★★★★ 重要 |
味の評価度 | ★★★★★ 究極の美味 |
分類 | 顎口上綱硬骨魚類条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目イサキ科イサキ属
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外国名 | Chicken grunt 三線磯鱸、三線雞魚、黃雞仔、雞仔魚、番仔加誌、黃公仔魚、黃雞魚、三爪仔、雞魚(澎湖諸島)、青筆
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学名 | Parapristipoma trilineatum (Thunberg, 1793)
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漢字・学名由来 | 漢字 伊佐幾、伊佐木、伊佐木魚、鶏魚 Standard Japanese name / Isaki Thunberg Carl Peter Thunberg [カール・ペーテル・ツンベルク(チュンベリー) 1743-1828 スウェーデン]。博物学者。1775(安永4)-1776(安永5)長崎の出島に滞在。江戸参府も果たしている。『Flora Japonica(日本植物誌)』。 |
地方名・市場名 |
概要
生息域
海水魚。浅い岩礁域。
新潟県〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸[長崎県橘湾にはいない、もしくはほとんどいない]、瀬戸内海、伊豆諸島、宮城県〜九州南岸の太平洋沿岸、屋久島、東シナ海大陸棚域。
朝鮮半島南岸、済州島、台湾、福建省、広東省。
生態
外洋に面した磯や沿岸近くに棲息している。内湾にはほとんどいない。
成熟は1歳くらいからではないかと思う。尾叉長16cm前後でも初夏に生殖巣が膨らんでいる。
産卵期は6月から9月。
孵化後、3歳くらいまではメス1に対してオス1.2でオスの割合が高く、それ以上ではメス1に対して0.5とメスの割合が高くなる。これはメスの生存率が高いため?
1年で尾叉長(びさちょう 身体の前端から尾ビレの湾入部のいちばん深い部分までの長さ)13センチ、2歳で20センチ、3歳で24センチ、4歳で30センチ。
昼間は沿岸のやや深い海藻の多い海底に潜み、夜には海面近くにに浮かんで盛んにエサをとる。夜行性。
基本情報
イサキという地域よりもイサギという地域の方が多いようだ。宮城県・新潟県以南、九州までの外洋に面した浅場にいる。古くは千葉県や島根県以南に多かったが、明らかに北上傾向にある。大きさによって呼び名が変わる出世魚である。
漁獲量の多い魚で流通上とても重要な魚である。
古くは夏の魚の代表的なものであったが、今では年間を通して入荷する。近年季節による入荷量の変化があまり感じられない。
浅場にいる磯魚の代表的なものだが、磯魚特有の臭味が少なく、万人向けのおいしさがある。関東では古くから塩焼き用の魚と考えられてきた。これが流通の発達から刺身など生食されるようになっている。
珍魚度 古くは夏の魚で季節感があったが今や年間を通して普通に見られる。マアジに準じて普通の魚である。
水産基本情報
市場での評価 入荷は年間を通じてある。夏に値段がつく魚。大型魚は超高級魚である。活け、活け締め(生きているうちに即死させたもの)は高級魚。野締め(漁のときに死んでしまったもの)はやや高値。
漁法 釣り、定置網
産地(漁獲量の多い順) 長崎県、大分県、福岡県、山口県、三重県、島根県など
選び方・食べ方・その他
選び方
小さくても、それなりに味がいい。ずんぐり丸みを帯びたもの。野締め(漁などのときに死んだもの)は身がしっかり硬いものを、活け締め(即死したもの)は死後硬直していないものを選ぶ。イサキは鮮度に関わらず、目が白く濁るので、目を基準としない。
味わい
鱗は小さいが硬い。皮は厚みがありしっかりして硬い。骨は細いが硬い。
血合いが赤く、鮮度がいいと透明感のある白身。脂は身に混在する。熱を通しても硬く締まらない。
真子もまずくはないが白子は究極の美味。
栄養
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危険性など
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食べ方・料理法・作り方
好んで食べる地域・名物料理
加工品・名産品
干もの 開き干しでいい塩加減で脂がのっていて美味。[丸木水産漁業 熊本県天草市]
釣り情報
関東以南太平洋側、山陰から西では重要な釣りの対象魚。
沖釣り(船釣り)でも磯釣りでも狙える。
船釣りでは、片天秤コマセかごをつけてオキアミエサなどでねらう。釣期は関東では初夏、もっと南では周年ねらえる。
磯釣りではカゴ釣りで遠投がのぞましい。エサはオキアミ。
当歳魚などは防波堤釣りでアミコマセでサビキ釣り、浮子釣りでねらうのがいい。
歴史・ことわざなど
■ 俚諺・俗言・言い伝え
イッサキは北向きで食べろ」(博多) イサキの鰭(ひれ)の刺、骨は硬くて、喉に詰まらせると命取りになる。
夏の季語 夏を代表する魚で俳句にも詠まれている。
地方名・市場名
参考河部友彦さん(海辺のかわべ屋/三重県度会郡南伊勢町) 場所三重県南勢町
サイズ / 時期若魚 備考縞がある小型に対する呼び名。 参考林一兵衛さん 場所三重県志摩市波切
参考文献 場所三重県鳥羽
参考福畑敏光さん、有江商店(熊本県天草市)、文献 場所九州、福岡県、長崎県平戸市度島・雲仙市富津、熊本県八代・天草市
サイズ / 時期幼(約9cm) 参考文献 場所兵庫県播磨灘
参考文献 場所和歌山県和歌浦
サイズ / 時期幼魚 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所和歌山県白崎・塩屋・田辺・周参見
備考〈骨硬くたてば痛甚しきためにいう〉など、骨が硬いので食べるとき気をつけろ、という意味合いもある。 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所和歌山県白崎・田辺
備考「おくせいご」。 参考『魚鑑』(武井周作 天保辛卯 1831) 場所奥州
備考麦の成熟が進み黄色くなったときが旬だから。 参考文献 場所山口県小野田
参考文献 場所山陰、北陸、福井県三国、京都府宮津、兵庫県浜坂、島根県浜田
備考釣り上げると音を出す(鳴く)ためか。 参考文献 場所広島県
テンツン
サイズ / 時期幼魚 参考文献 場所広島県
サイズ / 時期若魚 参考山崎博司さん 場所徳島県
サイズ / 時期稚魚 備考稚魚は緑色で縞模様がある。昔のキュウリのようだったのかも。 参考橋本歩さん 場所愛媛県八幡浜市
参考文献 場所東京、神奈川県相模湾周辺、福井県鷹巣、島根県松江
参考文献 場所東北
サイズ / 時期幼魚 参考文献 場所相模湾周辺
サイズ / 時期成魚 参考文献 場所神奈川県三崎
備考秋に大量に定置網に入る幼魚のこと。一度に大量に入って困るという意味も含む 参考増田慎さん(神奈川県真鶴町福良定置) 場所神奈川県小田原市・真鶴町、静岡県伊東市伊東市街・富戸
サイズ / 時期幼魚 参考文献 場所神奈川県相模湾一帯
参考文献 場所福井県福井市鮎川
参考文献 場所福男県鷲巣
備考〈麦稈(ばっかん)の黄枯の頃多く捕れる故に名づく〉とある。 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所紀州・水族志
サイズ / 時期小型 備考小さなものを「イッサキのドジンゴ」などという。 参考福畑敏光さん 場所長崎県平戸市度島
サイズ / 時期小型 備考土肥ではイラッコ→コシタメ。 参考静岡県水産・海洋技術研究所・伊豆分場 場所静岡県伊豆土肥
サイズ / 時期大型 参考文献 場所静岡県松崎・戸田・静浦
備考戸田ではイラッポ→イサギ。 参考静岡県水産・海洋技術研究所・伊豆分場 場所静岡県沼津市戸田
参考文献 場所高知・土佐
参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版)、文献 場所高知県伊田、宮崎
参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県古満目・柏島・志和・吉良川ほか
サイズ / 時期成魚 参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県土佐清水市三崎
サイズ / 時期成魚 参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県土佐清水市布
サイズ / 時期小型魚 備考幼魚期に縦縞模様がでるため。 参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県安田町
サイズ / 時期小型魚 備考幼魚期に縦縞模様がでるため。 参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県室戸市推名
サイズ / 時期小型魚 備考〈体側を走る黄褐色の縦縞を、栗鼠(りす)の縞模様にたとえたもの。〉 参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県室戸市推名・佐喜浜
サイズ / 時期成魚 参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県山下
サイズ / 時期成魚 備考〈シャクアジの略。〉 参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県志和
サイズ / 時期成魚 備考〈シャカンジ、シャカンダの略か。〉 参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県手結
参考文献 場所高知県柏島・古満目・上川口・伊田
参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県片島・小筑紫・大月町龍ヶ迫
サイズ / 時期成魚 備考〈作柄の不良を意味する「半作」に通じることから、農家は本魚を嫌う習慣がある。〉 参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県田ノ浦・上川口・伊田
サイズ / 時期小型魚 参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県甲浦
サイズ / 時期幼魚 参考文献 場所高知県須崎
参考文献 場所鹿児島
備考全国的にみるとイサキではなく「いさぎ」と呼ばれることの方が多い。 場所三重県志摩市・紀北町長島・尾鷲市、和歌山県那智勝浦町、徳島県徳島市・海部郡海陽町『宍喰漁業協同組合』、愛媛県宇和島市、高知県宿毛市田ノ浦すくも湾漁協
サイズ / 時期初夏 備考味のいい時期を表すムギワライサキ〈麦藁/麦秋すなわち初夏〉。 場所和歌山県白浜町日置
サイズ / 時期幼魚 備考成長段階での呼び名。 場所相模湾周辺・山口県萩市
サイズ / 時期幼魚 部位成魚 備考成長段階での呼び名。、高知県では成魚 参考聞取、『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所徳島県海部郡海陽町『宍喰漁業協同組合』、高知県伊佐・窪津
備考成長段階での呼び名。 場所山口県萩市
サイズ / 時期幼魚 備考〈幼魚を往々シマイサギと稱することがある〉。 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929)、文献 場所新潟県寺泊、相模湾一帯、紀州
サイズ / 時期梅雨の時期。 備考旬が梅雨と重なるため。 場所関東などの市場でも言う。
サイズ / 時期若魚 備考若魚に縦縞があることからウズムシ・ウリボウ(瓜坊/瓜のように縞がある)。伊豆安良里ではウリボウ(10cm)→コシタメ・イサギ。 場所千葉県、東京都、神奈川県
場所愛知県
参考文献