202006/21掲載

福岡県宗像市の茶漬を小イサキで

朝ご飯にさらさらと

小イサキの茶漬け

神奈川県小田原市小田原魚市場、二宮定置のダンベから小さなイサキをひろってきた。これで福岡県宗像・豊前浜の「茶漬け」を作る。マアジで作ることが多いということだが、小イサキで作っても遜色なしというか、以上の味になった。
2010年、福岡県宗像市道の駅に向かおうとタクシーに乗った。そのときの運転手さんから聞いた料理が「茶漬け」だ。他に料理名はないのですか? と聞いても「茶漬けは茶漬けですね」だった。
「普通、家で作りますけど今スーパーにも並んでいます」というので躊躇していたら、タクシー運転手の方が近くにあるスーパーに連れて行ってくれた。そこで1パック、道の駅で1パック買った。運転手さんと道の駅の方、駅で会った老人に作り方を聞いたら、まったく同じだった。朝食べるものだというのも同じ。運転手さんは「父親は酒のつまみで食べていた」と教えてくれたのだ。これと同様のものが福岡県豊前浜にもある。その料理名も「茶漬け」だ。
それは醤油色に真っ黒に染まり、見た目は最悪というものだった。でもこれが宗像市で聞いた「茶漬け」そのものの色合いなのだ。実に簡単に作れて、日々朝に食べて手間いらずだ。やはり古くからのケの食文化は「手間省き」から生まれたものが多いのだ。夜に作り、朝に食べるものだという。ご飯にのせてそのまま食べることもあるが、熱いお茶をかけてさらさらと食べる方が多いという。このさらさらとかき込む「茶漬け」の茶漬けがウマシなのだ。

ごっそりとれて売れない小イサキ

全長15cm、重さ60g前後の小イサキは小田原をはじめ伊豆半島周辺で「ゴッソリ」と呼ばれている。初夏にごっそりとれて売れないので困りものなのだ。
まずいから売れないのではなく、うまいのに売れないのだ。
要するに隠れたるお宝なのだ。


鱗は取らない

小イサキは生で食べるときは鱗はとらない。頭部は斜めに切り落とす。これと同時にわたを出し、尾を着る。


血合い骨は切り取る

三枚に下ろして皮を引き、腹骨を取る。血合い骨は抜くのは面倒くさいので切り放してしまう。


たれは単純な方がいい

すり鉢でゴマを半殺しにする。市販のすりゴマで十分。これに今回は長崎県雲仙市ヤマト醤油の濃い口醤油を加えた。
関東の醤油の場合、ここに砂糖かみりんを加えるといいだろう。
後は切り身を半日漬け込む。


見た目は最悪

漬け上がったものは真っ黒で、見た目は最悪。料理店などでは醤油を代えたり、いろいろやるけれど、家庭料理に見栄も外聞もありはしない。この真っ黒な料理が意外にもいけるのだ。このまま酒のつまみにしてもいいし、当たり前だけどご飯がすすむ。


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イサキのサムネイル写真
イサキChicken grunt 三線磯鱸、三線雞魚、黃雞仔、雞仔魚、番仔加誌、黃公仔魚、黃雞魚、三爪仔、雞魚(澎湖諸島)、青筆海水魚。浅い岩礁域。新潟県〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸[長崎県橘湾にはいない、もしくはほとんどいない]、瀬戸内海、・・・・
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