マガキ

代表的な呼び名カキ

マガキの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
殻長20cm近くになる。中央のマガキの上(フタ)が右の貝殻、下のふくらんでいる方が左の貝殻となる。貝殻はややチョーク質。外表は黄色みがかり紫褐色の放射帯や斑紋が出ることがある。比較的細長くなることが多い。周縁は強く波打つ。また右殻の成長褶は波状葉片となる。内面は白色で、周縁部は黄色みがかり、閉殻筋痕は紫色、鉸板に刻歯はない。[徳島県産]
貝殻の形は生息場所によって様々。色合いや模様にも変化が見られる。[「かき小町」広島県産]
貝殻の形は生息場所によって様々。色合いや模様にも変化が見られる。[長崎県有明海]
上(フタ)が右の貝殻、下のふくらんでいる方が左の貝殻となる。外表は黄色に紫褐色の放射帯や斑紋があるが、周縁は強く波打つ。また右殻の成長褶は波状葉片(檜皮葺状)となる。内面は白色で、周縁部は黄色みがかり、閉殻筋痕は紫色、鉸板に刻歯はない。
また右殻の成長褶(成長に従い新しくできる貝殻のひだ)は波状葉片(波打った葉のように薄い)となる。檜皮葺のよう。
貝殻の内側は白く、閉殻筋痕(貝柱のある部分)に色の変かがない。

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珍魚度・珍しさ★★
少し努力すれば手に入る
魚貝の物知り度
知らなきゃ恥
食べ物としての重要度 ★★★★★
非常に重要
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
動物界軟体動物門二枚貝綱翼形亜綱ウグイスガイ目カキ上科イタボガキ科マガキ属
外国名
Japanese Oyster フランス語/huîtres creuse
学名
Crassostrea gigas (Thunberg,1793)
漢字・学名由来

漢字 真牡蠣 Kaki, Magaki
由来・語源 「かき」は『目八譜』より。「石から〈掻き〉落とす」、「殻を砕いて〈欠いて〉とる」、「貝殻が〈欠け〉やすい」、「〈掻き〉出して食べる」からくる。古くは総てオスだと思われていたので「牡」の字がある。しかし交代的雌雄同体であることを明記しておく。「牡蠣」は和名本草より。
「まがき」は方言から。岩川友太郎が採用した。

Thunberg
Carl Peter Thunberg [カール・ペーテル・ツンベルク(チュンベリー) 1743-1828 スウェーデン]。博物学者。1775(安永4)-1776(安永5)長崎の出島に滞在。江戸参府も果たしている。『Flora Japonica(日本植物誌)』。
岩川友太郎
安政1〜昭和8年 1855-1933、青森県生まれ。モースに師事して近代的な分類学を学ぶ。多くの標準和名をつけるなど貝類の世界での業績が目立つ。『生物学語彙〈ゴキブリは本来、御器かぶり(ごきかぶり)と言ったが本書のルビの振り間違いから「ごきぶり」になる〉』、『日本産蛤類目録』など。
地方名・市場名
エゾガキ
場所北海道 
セッカ
備考磯などについている小型の個体。 参考山仲洋紀さん 場所長崎県壱岐 
イソガキ ウチガキ オチガイ カギ カキボウ シカメ シワガキ ハナタレガキ ヒラガキ ヒロシマガキ
参考文献より。 

概要

生息域

汽水域、内湾。
日本全土、東アジア全域。
最近ではフランス、オーストラリアなど世界中で養殖されている。フランスなどでの生食用カキの多くはマガキ。

生態

マガキは交代的雌雄同体。
性転換し、生殖は別個体が交代で雌雄の役割をする。
産卵期は6月から8月、一部秋に産卵する個体もある。
受精後、プランクトン期(トロコフォラ、D型幼生)を経て2〜3週間ほどで固着生活にはいる。
また岩など硬いものに好んで付着する性質を持つと思われているが、本来は干潟泥質に浮かぶように成長。またそのカキに別個体が付着していく。このたくさんのカキ殻の大きくなったものをカキ礁と呼ぶ。
殻長20センチを超える。左の殻が軟体を入れる器になって、ものに付着する。楕円形で成長脈が重なったように見え、板状になる。

基本情報

一般的にカキと呼ばれることの多いマガキは日本全国の海岸線に普通。殻付き、むき身などで秋から春にかけて最盛期を迎える食材でもある。
本種、イワガキ、スミノエガキの3種が国内で主として食用となっている。中でもカキ類だけではなく、二枚貝の中でももっとも生産量の多いのがマガキある。
冷凍されたものも多く出回っており、年間を通して利用されている。
また最近三倍体を作り出すことに寄って周年の出荷も試みられている。季節感がなくなるのは残念であるが、ほぼ養殖されていることを考えると致し方ないだろう。
カキフライ、鍋物、中華料理など、マガキはどんな料理にも引っぱりだこである。栄養学的にも優れた食材で、疲れをとったり、肝臓の働きを助けるグリコーゲン、微量元素である亜鉛などが豊富だ。
珍しさ度 食べるためであればいつでもどこでも手に入る。ただ貝殻がついた生きたものを手に入れるにはそれなりに努力が必要である。

水産基本情報

市場での評価 10月から3月いっぱいの入荷は非常に多い。近年年間を通して手に入る。また国産の他に韓国などからの輸入もある。値段はやや高い。また各地にブランドもの(特定の高級品を出す)がある。天然ものは非常に少なく、ほぼ養殖もので占められている。
漁法 養殖
産地(漁獲量の多い順) 広島県、宮城県。岡山県、岩手県

養殖
入荷するほとんどが養殖されたもの。養殖方法はイカダ垂下式と呼ばれるもので内湾にイカダを浮かべて殻頂(蝶つがいのあるところ)に穴を開けてヒモに通して海につり下げる。
養殖は初夏に稚貝を採取し、翌年冬、1年で出荷するもの。また盛夏に採取して翌年夏を越して2年目の秋、3年目の秋に出荷するものに分かれる。
養殖が盛んなのは瀬戸内海、三陸。県別では広島県が全体の5割以上を占め1位、次いで宮城県、3位が岡山県となっている。養殖マガキの総生産量は3万5千トン前後。

選び方・食べ方・その他

選び方

殻つきと、パックのものが。殻つきは生で食べると食感と後味のよい旨みが楽しめる。パック詰は身の膨らみが強く、中の液体が透明なものを選ぶ。また生食用はカキを収穫、一定期間無菌状態の海水で体内の細菌を出したもの、加熱用はそのまま出荷。鮮度の違いではない。パック詰めは用途に合わせて購入。

味わい

旬は12月から3月初め。食用として流通するのは3倍体をのぞくと10月〜5月くらいまでだ。
殻つきと剥きガキで流通する。また剥きガキには生食用と、加熱用がある。
生食用は紫外線で殺菌した海水のなかで一定時間生かして置いたもの。その分、旨みは少なくなっているが安全である。
加熱する料理には加熱用を使うべき。
濃厚な旨みがある。食感はあまりなく、独特のクセがあり、これが好まれている。貝殻は火にかけるとパチパチとはぜる。

カキの貝殻の開け方
蝶つがい(殻頂)を手前にして、貝殻の斜め右から貝剥きを差し入れる。そしてフタ(平たい方の貝殻、動物学的には右の貝殻)の方の貝柱を切る
右の貝殻を外して見るとこのような状態になる。
フタの部分の貝柱とヒモを深く軟体を納めるようになっている左の貝殻に移して、流水で軽く貝殻などを除く。これで、あとはレモン、スダチ、柚などをかけて食べるのだ。流水で洗うのは、適度に塩分を調節するためでもある。そのままでは塩辛いことが多い

栄養

タンパク質、脂質こそ少ないものの鉄分、カリウムなどの無機質、各種ビタミン類が豊富。またなによりも消化性多糖類であるグリコーゲンが豊富なことから疲れ回復にもききそうだ。
海のミルクなどと呼ばれて栄養の宝庫です。疲れを取り、運動での疲労感を鎮めるグリコーゲンが豊富。肝機能を高め、高血圧、糖尿病を予防する働きのあるタウリンは魚の5倍も含まれる。ビタミンB群、葉酸は貧血を予防し、中性脂肪のつくのを抑え、肌の健康を保つ。

危険性など

貝類、ホヤなどは貝毒の麻痺性貝毒(サキシトキシン、ゴニオトキシン)、下痢性貝毒(ディノフィシストキシン)などが発生すると非常に危険である。死に至る可能性もあるので海域での貝毒の発生情報を得たり、また貝毒が発生すると出荷規制することから流通するものを買うべきである。

食べ方・料理法・作り方

マガキの料理・レシピ・食べ方/生食(生ガキ、酢ガキ)、汁(カキ鍋、カキ豆腐、みそ汁、潮汁、チャウダー)、揚げる(カキフライ、天ぷら)、ソテー(炒め物、ジョン、ピカタ)、焼く(焼きガキ)、煮る(佃煮、含め煮、割り下鍋)、蒸す(蒸しガキ)、ご飯(炊き込みご飯、混ぜご飯)
生がき(殻つき) マガキは殻付きでの入荷と剥きガキでの入荷がある。生で食べるなら断然、殻付きがいい。劣化からくる苦みや渋みが少ない。基本的に養殖もので、収穫後に紫外線で滅菌している。柑橘類だけで食べるとほどよい塩味が感じられてとても美味。産地によって味が違。いくつかの産地を集めて食べ比べるのもいい。写真は7月中旬のもの。軟体部分がいちばん太るのは春〜初夏。[岩手県陸前高田長部]

生ガキ(殻付き) 長崎県小長井町のブランドガキ「華漣」は小粒で身はふっくらとして食感がよく、うま味が強い割りに後味がいい。やや高価ではあるが、それだけの価値はある。マガキは産地産地で養殖方法が違っていて、味も違う。産地ごとに食べ比べすると楽しい。
生ガキ(剥き身) 剥き身パックのものを大根下ろしで軽くもみ洗いして、塩水に取り、大根下ろしを取り去り、水気を切る。これをゆずとしょうゆだけで食べる。一味唐辛子がとてもよく合う。
酢ガキ 無肝を大根下ろしで汚れを取り、塩水に落として大根下ろしを取り去る。よく水切りをして紅葉下ろしで和えて、酢、うまだし八方少量、しょうゆの三杯酢をかけたもの。穀物酢との相性がとてもよくカキならではの強い風味を抑えて万人向きの味になる。
かき豆腐 マガキの剥き身と豆腐のしょうゆ仕立ての鍋。カツオ節出しを酒、しょうゆで濃いめに味つけしてマガキや野菜などを煮ながら食べる。カキのうま味が豆腐にからみ、カキは適度に締まっておいしい。
かきすき(かきのすき焼き) しょうゆ、酒、砂糖で下地を作る。別に昆布だしを用意しておく。鍋に火をつけて下地と昆布だしを合わせて、加減する。場合によっては酒、砂糖などを加える。ここでマガキの剥き身、豆腐、ねぎなどを煮ながら食べる。カキの剥き身が面白いほどに大量に食べられる。
かきのとろみ汁 カツオ節出しに酒、しょうゆで汁を仕立てて豆腐、ねぎなどを煮る。ここに片栗粉をまぶしたマガキの剥き身を落としていく。カキについた片栗粉で適度にとりみが出てカキのうまみと合わさって濃厚な味わいの汁になる。寒い時季などに最高の汁である。
かきのすまし汁 カツオ節出しで豆腐とマガキの剥き身を煮て、酒、塩で味つけした単純な汁。塩味のなかにマガキの濃厚なだしと、それ自体の味わいで滋味豊かな汁である。意外にさっぱりと後口がいいので、いくらでもすすれる。
カキのチャウダー まずホワイトソースを作る。バターを溶かして小麦粉をソテーして少しずつ室温に戻した牛乳をそそぎ練る。マガキは小麦粉をまぶしておく。フライパンににんにくを入れて香りを出し、玉ねぎを炒めてマガキを加え、ホワイトソースを加えて適度な濃度に水(ハーブブイヨンやブイヨン)で薄める。
みそ汁 まずは剥き身のカキを塩水などで洗う。みそ汁を作り、カキを加えて軽く火を通して出来上がり。みそ汁にカキのうま味が加わって滋味豊かな味わいになる。
カキフライ マガキの定番中の定番料理。都内などでは「カキフライはじめました」の文字に心躍る。マガキの剥き身を塩水で洗い。水分をよく切る。コショウを振り、小麦粉をまぶして溶き卵をくぐらせてパン粉をつけて短時間で揚げる。
マガキとほうれん草のソテー マガキの剥き身を塩コショウして、小麦粉をまぶしてニンニクの風味をつけたオリーブオイルでソテーしたもの。最後にほうれん草もソテーして添える。辛みが足りなかったらカイエンヌペッパーを振ってもいい。
カキのピカタ マガキの剥き身を塩水で洗い、コショウを振る。小麦粉をまぶして少量の小麦粉と卵、パルメザンチーズを溶いた衣をつけてソテーしたもの。チーズとマガキの相性がとてもよく、いい味である。
カキのジョン 韓国料理の「ジョン」をアレンジしたもの。マガキを塩水で洗い水をよくきる。コショウを振り、小麦粉をまぶして溶き卵をくぐらせてソテーしたもの。コチュジャンと酢を合わせたものをつけて食べるとおいしい。
カキの炒めもの マガキは塩水で洗い、よく水をきっておく。白ねぎも適宜に切る。フライパンに太白ごま油を入れて熱し、カキとネギをさっと炒めて市販のそばつゆで味付けしたもの。そばつゆは自製してもいいが、市販品で十分だと思う。山椒や七味唐辛子が合う。
カキの含め煮 鍋に酒、たまりしょうゆ、こいくちしょうゆ、みりん、酒、砂糖を煮立てて、カキとシイタケ、ネギを加えてからめるように煮てすぐに火をとめる。これを少し寝かせて皿に盛る。まっ黒に見えるのはたまりしょうゆを使っているため。塩分濃度は低めでご飯のおかずになる。
焼きガキ 殻付きのカキを炭火で焼き上げるもの。殻がはぜるので屋外でやるといい。カキの殻が開き始めるとすかさずエキスが漏れないように上の殻を取り去るといい。うま味が凝縮されて非常に美味。
カキの田楽 マガキの剥き身は塩水で洗いよく水分を切っておく。これを串にさして炭火で焼き、八割方焼き上げたら加減みそを塗り仕上げる。加減みそはみりん、みそを練り合わせたもの。山椒をふりかけて食べると非常に味わい深い。
カキの朴葉焼き マガキの剥き身を塩水で洗い、よく水切りをする。これを加減みそ、ねぎ、松の実、おろししょうがなどと和えて朴葉の上で焼きながら食べるもの。加減みそはみそ、酒、みりん、砂糖を合わせたもの。焦げたみそが香り高く、酒の進む料理だ。
蒸しガキ 殻付きのマガキの表面の汚れをよく落とす。これをふたのできる鍋に入れて少量の水で蒸し上げたもの。カキのうま味や貝らしい風味が凝縮されてとてもおいしい。
カキの炊き込みご飯 炊き込みご飯には2つの作り方がある。まずは蒸しガキを作る。鍋にたまった汁をこして、しょうゆ、酒で味つけ水を足してこれで炊飯する。蒸らしのときにマガキ本体を戻して出来上がりに混ぜ込む。単にマガキの剥き身としょうゆ、酒などで味つけして炊飯したもの。季節の栗などを一緒に炊き込んでもうまい。

好んで食べる地域・名物料理

広島の牡蠣の土手鍋
かき雑煮 カキを主な具材とした雑煮。みそ仕立てとしょうゆ仕立てがある。[広島市周辺]
澄まし仕立てかき雑煮 大振りのカキの剥き身をさっとゆでて、そのゆで汁に水を足してしょうゆと酒で味つけする。ここで丸餅を煮て青みと蒲鉾、カキとともに椀に盛る。[広島湾。『聞き書 広島の食事』]
みそ仕立てかき雑煮 鍋に大根、にんじんなどを切って入れ、煮立ってきたらカキの剥き身を加える。煮えたらみそを溶き、丸餅を加えて煮て椀に盛る。[広島湾。『聞き書 広島の食事』]
かきおこ 日生の地先で養殖されたマガキの剥き身を主な具にしたお好み焼き。広島風ではなく大阪風の店に2軒入って食べてみたが非常に美味。1960年代に日生地区で始まり、今でも主に日生地区で食べることができる。[岡山県備前市日生]
カキカレー(マガキのカレーライス) 広島湾のカキ養殖筏を撮影していて会った、ボクと同年代の女性に肉よりも安かったカキの剥き身でカレーを作っていたと聞いた。最近のカレールーで作るのか、と思って何度か作る内に、昔ながらカレー粉で作るとうまい、ことがわかった。[広島県呉市・広島市]

加工品・名産品


かきの塩辛 マガキの剥き身に食塩を加えて長期間熟成させたもの。発酵臭が強く好き嫌いが出そうだが、好きになったら病みつきになりそうな酒の肴。非常に酒の進む逸品である。[かなわ 広島県広島市ほか]
かき味噌 みそとマガキを半々に合わせてじっくりと練り上げたものらしい。これをみそ汁にしたり、野菜につけて食べたりする。[船曳商店 兵庫県赤穂市]
かき燻製油づけ カキの剥き身を燻煙して綿実油につけ込んだもの。塩加減、燻煙した香りともに好ましく、白ワインなどに非常に好相性。[竹中缶詰 京都府宮津市ほか]
能登がき昆布巻き マガキの剥き身を昆布に巻き込み、しょうゆ味で煮たもの。ニシンなどのものと比べると豪華で複雑な味わい。[金沢錦 石川県金沢市]
かきカレー ふっくらしたカキがごろんと入ったカレー。バターとココナッツが入っているのでマイルドな味。[レインボー食品 広島県竹原市]

釣り情報

クロダイ釣りのエサのひとつ。

歴史・ことわざなど

カキの養殖の始まり ヨーロッパでは紀元前1世紀。日本では1673年(延宝元年)に広島で小林五郎左衛門が始めたのが嚆矢。1500年代戦国時代もしくは室町時代後期とも言われている。詳しい文献を知っている方情報求む。
横須賀のマガキ その昔は大きな湾を持つ地域で天然の出荷が行われていた。例えば戦後になっても東京湾横須賀などでは関西に向けてマガキの出荷がなされていた。現在では天然マガキの出荷は厚岸やサロマ湖など北海道のものがほとんど。(横須賀市東部漁協)
貝塚 近年まで東京湾でも天然ガキの出荷があったように古代から重要な食用貝であった。東京湾沿岸に多数のカキ殻の堆積した貝塚があることでもその食用の歴史は縄文時代までさかのぼれる。特に東京湾岸での貝塚にはマガキを剥くという行為に他の土地にはない特色があるのも忘れてはならない。文献としては古事記にも見られる。

【文学・文献】
相性のよさ 「岩に牡蛎」(毛吹草 巻第三 付合)
カキの釜飯 昭和14年〜15年。浅草の釜飯の店でカキの釜飯が出てくる。『如何なる星の下に』(高見順 講談社文芸文庫)
昭和の食堂 「昼になると、私は、国鉄本庁直営の食堂から、お菜を買ってくる。直営だけあって至極安い。たとえば、アジの天ぷら九円、アサリのかきあげ十円、ロールキャベツ十四円、シュウマイ十五円、カキフライ十七円、いちばん高いものでハンバーグステーキの二十八円なのだ」『いわしの頭』(中村武志 新潮社 1955)