ガザミ
代表的な呼び名ワタリガニ
魚貝の物知り度 | ★★ これは常識 |
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食べ物としての重要度 | ★★★★ 重要 |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
概要
生息域
北海道南部から九州。韓国、中国、台湾。
水深5〜30メートルに多く、内湾を好む。
生態
温かい時期は浅場で生活し、秋になると深場に移動、冬には砂に潜り冬眠する。
夜行性。昼は砂に潜って、夜に活動する。
いちばん後方の第5脚はオール状になり泳ぐことができる。
エサは巻貝、二枚貝、環形動物、甲殻類など。
秋(最盛期は10-11月)に雌(めす)の脱皮を待って後尾する。
産卵期は4月〜9月。2回産卵する。
産卵した卵は抱卵する。抱卵は10日〜20日。
甲長6センチ前後、甲幅15センチ前後になる。
寿命は2年〜3年。
基本情報
内湾に多く、江戸時代には江戸前が有名であったし、内湾に近い地域でもっとも日常的なカニだったと思う。ガザミ(ワタリガニ)類の代表的なもので、古くからカニ全体を代表するものであった。
北国のタラバガニやズワイガニ、ケガニが一般化する前は「カニ」といえばこれをさすことが多かった。
水産基本情報
漁法 刺し網、底引き網、定置網
代表的な産地 青森県、宮城県、大分県、福岡県、大阪府、愛知県
選び方・食べ方・その他
選び方
活けは生きのいいもの。持って重いもの、腹部を触って硬いものを選ぶ。
雄雌(おすめす)は基本的に身は雄がうまい。
寒い時期、雌は内子を持っていてこれを珍重する。
外子(ふんどし部分に出た卵)はまずいので、これが少ないものを選ぶ。
身はともかく「みそ」と呼ばれる肝膵臓(かんすいぞう)がたっぷりしているのは秋から寒い時期。
味わい
旬は晩秋から春
秋交尾の後に深場へ移動する時期が美味。夏には脱皮するカニが多いのでうまくない。
また雌の内子が満ちているのは冬から春。非常に淡泊な味わいだが甘みが長々と感じられる。カニらしい香りがいい。
栄養
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危険性など
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食べ方・料理法・作り方
好んで食べる地域・名物料理
太良ガニ、竹崎ガニ 佐賀県藤津郡太良町ではガザミ料理を名物としている。
日本各地。
加工品・名産品
釣り情報
砂浜などからカニ網(エサにきたカニを絡め取る)をつけて投げ釣りで釣る。
歴史・ことわざなど
かに 〈東京で「カニ」といえばガザミのことをいう。群れをなして移動するので「ワタリガニ」といい、むしろ耳に響きのいい「ワタリ(ガニ)」が一般的な呼び名である。〉『河岸の魚』(町山清 国際商業出版)
大森、品川のカニ料理 〈その、うまいカニ料理が初めて東京でお目見えしたのは明治三十五ごろである。大森、品川の東海道筋、はては柳橋あたりに相次いで店開きした料亭では趣向をこらしたカニ料理でたくさんの客を引いた。なかでも大森海岸の「澤田屋」という店では、波打ちぎわにサジキを組み、よしず張りの下で、水揚げしたばかりのカニを食わせる。〉『河岸の魚』(町山清 国際商業出版)
魚河岸 〈それほどの人気のカニも、魚河岸で取引きされ、小売店の店頭に出回すようになったのは、ずっと後の昭和初期である〉『河岸の魚』(町山清 国際商業出版)
歳時記 季語 夏
月夜のガザミは身がない 「月夜の蟹は身がない」。