アサリ
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珍魚度・珍しさ | ★ いつでも手に入る |
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魚貝の物知り度 | ★ 知らなきゃ恥 |
食べ物としての重要度 | ★★★★★ 非常に重要 |
味の評価度 | ★★★★★ 究極の美味 |
概要
生息域
海水生。潮間帯〜水深10mの砂泥地。
北海道から九州。
朝鮮半島、中国大陸沿岸インドシナ半島。
最近ではマガキの種苗に混ざってハワイ、ヨーロッパ、北アメリカにもいる。
生態
湾内の干潟、砂地などに棲息。
砂に潜り、水管を伸ばして海中の植物プランクトンや浮遊有機質を漉しとって食べている。
性転換する。
関東以南での産卵は春と秋の2回。東北では1回〜2回。北海道では夏に1回。
産卵した卵は孵化してベリジャー幼生というプランクトン期を経て稚貝(小さな個体)に変態し、砂にもぐり込む。
基本情報
北海道から九州までの干潟に生息。国内の内湾に多産したもので、家庭料理になくてはならないものだった。
干潟や海岸線の乱開発で激減。今や国産は少なく多くが輸入されたもの。
古くから食用貝として重要で、日常的な存在だが、国内産は非常に厳しい状況にある。
流通の場でもアサリのない日はないが、輸入ものがほとんどだ。
珍しさ度 一般的な食用貝でいつでも手に入る。
水産基本情報
市場での評価 国産よりも中国産などの方が市場ではよく見かける。国産はカイヤドリウミグモの発生などにより不安定。値段は高くもなく安くもなくで安定。
漁法 じょれん曳、腰巻き曳き
主な産地 愛知県、熊本県、福岡県、三重県、静岡県
選び方・食べ方・その他
選び方
生きのいいものは海水中で盛んに水管をのばす。貝殻の扁平なもの。アサリは順調にいい環境で育つと比較的平たく大きくなる。悪条件だとダルマ型、ようするに丸みがあり、膨らみが強くなると言われています。
味わい
年間を通してあまり味は変わらないが寒い時期は痩せている。
貝殻は薄く軟体が大きい。クセがなく、苦みや渋みがほとんどない。熱を通しても硬くならない。非常に旨みが強い。
栄養
タウリンが多く、血中コレステロールの定価、貧血予防、肝機能低下の予防に効果がある。貧血を予防する鉄分、銅、ビタミン12が多く。骨粗鬆症を防ぐカルシウム、味覚障害を予防する亜鉛なども豊富。
危険性など
麻痺性の貝毒を持つことがある。季節や場所によって貝毒、サキシトキシンなどが出現するので、採取するときには情報が重要となる。死亡例もあるので要注意だ。
食べ方・料理法・作り方
1 アサリのむき身は塩水でさっと洗う。殻つきの場合は酒蒸しにして汁をこして別に取り置き、殻から身を外す。
2 白菜は食べよい大きさに刻む。
3 昆布だしをわかし、みりん、酒、塩、しょうゆで控えめに味つけする。
3 白菜とアサリの蒸したときの汁を加え、白菜に少し火が通ったらアサリを加えて、一煮立ち。
4 汁の味加減を見て、しょうゆ、塩で調え、また一煮立ち。火を止める。
5 小一時間鍋止めして皿などに盛る。天盛りは季節のもの。ここでは山椒の木の芽を使った。
好んで食べる地域・名物料理
あさりご飯 アサリをしょうゆ、砂糖の味つけで炊き込みご飯にしたもの。[千葉県君津市]
こくのある味だが、カキ(マガキ)よりも渋味が少なく、甘味が強く、しかも食感が心地よい。
生食できる海域などいろんな条件があると思うが、産地ならではの隠れた美味だと思っている。
本来は江戸時代に漁師や庶民が安価な食べ物として親しまれていた貝の剥き身をつかった、みそ仕立てのぶっかけ飯があって、それを「深川飯」と呼んだのは後のこと。明治後期には安食堂のメニューとしても定着していたようだ。みそで煮込んだもの、みそ汁をご飯にかけたものと、炊き込みご飯がある。
『たべもの語源辞典』(清水桂一 東京堂出版)/『聞き書き 東京の食事』(農文協)他を参考としました
加工品・名産品
釣り情報
カワハギ釣りのエサ。
歴史・ことわざなど
■ ひな祭りの膳/「あさりご飯につぼのみそ汁と、おかいこ切り干し、里芋、にんじん、ちくわ、油揚げの入った煮しめ、それにうるめいわしの開きとあさり(干もの)の串ざしなどを並べる」[恵那平野]『聞き書 岐阜の食事』
■ 「おひなさまには、ちらしずし、わけぎとつぼ(たにし)の味噌あえ、白酒、菱餅……あさりの身の串刺し(アサリを串に刺し干したもの)、はまぐりの吸いもの」[名古屋市紙漉町(西区)『聞き書 愛知の食事』]
■ 「昼になると、私は、国鉄本庁直営の食堂から、お菜を買ってくる。直営だけあって至極安い。たとえば、アジの天ぷら九円、アサリのかきあげ十円、ロールキャベツ十四円、シュウマイ十五円、カキフライ十七円、いちばん高いものでハンバーグステーキの二十八円なのだ」『いわしの頭』(中村武志 新潮社 1955)
貝のむき身に豆腐の殻(おから)で汁にしたもの。おからの汁というとみそ仕立てであると思われる。
作り方はだしを使わず、湯にアサリのむき身をたっぷり入れ、おからを入れて煮る。おからが煮えたらみそを溶き入れて、ねぎなどを加えて出来上がりだ。
濃厚なアサリのうま味に、おからのもっさりとしたふくらみのある舌触りがあって、なかなか滋味豊かな汁となる。
[『東海道中膝栗毛』(十返舎一九 麻生磯次校注 岩波文庫 享和二年〜文化十四年[1802〜1814])]