マルソウダ
代表的な呼び名ソウダガツオ
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珍魚度・珍しさ | ★★★ がんばって探せば手に入る |
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魚貝の物知り度 | ★★★★ 知っていたら達人級 |
食べ物としての重要度 | ★★★★ 重要 |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
分類 | 顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目サバ亜目サバ科マグロ族ソウダガツオ属
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外国名 | Bullet tuna
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学名 | Auxis rochei rochei (Risso, 1810)
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漢字・学名由来 | 漢字 丸宗太鰹、丸騒多鰹 Standard Japanese name / Marusouda 「そうだ」について
「鰹に似たれば〈鰹だそうだ〉といいしを、倒置したる魚名」広辞林。騒多鰹、宗太鰹(『新釈 魚名考』栄川省造 青銅企画出版)とすると「平騒多鰹、「平宗太鰹」。 「常に群集して、水面にしぶきを立てながら小魚を捕食する。〈集まって騒ぐ・騒々しい〉ということで『ソウダガツオ』の呼称は〈騒々しく騒ぐ鰹〉。『新釈魚名考』(榮川省造 青銅企画出版) |
地方名・市場名 |
概要
生息域
海水魚。沿岸表層群遊性。
北海道〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸(秋に多い)、北海道〜九州南岸の太平洋沿岸(房総半島以南に多い)、屋久島、琉球列島、小笠原諸島。朝鮮半島南岸・東岸、済州島、東太平洋を除く世界中の温帯・熱帯域。
生態
沿岸性の高い魚だが、近縁種のヒラソウダよりも沖合を回遊している。
産卵期は春〜夏。
小さいときには小型の甲殻類、生長するとイワシなど小魚を狙う。
また大型のマグロ、カジキなどに捕食される。
1年で25センチ前後、2年で33センチ前後、3年で40センチ前後になる。
基本情報
世界中の温帯・熱帯域の沿岸域を回遊している。熱帯域をはじめ世界中で食用となっている。
熱帯域ではカレー(スープ)などにするために冷凍流通もしている。
国内では、そばつゆなどに使われる「そうだ節」の原料として高い需要がある。また西日本ではゆでて放冷(冷やして乾かした)したものもとても日常的なものだ。
鮮魚は西日本の産地周辺で出回るもので、消費地で取り分け東日本で見かけることは少ない。
また高知県中土佐町、須崎市沖でとれる新子の刺身は高知県の秋の風物詩。ときに高騰するが、非常に味がよく人気は衰えない。他の地方ではこれほどの鮮度管理が出来ないのが残念。
安くておいしい魚である。煮つけなどにすると日々のおかずとしても重宝する。もっと鮮魚での利用をして欲しい魚である。
未利用魚 主に節(そうだ節)などに加工される。西日本では比較的鮮魚でも売れるが、東日本では鮮魚で売れないという意味で、未利用魚といえる。温暖化が進むと漁獲量が増える可能性がある。東日本でも西日本の食文化を取り入れるべきだ。
珍魚度 多獲性魚類といってもいい魚なので珍魚ではない。ただし鮮魚で丸のままの状態を手に入れるのは難しい。西日本では探せば手に入るが東日本では入手困難である。
水産基本情報
漁法 巻き網、定置網、釣り
主な産地 高知県など
マルソウダ(下)断面は円形で体高が低くほぼ円筒形だ。胸甲部(鱗のある部分)は第2背鰭を遙かに越える。
ヒラソウダ、マルソウダとも鮮魚流通することはあまりない。鮮魚としてはヒラソウダの方が高い。マルソウダは鮮魚流通することはヒラソウダ以上に少ないものの、節類、ゆでもの、干ものなど加工用としては非常に重要である。
幼魚時も区別の仕方は同じ。マルソウダ(上)の方が体高がなく体は円筒形でスマート。ヒラソウダ(下)は体高があり左右に平たく白い。それで「しろす(白すま)」と呼ばれている。[高知県中土佐町久礼大正市場]
選び方・食べ方・その他
選び方
触って硬いもの。鰓が鮮紅色のものがいい。
味わい
旬は冬から初夏。
鱗は頭部に近い部分にあるのみ。これを包丁ですき引きする。皮は柔らかい。
赤身で血合いが多く、鮮度落ちが早い。ヒラソウダと比べて、やや脂が少ない。熱を通すと硬く締まる。
骨などから非常に濃厚なだしが出る。血合いをとれば幼魚は生食できる。
ヒスチジンに敏感な人やアレルギー体質の方は生食を避けた方がいいと思う
栄養
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危険性など
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食べ方・料理法・作り方
好んで食べる地域・名物料理
幼魚 鹿児島県南さつま市笠沙ではマルソウダカツオの幼魚だけ生食する。
しか煮[神奈川県小田原市]) 「うずわ(マルソウダ)」、「そうだ(ヒラソウダ)」の身を適当に切り、油で炒めて、玉ねぎを加えすき焼きのような味に仕立てたもの。ジャガイモを加えて肉じゃが風にするという人もいる。基本的に「うずわ」で作るもので、「そうだ」でもいいというひとと、「うずわ」でなければならないという人がいる。(魚竹 神奈川県小田原市、江の安 日渉丸 神奈川県)
高知県中土佐町沖で釣り上げたばかりの「新子」。高知県では25cmほどの小振りのものを「新子(シンコ)」、「めじかの新子(メジカノシンコ)」と呼ぶ。高級魚である。ちなみに写真はぼうずコンニャクが自ら釣り上げたもの。
水揚げされたばかりの「めじかの新子(マルソウダの幼魚)」が中土佐町『久礼大正町市場』に並ぶ。同町内魚店や須崎市の魚店にも並ぶ。
高知県中土佐町の『久礼大正町市場』で漁師のオカミサンたちが「めじかの新子(マルソウダの幼魚)」を刺身に切っているところ。水揚げされてからほんの2〜3時間しかたっていない。
の刺身。高知県中土佐町、『久礼大正町市場』で晩夏から初秋にかけてだけ食べられる「めじか新子」の刺身。とれたてのものを三枚下ろしにして血合いを取る。適宜に切り、仏手柑(ぶっしゅかん)の皮をおろしかけ、果汁を搾る。これにしょうゆをかける。
の刺身を食べた後のうま味が染み出した、しょうゆと仏手柑の汁をご飯にかけたもの。中土佐町では刺身を食べた後は必ずこれ。刺身よりも好きとも。
きゅうりもみに「笹めじかの煮節(なまり節)」をほぐしたものを加えた酢のもの。「りゅうきゅう」のさくさくした爽やかな味にマルソウダのうま味が加わって絶品である。[高知県中土佐町。スーパーなどで教えてもらう]
加工品・名産品
「そうだ節(宗田節)」とも。高知県土佐清水市などが産地。一般的に使われるのは名古屋以西。関東ではそば店などが厚く削ったものを使う。愛知県の八丁味噌(豆みそ)に合うとして愛知県でよく使われている。また同県では「きしめん」にも利用している。[マエカワテイスト株式会社]
「めじか節」を小さく切ってある。これをしょうゆなどに漬け込んで1週間くらいすると実にうま味のある味しょうゆとなる。刺身などに使ってもうまい。[ヤマア 高知県土佐清水市]
長さ10cmほど。和歌山県東牟婁郡那智勝浦町ほか、徳島県南部、高知県、愛媛県などで夏から初秋にかけて揚がる新子(幼魚)をゆでて放冷したもの。「生節」、「ゆで節」、「いで節」ともいう。小さいのにうま味が強く、このまま食べてもうまいし、軽くあぶって食べてもいい。またほぐして「きゅうりもみ」に混ぜてもいい。[和歌山県東牟婁郡那智勝浦町(東岡商店)、徳島県海部郡牟岐町・海陽町宍喰、高知県高岡郡中土佐町(久松商店)]
やや厚めに削った節。煮だして濃厚なだしを作る。これを麺類やたれなどを作るのに利用する。[新谷商店 高知県土佐清水市中浜]
比較的短時間で一般家庭用のだしがとれる。カツオよりも濃厚でこくがある。愛知県などの豆味噌文化圏でよく使われている。[新谷商店 高知県土佐清水市中浜]
梶賀まちおこし婦人会 三重県尾鷲市梶加。小がつお(マルソウダ)をあぶって干したもの。うま味が強く非常にう味がいい。[梶賀まちおこし婦人会 三重県尾鷲市梶賀町]
マルソウダを三枚に下ろして塩をし、干し上げたもの。非常にうま味が強くて味わい深い。[はまみや海産 徳島県海部郡美波町、山野上商店 高知県土佐清水市]
一本釣りした「姫かつお(マルソウダ)」を味つけして焼き上げたもの。味がよく簡便で食べやすい。[土佐食 高知県土佐清水市三崎]
マルソウダの心臓のこと。形から「臼ごろ」なのだろう。ほどよい甘さの煮ものでなかなか美味である。産地土佐清水の郷土料理を気軽に楽しめる。[土佐食 高知県土佐清水市]
「めじか(マルソウダ)」をゆでて放冷した「煮節」をほぐし、みそに練り込んだもの。砂糖、しょうが、にんにく、唐辛子、ごまなどを加えて少しピリ辛味。[愛ちゃん家の店 高知県高岡郡中土佐町久礼]
一本釣りにしてマルソウダを新鮮なうちに煮つけた総菜。カツオの角煮よりも味わい深いかも。[土佐食 高知県土佐清水市]
釣り情報
マダイ、アジサバ釣りの代表的な外道。海面近くを疾走するように泳いでおり、エサが落ちないうちに食いついてくる。
歴史・ことわざなど
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地方名・市場名
参考文献 場所三重県尾鷲、和歌山県田辺・周参見・串本・三輪崎
ロウソクガツオ ロウソク
サイズ / 時期幼魚・若魚 参考文献 場所三重県尾鷲、和歌山県田辺・周参見・串本・三輪崎
参考文献 場所三重県尾鷲・鳥羽、和歌山県太地
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929)・水族志、三重県『東紀州のお魚リスト』 場所三重県東紀州、和歌山県田辺
サイズ / 時期幼魚 備考〈ソウダガツオ類・カツオ類・マグロ類の幼魚を総称してヨコ〉 参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所中国地方、高知県上ノ加江
備考水族志 参考文献 場所和歌山
備考11月にとれるもの。若魚ということか。 参考文献 場所和歌山県切目
参考文献 場所和歌山県和歌浦
備考〈過食すれば下痢する意。〉 参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所和歌山県太地
備考11月頃にとれるもの。 参考文献 場所和歌山県日高郡印南町切目
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929)、阿波学会研究紀要・由岐町の魚類と淡水エビ類 場所和歌山県湯浅
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所和歌山県田辺
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所和歌山県田辺・堅田
参考文献 場所和歌山県白崎
参考三浦工さん 場所宮城県
参考文献 場所富山県新湊
参考文献 場所富山県新湊・生地・四方・富山
参考勢登章司さん 場所山口県萩市
参考文献 場所愛知県豊橋
参考文献 場所東京
参考文献 場所東京、関東
備考ヒラソウダに 参考聞取、『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 場所東京都、神奈川県など、鹿児島県種子島
参考文献 場所沖縄
参考文献 場所沖縄県
参考文献 場所神奈川県
参考文献 場所神奈川県三崎
サイズ / 時期幼魚 参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版)、文献 場所神奈川県三崎、高知県須崎市内外ノ浦
参考文献 場所神奈川県小田原
参考福岡 場所福岡
参考文献 場所福島県小名浜
参考文献 場所秋田県象潟
参考文献 場所紀州(三重県西部と和歌山県か)
備考マルソウダ、ヒラソウダを区別しないで。 参考佐藤厚さん 場所長崎県雲仙市富津
参考文献 場所静岡県沼津市内浦
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929)、文献 場所高知
備考〈ハイカラ釣り(潜航板を用いた引縄)で釣るヨコをハイカラヨコという〉 参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版)、文献 場所高知県上ノ加江
場所高知県中土佐町
備考〈夏季に定置網でとれる大型魚〉 参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県以布利
参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県四万十町志和
参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版)、聞書 場所高知県土佐清水・以布利
参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県大月町小才角・土佐清水中浜・伊佐・窪津・以布利
参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県大月町小才角・小才角
参考文献 場所高知県室戸岬
参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版)、文献 場所高知県室戸岬・土佐清水・伊佐・浦戸など
参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県宿毛市小筑紫
参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県宿毛市片島・大月町一切
参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県宿毛市藻津・黒潮町伊田・土佐清水・伊佐・高知市浦戸・加領郷・室戸岬・柏島・内外ノ浦
備考〈夏季に定置網でとれる大型魚〉 参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県手結
参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県手結・赤岡
備考ナガセメジカ〈ながせ(梅雨)の長雨の降る頃にとれるもの〉。ヒメジカ〈夏季の日照り続きの頃にとれる大型魚〉。 参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県柏島
備考ヒラソウダをシロスというのに対して。 参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県興津・志和・上ノ加江・久礼・須崎など
参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県赤岡
参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県須崎
参考文献 場所高知県須崎市
参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県高知市浦戸
備考〈夏季に定置網でとれる大型魚〉 参考『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県黒潮町上川口
参考文献 場所鹿児島
参考『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 場所鹿児島県種子島
備考ソオダともいい、ヒラソウダとの混同がある。 場所関東など市場で
場所島根県隠岐郡知夫村(知夫里島)
備考ロウソク→ウズワ・マル(富戸)、ロウソク→ウズワ→マルッポ(田牛)。 参考聞取、静岡県水産・海洋技術研究所・伊豆分譲 場所神奈川県小田原・真鶴、静岡県沼津市周辺
場所山形県、富山県氷見市藪田浦漁業協同組合、高知県赤岡・高知市浦戸・田野、長崎
場所三重県尾鷲市
場所石川県七尾市七尾魚市場
場所山口県萩市周辺
備考ヒラソウダとともに。 場所岩手県大槌町・釜石市、宮城県気仙沼
場所山形県鶴岡市由良漁港
備考小田原では「ウズワ」が主で、「マンダラ」という人は少なくなっている。 参考聞取 場所神奈川県三浦半島・小田原
場所鹿児島県
参考文献、三重県『東紀州のお魚リスト』、『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 場所三重県東紀州、和歌山県田辺・周参見・串本、徳島県海部郡美波町・海陽町宍喰、高知県全域(高知県宿毛市田ノ浦すくも湾漁協・中土佐町)、愛媛県八幡浜、鹿児島県南さつま市笠沙・種子島
参考文献 場所千葉県、神奈川県
サイズ / 時期小さなもの 参考聞き取り、『高知の魚名集』(岡林正十郎 リーブル出版) 場所高知県興津・須崎・土佐清水・手結など