ハチビキ
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珍魚度・珍しさ | ★★ 少し努力すれば手に入る |
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魚貝の物知り度 | ★★★★ 知っていたら達人級 |
食べ物としての重要度 | ★★ 地域的、嗜好品的なもの |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
分類 | 顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目ハチビキ科ハチビキ属
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外国名 | Japanese rubyfish 台湾/史氏紅諧魚、紅鰱魚、紅肉欉仔、紅嘴唇仔、紅唇仔、紅魚仔、白肉蒜,紅肉蒜
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学名 | Erythrocles schlegelii (Richardson, 1846)
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漢字・学名由来 | 漢字 葉血引、端血引 Standard Japanese name / Hatibiki Richardson ジョン・リチャードソン(Sir John Richardson 1787-1865 スコットランド)、博物学者、魚類学者(ichthyology)。 Schlegel ヘルマン・シュレーゲル(Hermann Schlegel 1804-1884年)はドイツの動物学者。テミングとともにシーボルトの持ち帰った脊椎動物を整理、記載。『Fauna Japonica』(日本動物誌)を執筆。 |
地方名・市場名 |
概要
生息域
海水魚。水深65〜300メートルの岩礁域。
青森県下北半島、茨城県、小笠原諸島、千葉県館山から土佐湾の太平洋側、宇和海、新潟県〜九州北岸の日本海沿岸、琉球列島、東シナ海、九州-パラオ海嶺。
朝鮮半島東岸・南岸、台湾、南沙諸島、アフリカ東岸ケニア。
生態
産卵期は夏だと思われる。
基本情報
比較的暖かい海域のやや深場にいる大型魚。身色が赤いのが特徴である。この赤い色合いは色素からくるもので、カツオなどの赤身魚がヘムタンパク質ミオグロビンで赤いのとは根本的に違っている。
関東などでは昔、筋肉が赤いので「赤鯖」と呼ばれて非常に安い魚であった。なかなか売りにくい魚であったようで、なんども安く買い求めている。それが長崎県、鹿児島県などがていねいな荷の作りをして出荷するようになり、評価が上がる。今現在、大型は高級魚そのものといってもいいだろう。
白身なのにミオグロビンで赤い赤身魚のように赤い、という逆手にとった提供の仕方で飲食店でも人気が高まってきている。味のよさからも将来的にも評価が下がることはないと思われる。
珍魚度 普通の食用魚であるが、入荷量はそれほど多くない。手に入れるには少々努力を要す。
水産基本情報
漁法 釣り
主な産地 鹿児島県、長崎県、沖縄県、静岡県など
選び方・食べ方・その他
選び方
身が硬く、目が澄んでいる。鰓が鮮紅色のもの。
味わい
鮮度落ちは遅い。700g以上くらいから味がぐんとよくなる。大型の方がうまい。
鱗は強いがそれほど取りにくくない。皮はしっかりしている。
筋肉は赤く、血合いは紫色を帯びた濃い赤だが、カツオなど赤身の魚とは違い硬く締まりすぎず、ほどよく繊維質で白身同様の食感をしている。頭部の筋肉量は少ない。頭部、あらあどからいいだしが出る。
栄養
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危険性など
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食べ方・料理法・作り方
水洗いして三枚に下ろす。腹骨・血合い骨を取り、皮を引く。尾鰭から10cm前後を刺身状に切る。この部分はとても食感が強いので比較的薄く切りつけるとよい。
筋が多く食感が強いので、よく噛んで食べないといけない。この食感がとても心地よく、またうま味が強い。ハチビキの刺身は非常に美味だが、取り分け尾がうまいかも。
好んで食べる地域・名物料理
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加工品・名産品
釣り情報
三浦半島などからの中深場サビキ釣りでは本種も対象魚のひとつ。水深100以上の海底近くで釣れる。これを関東では「赤さば」という。サバに似ているとは思えないが、外見も身の色までもも赤い。
歴史・ことわざなど
血引魚 〈思うに、血引魚の形は鯔に似ていて、大きなもので二、三尺。全体は深赤色。肉も血のような色をしている〉『和漢三才図会』(寺島良安 正徳二年 1712)
地方名・市場名
参考聞取 場所三重県志摩市波切
参考文献 場所和歌山県塩屋
参考文献 場所和歌山県田辺、広島
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所和歌山県田辺・標準和名
参考文献 場所和歌山県田辺市
参考文献 場所広島
参考文献より。 場所東京都大島波浮
参考文献 場所茨城県水戸
参考文献 場所静岡県伊豆半島
場所高知県室戸
参考文献 場所高知県柏島
参考文献 場所鹿児島
参考文献 場所鹿児島県奄美大島
場所関東全域、東京都小笠原諸島・伊豆諸島、駿河湾
場所屋久島安房
備考筋肉が血がにじんだように赤いため。 参考聞取、長浜鮮魚市場20181119 場所東京都諸島部、和歌山県串本町、福岡県福岡市
場所沖縄県
参考林一兵衛さん、聞取 場所三重県鳥羽市和具
参考文献 場所和歌山県太地