202306/23掲載

ダンベ救出大作戦 小イサキでなます

食べておいしいサイズを「なます」に


神奈川県小田原市、二宮定置のダンベからいろんな魚を救出してくる、というと聞こえはいいが、要するに分けてもらってきているのだ。今回は小イサキが主体だったが中に体長16cm前後の食べ頃サイズが混ざっていて、これで「なます」を作った。別名「酢洗い」ともいう。
膾は、鱠とも書くが、これは中国語(かなり古い漢字だが、実際的にはたぶん明の時代の)を当てたのだと思う。国内では古代より「なます」というものが食べられていて、最近では「生酢(なます)」と書く場合もある。この場合は生魚に酢を使った料理という意味だ。
国内の料理が本格的に文字になったのは室町時代で、とくに茶会記としてだ。
赤貝、鮒、鱸、鯛(マダイ)などが「刺身」で出てくる。当時の「刺身」が「なます」と同義語なのは、「刺身」は完全なる生ではなく塩をして酢に軽く漬けて提供したためだ。後に茶懐石は定型的になり、向付(折敷のいちばん遠いところに置かれる小鉢)ともイコールになる。
ちなみに東京のすし屋でも昔は生の状態で漬けることはなく、酢をくぐらせてから漬けるのが当たり前だった。
この塩をして締めて、酢をくぐらせる、もしくは少し酢に漬ける、というのが室町時代よりの「なます」そのものだと考えている。
この「なます」、「酢洗い」をいろんな魚で試している。

最初に塩でしめる


今回は小イサキである。
水洗いして三枚に下ろす。
皮を引き、表面の水分を拭き取る。
やや強めの振り塩をして、半日寝かせる。

酢で洗う


表面に出て来た水分を拭き取り、刺身状に切り、酢で洗い、まな板などの上に少し放置する。
4、5分したら酢を拭き取る。

醤油は不要、そのまま食べる


食べるとき、醤油は不要だ。
適度な塩気に酢の酸味、イサキ自体のうま味が感じられる。
実にいい酒の肴である。

このコラムに関係する種

イサキのサムネイル写真
イサキChicken grunt 三線磯鱸、三線雞魚、黃雞仔、雞仔魚、番仔加誌、黃公仔魚、黃雞魚、三爪仔、雞魚(澎湖諸島)、青筆海水魚。浅い岩礁域。新潟県〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸[長崎県橘湾にはいない、もしくはほとんどいない]、瀬戸内海、・・・・
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