アイナメ
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珍魚度・珍しさ | ★★ 少し努力すれば手に入る |
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魚貝の物知り度 | ★★★ 知っていたら通人級 |
食べ物としての重要度 | ★★★ 一般的(流通量は普通) |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
分類 | 顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目カジカ亜目アイナメ科アイナメ属
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外国名 | Green ling
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学名 | Hexagrammos otakii Jordan and Starks, 1895
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漢字・学名由来 | 漢字 鮎並、鮎魚女、愛魚女、相嘗 Standard Japanese name / Ainame Jordan David Starr Jordan〈デイビッド・スター・ジョーダン(ジョルダン) 1851-1931 アメリカ〉。魚類学者。日本の魚類学の創始者とされる田中茂穂とスナイダーとの共著『日本魚類目録』を出版。 otakii 大瀧圭之介。明治時代の魚類学者。スタンフォード大学で学士に。『日本魚類圖説』(明治36-42 1903-1909)を表す。 |
地方名・市場名 |
概要
生息域
海水魚。浅い岩礁域。
北海道全沿岸、青森県〜九州南岸の日本海・東シナ海沿岸[東シナ海では鹿児島県北部だけにいる可能性が高い]、青森県〜九州南岸[鹿児島県ではほとんど水揚げがない]の大平洋沿岸、瀬戸内海。四国徳島では南部など比較的暖流の影響を受ける地域にはいない。高知県でも同様かも。
黄海・渤海、浙江省、朝鮮半島全沿岸、済州島、ピーター大帝湾、沿海州北部、サハリン南部。
生態
産卵期は関東では晩秋から冬。寒い北海道では9月から11月と早い。
産卵期にはオスが縄張りを持ち、メスに求愛運動をし、岩礁域の窪みなど潮通しのよい場所(縄張り)に産卵させ、産卵後はオスが卵を保護する。この縄張りを持つ産卵期にオスは婚姻色の鮮やかな黄色になる。卵を守る習性があるのに、逆に卵を好んで食べる。
雑食、夜行性で岩礁域などに縄張りを持っている。
基本情報
北海道から九州までの浅場にいる魚である。東北などでシジュウというのは「始終いる(とれる)」からだと教わったことがある。内湾に多く、古くから国内の大都市でも馴染み深い白身魚である。漁獲量が少ない割りに知名度が高いのは、消費地に近い場所でとれ、とても味がいいからだ。
基本的に煮つけなどになる魚だが、近年生で食べることが当たり前になっている。野締めが多かったのが活け締め、活魚での入荷量が増えている。
野締めの値段はやや高い程度だが、活け締めは高級魚、活魚は超高級魚といっても過言ではない。
珍魚度 多少季節によって多い少ないはあるものの安定した入荷してくる。比較的手に入れやすい魚だ。ただ一般的な人には知名度が低く消費地のスーパーなどにはあまり並ばない。
水産基本情報
市場での評価 量的にはあまり多くない。活け、活け締めは高く、野締め(漁のときに死んだもの)は安い。また旬である晩春、夏に高値になるのも特徴的だ。
漁法 延縄(はえなわ 釣り)、刺し網、カゴ漁(アイナメカゴ)
産地 関東には北海道常磐(茨城)、東北(福島)などから入荷を見る。
選び方・食べ方・その他
選び方
白身魚。皮目に味がある。
活けは死後硬直まえのまだ柔らかいものがいい。
また活け締めものも、あれば死後硬直する前の軟らかいものを選ぶ。
鰓は鮮やかに赤いもの。目の澄んだものがいい。
味わい
鱗は小さく、鱗引きではなく、カナブラシなどの方が取りやすい。皮は厚みがあって強い。骨は柔らかい。
白身でクセのない上品な味わい。小骨がなく、淡泊ななかにも旨みがある。皮には旨み、脂が多い。
栄養
高タンパク低脂肪で低カロリーです。
カルシウムと、その吸収を高めるビタミンDが豊富です。骨や歯を丈夫にし、骨粗鬆症を防止してくれます。
ビタミンB1、ビタミンB2が豊富です。
ビタミンB1は糖質の消費を活発にして肥満を防止します。ただし熱に弱いので、生(刺身)で食べるか、加熱が短時間の料理法で効率的に摂取できます。
ビタミンB2は脂肪の消費を活発にし肥満を防止、肌や髪の毛、爪を綺麗にしてくれます。
またビタミンB1、B2は水に溶けやすいので、加熱する場合は〝煮汁ごと食べる料理法〟にするのがベスト。中でも、お吸い物は、加熱時間が短く、汁も美味しく飲めるのでアイナメにぴったりの料理法と言えます。
危険性など
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食べ方・料理法・作り方
好んで食べる地域・名物料理
ウミタナゴやマルタ(ウグイ)など様々な魚で作られる。アイナメは水洗いして三枚に下ろして腹骨・血合い骨を取り、皮を引く。にんにく、ねぎ、みそと一緒にたたく。
マアジなどの背の青い魚よりもあっさりしている。日常的に食卓に上らせても飽きの来ない味である。[『農文協 聞き書 宮城の食事』・『農文協 聞き書 福島の食』(農文協)]
加工品・名産品
加工品はほとんどない
釣り情報
東京湾のブラクリによるアイナメ釣りは最高に面白い。ブラクリという軽い重りに短いヒモ1本に針がついているだけ。餌はアオイソメをつけ、湾内の岩場やテトラまわりの浅い場所を探るように釣る。単純な仕掛けだけに引き味はすばらしく、病み付きになる可能性大。
歴史・ことわざなど
地方名・市場名
参考丹後地方で使われている魚名方言集 場所京都府京丹後市丹後町間人
備考クジメとともに。 参考藤田晴大さん、文献、聞取 場所佐賀県、長崎県大村湾
参考文献 場所兵庫県但馬
参考文献 場所兵庫県淡路
参考文献 場所兵庫県淡路島
参考文献 場所兵庫県美方郡新温泉町
サイズ / 時期大型 参考文献 場所兵庫県高砂
参考文献 場所兵庫県高砂市
参考松宝丸 場所北海道、青森県下北、秋田県男鹿
参考文献 場所千葉県木更津
参考文献 場所千葉県銚子
参考文献 場所和歌山県、三重県西部
参考文献 場所大阪府
参考文献 場所宮城県松島
参考聞取、福島の海産動物方言 場所宮城県気仙沼市・石巻市、福島県相馬
参考文献 場所富山県
参考文献 場所富山県新湊・四方
参考文献 場所富山県氷見・魚津、東京
参考文献 場所富山県生地
参考文献 場所富山県高岡
参考文献 場所山口県下関
参考文献 場所島根県松江・大社、山口県萩
参考文献 場所愛媛県三津
参考文献 場所東京、神奈川県子安
参考『帝国博物館天産部魚類標本目録.帝国博物館』(石川千代松・松浦歓一郎 1897) 場所東京都日本橋魚市場(東京市場)
参考文献 場所熊本県八代
参考文献 場所神奈川県横浜
参考文献 場所福井県鷲巣
参考文献 場所福島県・茨城県常磐
参考文献 場所福島県全域、茨城県常磐地方
参考文献 場所福島県相馬市・小名浜など全域、東京、神奈川県、有明海
参考文献 場所秋田県象潟、富山県氷見市藪田浦漁業協同組合、福井県三国
参考福島の海産動物方言 場所茨城県大洗・那珂湊
参考福島の海産動物方言 場所茨城県平磯
参考文献 場所茨城県水戸・大洗・那珂湊
参考文献 場所青森県八戸
参考青森県水産技術センター 場所青森県深浦・鰺ヶ沢
備考産卵期のものをいうのではないか? 参考文献 場所青森県龍飛
参考文献 場所静岡県静浦
参考文献 場所鳥取県岩美町浦富
参考文献 場所鳥取県米子、島根県出雲市今市
参考文献 場所鳥取県赤崎
場所北海道、青森県下北
場所青森県むつ市大畑、大阪、兵庫県明石、徳島
場所富山県氷見市藪田浦漁業協同組合
場所新潟、秋田、京都府
場所北海道函館、山形県、新潟県上越市、秋田、京都府
参考文献 場所秋田県男鹿、山形県鶴岡市由良漁港、福井県鷹巣
サイズ / 時期若魚 場所兵庫県明石市、徳島県阿南市
参考『石巻の四季のさかな』(石巻魚市場株式会社) 場所宮城県石巻市ほか東北
場所愛知県佐久島
備考広島県ではうますぎて来年の田植え用の種まで食べてしまうということで。 場所広島県
備考【出世魚】30cm超えをビールビン(ビール瓶)。40cm以上をイッショウビン(一升瓶)。 場所関東の釣り師
コゼッポ サイズ / 時期10cm前後
アブラメ サイズ / 時期それ以上30cm未満
ポン サイズ / 時期30cm以上
備考【出世魚】出世魚で春先にとれる3~4cmくらいをアブラジャコ、10cmゼンゴに成長したものをコゼッポ、それ以上30cm未満をアブラメ、30cm以上をポンという。 場所兵庫県明石市
参考文献 場所愛知県知多