ミルクイ

代表的な呼び名ミルガイ

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15cmを超えるものもある。貝殻は薄く小さく軟体は総て納まらない。ミルクイ「海松食」の名は、水管に海藻をつけていることがあり、これがミルを食べているかのごとく見えるためであるという。
15cmを超えるものもある。貝殻は薄く小さく軟体は総て納まらない。ミルクイ「海松食」の名は、水管に海藻をつけていることがあり、これがミルを食べているかのごとく見えるためであるという。
貝殻は薄く小さく軟体は総て納まらない。
魚貝の物知り度 ★★★
知っていたら通人級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★
非常に美味
分類
軟体動物門二枚貝綱異歯亜綱マルスダレガイ目バカガイ科オオトリガイ亜科ミルクイ属(Tresus)
外国名
英名/Keen's gaper, Otter-shell
学名
Tresus keenae Kuroda & Habe in Habe & Ito,1965
漢字・学名由来
漢字 海松食

由来・語源 ミルクイ「海松食」の名は、水管にミル(海藻)をつけていることがあり、これがミルを食べているかのごとく見えるためであるという。水管にはミル以外の海藻をつけてることの方が多く、フジツボなどもつく。ミルをつけているのも見かける。
地方名・市場名
ミルクイ
参考『大柿町の海辺の生き物 町制45周年記念誌』(監修/久家光雄 編集/大柿町海辺の生き物調査団) 場所広島県江田島市大柿町 
ミルガイ
場所市場 
ホンミル[本ミル] クロミル[黒ミル]
備考ナミガイ(白ミル)と区別して。 
アオカイ イシワラオオ イシワリ ウシガイ ウシノシリ ウマノツベ ウマノツベ オイ オオガイ オノカイ カラスガイ クリガイ クリノカイ シオフキ シラオイ シリブト ソデフリ タンポオイ ツベヒロ ドップリ ハガカイ バカガイ バタレ ヒラガイ ビルガイ ホノカイ ミズガイ ミノクイ ミクロガイ メノクイ モンジュガイ
参考文献より。 

概要

生息域

海水生。北海道〜九州。朝鮮半島。
潮間帯から水深20メートルの細かい砂地。

生態

産卵期は春から秋。
砂などに潜り込み、水管を出して、水中をただよう植物プランクトンなどを吸い込み、食べている。
3年で殻長10センチ前後になり、以後年1センチほどずつ

基本情報

東京湾、三河湾、瀬戸内海などで潜水漁でとっている。バカガイ科のなかでも大型になる二枚貝で非常に高価である。
とても日常的に利用できる値段ではないので、すし店、料理店で使われている。江戸前ずしなどでは「みるがいの仕込み」は基本的な技術だが、職人みずから仕込む店は高級店に限られる。
代用品に「白みる(ナミガイ)」があるが味は格段に本種の方が上だ。
ミルクイ(上)、白ミル(下) 市場ではミルクイではなく「ミルガイ」と呼ばれている。同様に市場で「白ミル」と呼ばれているのはキヌマトイガイ科のナミガイである。

水産基本情報

市場での評価 入荷量は少ない。二枚貝ではもっとも高いもので、キロあたり3000円(卸値)を超えるのが普通。
漁法 潜水漁
主な産地 愛知県、瀬戸内海周辺、東京湾など

選び方・食べ方・その他

選び方

味わい

旬は春
一般に軽くゆでて食べる。
このゆでたものを刺身という。
主に食べるのは水管部分。
他の部分は加熱して使う。
水管を食べる ミルクイが高いのはこの水管を刺身にして美味であるため。水管以外の部分もバター焼きや煮つけにして食べられる

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

生食(刺身)、ソテー(バター焼き)、揚げる(天ぷら)、汁(みそ汁、潮汁)
ミルガイの刺身 ミルクイは剥き身にし、水管だけをはずす。足の部分も刺身になるが、食感からすると水管に及ばない。縦に開き湯通しして皮をむく。水管の先を切り捨てる。水管の先を赤くするために先の方だけ、少しゆでる。買いらしい風味が豊かで食感が心地よく美味。
ミルガイのバター焼き 剥き身にして水管以外の部分を適宜に切る。水分をよくきり、にんにく風味をつけたバターで短時間ソテーする。野菜などはあえて使わなくてもいい。バターとの相性がとてもよく味わい深い。
ミルガイの天ぷら 剥き身にして水管を開いて湯通しして冷水に落として皮を剥く。2つ割りにしてよく水分を拭き取る。小麦粉をまぶし、衣をつけてやや高温で短時間で揚げる。揚げると甘みがぐっと増す。一般的に天ぷらには使わない二枚貝だが、意外なほどに美味。
ミルガイのみそ汁 剥き身にして水管をとったあとの足やヒモ、内臓を適宜に切る。これを水から煮出してみそを溶く。ミルクイとみそだけなのに味に奥行きがある。実にしたミルクイも柔らかく、豪華な味わいである。ご飯にかけてもいい。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品

釣り情報

歴史・ことわざなど

和漢三才図会(寺島良安 正徳2年) 東海美人、淡菜、殻菜の漢字がある。
本朝食鑑(人見必大 元禄10) 〈蛤は殻・肉ともにぼう(漢字なし)に類し、一頭は小さく、黒茸が生えている。略鹿茸に比し、黒毛がある。茸頭に菜を生じ、初めは微黄色く、赤色を帯び、味は淡脆・甘美である。……包人が黒茸味はもっとも美い。上厨に充て、世間でも嘉賞されている。……その袴」帯・舌柱も味が佳い。〉
西施舌(せいしぜつ) 〈ミルクイを西施舌という。西施は中国春秋時代の越の美女の名である。河豚(白子)を西施乳という。〉『たべもの語源辞典』(清水桂一編 東京堂出版)

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市場では「みるがい」もしくは「本みる」。貝のなかでも最高級品。今や、寿司屋などでもめったに使えないものとなってしまった。北海道から九州まで棲息。瀬戸内海や三河湾、東京湾などの内湾に多い貝で、資源の減少が危惧されている。