ハガツオ

代表的な呼び名キツネガツオ

ハガツオの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
1m SL 前後になる。体全域に小鱗に覆われる。紡錘形で体は少しだけ側へんする。背部に縦縞模様がある。下顎に円錐形の鋭い歯がある。側線は1本。[4.3kg・全長71cm]
1m SL 前後になる。体全域に小鱗に覆われる。紡錘形で体は少しだけ側へんする。背部に縦縞模様がある。下顎に円錐形の鋭い歯がある。側線は1本。[4.3kg・全長71cm]
稚魚、若魚のとき縞模様はとぎれとぎれとなっていている。[幼魚]
1m SL 前後になる。体全域に小鱗に覆われる。紡錘形で体は少しだけ側へんする。背部に縦縞模様がある。下顎に円錐形の鋭い歯がある。側線は1本。[4.3kg・全長71cm]
魚貝の物知り度 ★★★★
知っていたら達人級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★★★
究極の美味
分類
顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目サバ亜目サバ科ハガツオ族ハガツオ属
外国名
英名/Striped bonito フランス語/Bonite oriental スペイン語/Bonito mono
学名
Sarda orientalis (Temminck and Schlegel, 1844)
漢字・学名由来
漢字 歯鰹 Hagatuo
由来・語源 三重県、和歌山県、関西・長崎、静岡県静浦、高知県などでの呼び名。歯が小さくて目立たないサバ科のなかでとても歯が大きいため。
〈顎にある齒が稍や強い為、ハガツオの名称が出たのである〉。田中茂穂は標準和名をキツネガツオとしている。『図説有用魚類千種 正続』(田中茂穂・阿部宗明 森北出版 1955年、1957年)
〈サハラ科ハガツヲ〉『日本魚類圖説』(岡田彌一郎、内田惠太郎、松原喜代松 三省堂 初版1935)
〈サハラ科ハガツヲ属ハガツヲ(キツネガツヲ)〉『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)


由来・語源 関西での呼び名。サバ科には珍しく歯が犬歯状で鋭いことから。地方名ではむしろキツネ、キツネガツオと呼ぶ地域の方が多い。
Temminck
コンラート・ヤコブ・テミンク Coenraad Jacob Temminck(1778-1858 オランダ) シュレーゲルとともにシーボルトの持ち帰った脊椎動物を整理、記載。『Fauna Japonica』(日本動物誌)を執筆。
Schlegel
ヘルマン・シュレーゲル(Hermann Schlegel 1804-1884年)はドイツの動物学者。テミングとともにシーボルトの持ち帰った脊椎動物を整理、記載。『Fauna Japonica』(日本動物誌)を執筆。
地方名・市場名

概要

生息域

海水魚。沿岸の表層を群れて回遊している。
北海道〜九州南岸の日本海・東シナ海・太平洋沿岸、屋久島、琉球列島。
朝鮮半島南・西岸、インド・西太平洋域。

生態

産卵期は夏。

基本情報

日本列島をはじめ、西太平洋・インド洋に広く生息している。サバ科のなかではカツオなどと比べると比較的漁獲量が少なく、安定的にとれないので知名度はあまり高くはない。産地などでは味のよさから好んで食べられているが、消費地では原則的に切り身で売られているために知名度は低い。
千葉県などでまとまってとれることがあるため、東京都では古くからよく食べられていた。これを魚屋さん、市場などでは「とうさん」、「とうざん」、「ほうさん」などと呼んでいる。切り身にして売ることが多く、古くは定番的な総菜魚であった、今でも好んで買い求める人もいる。産地に近いところでは生食されていた。
基本的な料理法は焼き物と煮つけであるが、鮮度がよければ刺身にして食べてもらいたい。

水産基本情報

市場での評価 古くはまとまって入荷してくるもので、鮮度はあまりよくなかった。これが鮮度が向上して数固体で入荷してくる。値段は安く、魚屋などで総菜用に切り身などにされている。真子だけでの流通もある。
漁法 釣り、巻き網、定置網
主な産地 静岡県以西に多く、とくに三重県から高知県、宮﨑、鹿児島などの太平洋側では普通。

選び方・食べ方・その他

選び方

味わい

旬は秋から春
小さいものは小さいなりに美味。これなどはサバ科旧マグロ属に共通する。年間を通して味がいい。
鱗はなく皮は薄く弱い。骨は軟らかい。
赤みは弱く、ベージュに近い。熱を通すと硬く締まるが、カツオほどではない。卵巣もおいしい。
味の方向性
味わいはカツオとサワラの中間的なものに思える。関東では古くから総菜用の魚として煮るか、焼くかしていた。煮る硬く締まるが実に味わい深い。焼く場合は強い塩をするが、これもご飯に向いている。流通の発達した現在ではなんといっても生食がいちばんうまい。カツオのようにたたき、刺身など魚類中でも最上級の味だ。


切り身 マグロ族ではないので赤みは弱く、時間が経つと白濁してサワラに近い色合いをしている。血合いの色も淡い。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

ハガツオの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、たたき、なめろう、づけ、セビチェ、カルパッチョ)、煮る(いり焼き、煮つけ、まーす煮、真子煮つけ)、焼く(幽庵焼き、風干し)、揚げる(フィッシュ&チップス、メンチカツ、唐揚げ)
ハガツオのたたき(焼霜造り) 皮目を焼いたときの香りと風味が実にいいので、「たたき」は絶品。三枚に下ろして血合いの部分を取り、強火であぶり切りつける。しょうゆに、青唐辛子やにんにく、しょうが、ねぎ、柑橘類などで食べる。

ハガツオの刺身 もっとも基本的な食べ方だが、関東などでは鮮度的に難しい。産地に行くと必ず食べたくなるほどに美味。血合いに微かに酸味を感じるが味はサワラに近い。わさびを添えたが、しょうがでもにんにくでもお好みで。
ハガツオの血合いのなめろう(みそたたき) 血合いの部分をおろししょうが、にんにく、大葉(青じそ)、ねぎ(玉ねぎでもいい)などと細かくたたく。血合い骨はそのままなので気にならないくらいに細かくたたく。味わい濃厚でいながら、後味は香辛野菜のせいか悪くないというもの。酒の肴として最高だ。
ハガツオのづけ(漬け) 三枚に下ろして血合いを取ったものを皮付きのまま刺身にする。これをみりん、しょうゆ、おろししょうが、白ごまを合わせたタレに1時間ほど漬け込んだもの。温かいご飯にのせてそのまま食べてもいいし、お茶漬けにしてもうまい。
ハガツオのいり焼き(魚すき) 三枚に下ろしてやや薄めに切る。これをしょうゆ、酒、砂糖、水の地で煮ながら食べる。玉ねぎを入れると抜群にうまくなる。他には春菊、ねぎ、きのこなどもいいが、意外に好相性なのがこんにゃくである。
ハガツオとなすの揚げ煮 三枚に下ろして適宜に切り、片栗粉をまぶしてかりっと揚げる。なすも同様に素揚げにする。これを酒、みりん、しょうゆ、甘いのが好きなら砂糖も加えた地であっさりと短時間煮て、鍋止めをする。
ハガツオの煮つけ ハガツオの切り身を酒、みりん、少量の砂糖、しょうゆ、水であっさりと煮上げたもの。小一時間ほど鍋止めをするとよく味がしみてうまい。ご飯のおかずにも酒の肴にもいい。またこれをご飯に混ぜ込んでもうまい。
ハガツオのまーす煮 ハガツオの頭は実にうまい。これを少量の塩水で煮上げる。煮上げた汁もうまいので箸でつついた身を浸しながら食べる。コーレーグス(島唐辛子の泡盛漬け)や柑橘類を合わせるといい。日本酒よりも泡盛や焼酎に合う。
ハガツオの真子煮 晩春から夏にかけて出回る真子は、西日本ではスーパーなどにも並ぶ。これを適宜に切り、酒、みりん、しょうゆ、水を煮立てたところに落として煮る。あまり火を通しすぎないこと。こくのある味わいのなかに甘味がある。ご飯のおかずとしてもいい。
ハガツオの白みそ漬け(西京漬け) 三枚に下ろして切り身にする。振り塩をして1時間ほど置き、水分をよく拭き取る。みりんと白みそ(西京みそ)と合わせた地につけ込む。1日以上寝かせて焼き上げる。あまり硬くならず白みその味わいと相まって非常に美味。
ハガツオの照焼 醤油味の地につけ込んで、みりんを塗りながら焼き上げるのが、関東での照焼だと思っている。ここでは三枚に下ろして切り身にする。振り塩をして1時間以上寝かせて水分を拭き取る。これを醤油・みりん・好みで酒の地につけ込む。
ハガツオの幽庵焼き 単に塩焼きにすると硬く締まり、まずくはないが、それほどうまくもない。酒・みりん・しょうゆを同量合わせた地に、半日から1日つけ込んで焼いた幽庵焼きはとてもうまい。柚子などの風味をつけても、また山椒などの風味をつけてもいい。
ハガツオの風干し 内臓を抜き、三枚に下ろした身に強い塩をする。水分が出てくるので数時間どとに裏返し、2日以上漬け込むようにする。これを軽く水洗いして、2〜3日間干し上げる。これをさっとあぶって食べる。ご飯にも酒の肴にもいい。
ハガツオのフィッシュ&チップス ジャガイモは皮をむき、かりっと素揚げにする。ハガツオは皮付きのまま、小麦粉をビールで練った衣をつけてさくっと揚げる。揚げたてに振り塩をして出来上がり。モルトビネガーをつけて食べるととてもうまい。
ハガツオのメンチカツ 刺身にしたときの切れっ端や中骨についた身を合わせて細かくたたき、玉ねぎのみじん切り、バター、塩・コショウを合わせてまとめる。これに小麦粉をまぶし、溶き卵をくぐらせてパン粉をつけて揚げる。バターのお陰でジューシーに仕上がり、パンにもご飯にも合う。
ハガツオのソテー 三枚に下ろして適宜に切る。塩コショウして、小麦粉をまぶしてオリーブオイルなどでソテーする。これにマルサラ酒、バルサミコ酢、しょうゆ、にんにくを合わせて煮つめたソースをかける。季節の野菜などと合わせると彩り的にもいいだろう。
ハガツオのさんが焼き 三枚に下ろしてみょうがやねぎ、青じそ、みそ(ここでは徳島県海部郡海陽町宍喰・竹ヶ島の麦みそ)を合わせてたたき、なめろうと作る。多めに作り、残ったものをフライパンでソテーしたもの。古くはたき火などで焼いたものだが、家庭ではソテーして作る。ケチャップやソース、コチュジャンとごま油などを合わせたものをつけるといい。

好んで食べる地域・名物料理

たたき 長崎県五島列島。頭部をよくあらい、目の下にある硬い骨だけをのぞき、細かく包丁でたたく。そこにみそと山椒を加えまたよくたたく。これを酢で半日ほど押さえた(締めた)もの。


ほうさん・とうさん 関東では古くから煮つけや焼き物用として売られてきた。「ほうさん」、「とおさん」、「とおざん」などというが、語源は唐桟だと考えている。唐桟織の特徴は縦縞模様だ。

加工品・名産品


塩かつお 内臓を取り、腹から深めに包丁を入れて塩漬け、半月以上陰干しにしたもの。スライスしてそのまま、軽くあぶって食べる。熱湯をかけてすまし汁にも。[魚武水産 静岡県賀茂郡賀茂村安良里]
塩かつお 薄くスライスしたもの。生のままレモンなど柑橘類をかけて食べてもいいし、軽くあぶって食べてもいい。めったに手に入らないものではあるが非常にうまいものである。[魚武水産 静岡県賀茂郡賀茂村安良里]
Maldive fish(モルジブフィッシュ 節) モルジブ、スリランカではカツオ節になる。スリランカではこれをカレーに入れる。「Maldive fish」とも。

釣り情報

歴史・ことわざなど

地方名・市場名

ガリ
参考日比野友亮さん/和具の方言 場所三重県志摩市和具町 
スジマンダラ
参考文献 場所富山県新湊 
トウサン トウザン
備考唐桟織り(江戸時代に入ってきた縞模様の輸入生地を国産でまねて作った織物の「とうざん」から来たのではと直感的に考えた。またホウサン、ボウサンともいうがこれもは同じく唐桟織りの別名「棒桟織(ぼうさん)」のこと。 場所東京都八王子、神奈川県など関東一円の市場 
ハアガツ
参考文献 場所沖縄県 
スゲ
参考文献 場所神奈川県 
ホウサン
参考20191212 小田原 場所神奈川県江ノ島・小田原市、関東周辺 
ヨコワガツオ
参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵 淀屋書店 1929) 場所紀伊續風土記 
サバガツオ サバカツオ
参考文献 場所長崎県 
ブシ
参考文献 場所静岡県浜名湖 
シマダラ
参考文献 場所静岡県静浦 
ナエ
参考文献 場所高知県熊野浦 
スボタ
参考奄美漁業協同組合 場所鹿児島県奄美大島 
ヤマイヌ[山犬]
参考宍道弘敏さん 場所鹿児島県鹿児島市 
カツオ
場所長崎県 
キツネ キツネカツオ キツネガツオ
参考佐藤厚さん 場所石川県七尾市七尾魚市場、和歌山県串本町、京都府宮津市・伊根町新井崎漁港、徳島県海部郡海陽町宍喰竹ヶ島、長崎県雲仙市、鹿児島 
シマガツ シマガツオ
場所山形県鶴岡市由良漁港、福島県小名浜、東京 
スジ スジガツオ
参考茶屋町スーパーなど20181119 場所京都府宮津市・伊根町新井崎漁港、和歌山県田辺、岡山県岡山市・倉敷市、広島県広島市、山口県小野田市・宇部市 
トウケン[刀剣]
場所静岡県沼津 
ボウサン
備考唐桟織り(江戸時代に入ってきた縞模様の輸入生地を国産でまねて作った織物の「とうざん」から来たのではと直感的に考えた。またホウサン、ボウサンともいうがこれもは同じく唐桟織りの別名「棒桟織(ぼうさん)」のこと。 場所千葉県、東京都八王子など関東一円の市場 
ハガツオ
参考聞取、『種子島の釣魚図鑑』(鏑木紘一 たましだ舎 2016年) 場所福島県小名浜、神奈川県小田原、紀州(三重県西部、和歌山県)、関西、長崎、徳島県海部郡海陽町宍喰・竹ヶ島、高知県、鹿児島県種子島 
ヤナギガツオ ヤナギカツオ
参考文献 場所大阪府堺