ホタルイカ
全関連コラム
魚貝の物知り度 | ★★ これは常識 |
---|---|
食べ物としての重要度 | ★★★ 一般的(流通量は普通) |
味の評価度 | ★★★★ 非常に美味 |
概要
生息域
海水生。大陸棚上から斜面域。
本州以北の瀬戸内海・日本海・太平洋、オホーツク海。
朝鮮半島南沿岸・東岸、朝鮮半島以北の中国沿岸、ロシア沿海州、カムチャツカ。
生態
産卵期は、各地で一年を通して行われる。なかでも富山湾は11月、12月、そして2月から7月。産卵は日暮れから、浅瀬に来て行われる。これ以前に交接を済ませている。
オスはメスよりやせ形で華奢、交接を済ませると、メスよりも早く死んでしまう。
2週間ほどで孵化、潮にのってやや北上。外洋の表層、中層に棲息。昼間は水深200 〜600メートル前後にいて、夜になると浅い30〜100メートルあたりに浮き上がってくる。
1年でまた成熟し、交接、産卵して死んでしまう。
発光器は目の回り、第4腕先端、身体の腹側(耳のある方が背、反対側が腹)にある。
発光はホタルイカを狙う生き物から姿を隠す役割を担っている。これをカウンターシェイディングとよぶ。深い水深にあっても光は僅かながらも届いてくる。これを下から外敵に狙われると危険度が高くなる。それで上部からさしてくる光と同じ明るさで下側に向けて発光する。すると上部からの光の中で影とならずに姿が消せる。
基本情報
本州以北にいる小型のツツイカ。相模湾、駿河湾、外房などでもとれるが、まとまって揚がるのは日本海山陰以北。一昔前までは富山湾特産といわれたが、鳥取県、京都府、兵庫県、福井県などでも盛んに水揚げされている。富山県は春に漁の最盛期を迎えるが、西ほど漁期は早く、1月くらいから漁が始まる。
もともとは産地ならではのものであったが、今では全国的に食べられていて、市場などでは春の風物詩ともなっている。また富山湾などでは漁を見せるなどで観光資源ともなっている。
一般的には産地でゆでたものが主流、生での流通もある。
加工品は干もの、塩辛で、こちらは関東などでもお馴染みのものとなっている。
水産基本情報
主な産地 兵庫県、富山県、鳥取県、石川県、京都府、新潟県など日本海側。太平洋側でも少ないながら流通もし、食べてもいる。
鳥取県漁期/底曳き網1〜5月。
兵庫県漁期/底曳き網1〜5月。
京都府漁期/底曳き網3〜5月。
富山県漁期/定置網3〜6月中旬。
選び方・食べ方・その他
選び方
ゆでイカは膨らみがあって、表面につやのあるもの。
生イカは透明感のあるもの。
味わい
旬は漁の盛期でもある春
ゆでるとワタに旨みがあり、身にはほどよい甘みがある。
ゆでても柔らかい。
生はワタの部分を除去するか、冷凍して一定時間おいたものを食べる。
栄養
ー
危険性など
旋尾線虫が寄生している可能性があるので、できれば生食はさける。旋尾線虫はアニサキス症に似た症状や爬行症(皮膚科を移動し)をおこす。生で食べる場合、自己責任で。
食べ方・料理法・作り方
ホタルイカはパレットにのったものをそのまま、強火で焼き上げる。完全に火を通さないと寄生虫の問題があって危険であるために、半生は厳禁。
温かい内に食べると、濃厚なホタルイカの味が口中に広がる。ホタルイカの内臓の味わいが増大しているのに、後味は悪くない。焼きながら食べるときりがないほどおいしい。
好んで食べる地域・名物料理
富山県、福井県、兵庫県、鳥取県
お菜は、海岸に大量に寄ってきたほてるいかをひろって、里芋や大根と煮つける 伊豆大島・春。『聞き書 東京の食事』
加工品・名産品
ほたるいか魚醬干し ホタルイカを魚醬に漬けて干したもの。『菱森食品(富山県黒部市)』
釣り情報
三浦半島などでは沖釣りのエサにしている。
歴史・ことわざなど
ホタルイカの身投げ 4月から5月の波の静かな日、産卵のために浮上したホタルイカが波打ち際に大量に打ち上げられることがある。これを「ホタルイカの身投げ」と呼ぶ。
観光 時期には夜、遊覧船が出る。