イカの値段に温暖化を感じる、スルメイカ対ヤリイカ
幾日も幾日も同じサイズの揃うのを待つ
スルメイカの高騰は温暖化のためだと思っている。ヤリイカ、ケンサキイカ、アオリイカの高級イカ3種は用途が刺身で同じなので総量で価値が決まるが、スルメイカはスルメイカでなければ作れない刺身以外の料理があるため、なければ1種だけで高騰する。
近所の魚屋をとっつかまえては聞いていることだけど、普通の町の魚屋は最近、スルメイカを本単位(はい数が正しいかもだけど、魚屋はイカを1本、2本と数える人が多い)で仕入れているようである。
20世紀末には八王子あたりの老舗だと4,5箱仕入れていたことを考えると隔世の感がある。市場では「日本海スルメイカ(下氷)の箱の山に魚屋の札」が普通だったのである。
先日、知り合いの魚屋がヤリイカ3、スルメイカ3なんて仕入れていた。ヤリイカなどの高級イカは仕入れない庶民的な魚屋なので、「注文かい?」と聞くと、「最近こんな感じよ」と言う。
要するにイカの需要はあるのだけど、イカの刺身が高級品になったので用途の違う2種を最低限仕入れているのだ。
「最近ウチもね、アオリもケンサキも仕入れてるのよ、世の中変わったよね」
マイワシがキロ単価で3000円以上したときは魚屋が大騒ぎしたけれど、スルメイカはそこまでの騒ぎにはならない。でも深刻だと考えている人は多いのだ。イカは目立たないけど地味に大変な状況にある。
なんとなく仕入れていたスルメイカが1本大きいと700円もする世の中が来るとは誰も思わなかったはずである。ちなみに昔は立派なのが300円くらいで買えた。安いと100円なんてスルメイカもあったのだ。その100円サイズだって今じゃ450円はすることからして、スルメイカは高級イカとなってしまったことになる。
念のために岩手県産ヤリイカと日本海(正確な産地は不明)スルメイカ両方を買って値段を比べてみた。ヤリイカはキロ単価(重さを量って買う)、スルメイカは1本売りなので買って調べるしかないのだ。
正確なことは公表できないが、ほぼ同じキロ単価だった。だからスルメイカとヤリイカ両方を魚屋は仕入れていくのだ。
ちなみに外套長(同の部分の長さ)が同じなら、頭と足が大きいスルメイカの方が重い。このあたりも両種の用途の違いを生むのだけど、これはまた別の機会に。