明石浦サワラを塩サワラにして作る鰆飯
秋、2合の鰆飯に涙す
いたるところに鰆飯あり。
たぶん数えたら切りがないだろう。
我が家の鰆飯は基本的に塩焼き、もしくは塩サワラを焼いたものを炊き込む。
炊飯の用意して焼いた塩サワラを炊き込むのだけど、醤油と酒を少々加えるだけの単純なものだ。
ときどきごぼうとか、にんじんとかを加えることもあるが、今回は焼いた塩サワラだけを炊き込んだ。
炊き込みご飯は炊き上がりが待ち遠しい。
秋、2合の、炊き上がりの湯気を浴びたうれしさよ、手にしゃもじだ。
混ぜ合わせて茶碗に盛り盛りして、いつもながらにあっと言う間に食べてしまう。
この短さに涙、涙、うれし、淋しの涙、なのだ。
たぶん魚の炊き込みご飯の中でももっとも失敗がなく、もっとも端的にうまい。
ここ数年、鰆飯を作るために、塩サワラを作っている気がするくらいだ。
冷めてもう一杯、こんどはゆっくり食べる。
焼いたサワラの香ばしさが、ほんの少しだけだけど、ご飯にも移っているのがいい。
ほんの少しだけの醤油と酒なのに意外にも大活躍している。
たった一つの味を全部の材料が、お互いに邪魔しないで作りあげている、これぞ茶碗の中の平和なのだ。
すだちとローゼルの塩漬けを添えて、結構毛だらけ……。
ベストサワラ=明石のサワラだった
八王子綜合卸売協同組合、舵丸水産に「浦」というタグのついたサワラが来ていた。体長65cm・2㎏なので正確には「やなぎ」サイズである。
このサイズは微妙である。もう一回り大きければいいのだけど、いかなサワラの旬とはいえども、必ずしも脂が乗っているとは限らない。
隣には3、4㎏サイズがあって、当然、売れ行きがいい。
さすがに「やなぎ」で、産地不明では手が出ない。
触った感じと値段の安さから「浦」にする。
支払いをしていて、「浦」の下にある文字に目をこらしてやっと産地がわかった。
なんと兵庫県明石市、明石浦漁協ではないか。
この「浦」はやめたほうがいいよ、といいたい。
ほんの10年前まで、流通上、関東では「明石」すら知名度が低くかったのだ。
やっと「明石」の知名度を上げたのに、「明石」を消したらあきまへん。
以上は前回と同じ。