スミクイウオ

スミクイウオの形態写真一覧 (スワイプで別写真表示)
体長35cm前後になる。鱗は弱く取れやすい。
体長35cm前後になる。鱗は弱く取れやすい。
体長35cm前後になる。鱗は弱く取れやすい。
珍魚度・珍しさ★★★
がんばって探せば手に入る
魚貝の物知り度 ★★★★
知っていたら達人級
食べ物としての重要度 ★★
地域的、嗜好品的なもの
味の評価度 ★★★
美味
分類
顎口上綱硬骨魚類条鰭亜綱新鰭区棘鰭上目スズキ系スズキ目スズキ亜目スミクイウオ科スミクイウオ属
外国名
Blackmouth
学名
Synagrops japonicus (Döderlein, 1884)
漢字・学名由来
漢字 墨食魚 Sumikuiuo
由来・語源 全身が黒く、喉の奥、腹腔も黒いため。
〈テンジクダヒ科スミクヒウヲ屬 スミクヒウヲ Synagrops japonicus〉『日本産魚類検索』(岡田彌一郎、松原喜代松 三省堂 初版1938)

墨食魚 口内も喉も腹の中も、墨を飲んだように黒い。
Döderlein
ルートヴィヒ・デーデルライン(Ludwig H. P. Döderlein/1839-1936)。ドイツの動物学者。1879/明治12-1881/明治14、東京大学のお雇い教師として日本滞在。神奈川県江ノ島や三崎で水産生物を採取。
地方名・市場名
モツ
参考文献 場所高知県全域 
ムツ
参考聞取 場所相模湾周辺、静岡県沼津 

概要

生息域

海水魚。水深100m〜1000m。
北海道〜[岩手県宮古]〜九州南岸の太平洋沿岸(東北以北では少ない)、[富山湾 2008-2018 年に富山湾で新たに記録した魚類 木村知晴・西馬和沙・不破光大・稲村 修(魚津水族館)]、兵庫県〜九州北西岸の日本海・東シナ海。西太平洋、ハワイ諸島、オーストラリア、インド洋、南アフリカ。

生態

基本情報

琉球列島をのぞく国内海域に生息している。深場にいる魚で底曳き網、定置網などで揚がる魚だ。流通に乗ることは希で、ときどき見た目が似ているムツと間違われることがある。
問題視するほどではないが未利用魚となることが多い。
珍魚度 珍しい魚ではないが、水揚げが非常に少なく、めったに流通に乗らない。定置網や底曳き網のある漁港と漁港近くで探せば手に入る。

水産基本情報

市場での評価 関東では非常に希。値段は安い。
漁法 底曳き網、定置網
産地 静岡県、高知県、三重県

選び方・食べ方・その他

選び方

鱗のあるなしは関係ない。張りのあるもの。目が澄んでいるもの。触って硬いもの。

味わい

旬は秋〜春。
鱗は非常に取れやすい。皮は比較的厚みがあってしっかりしている。中骨以外は軟らかい。
白濁した白身で繊維質にかけ、ぼろっとした感じがする。熱を通しても強く締まらない。

栄養

危険性など

食べ方・料理法・作り方

スミクイウオの料理・レシピ・食べ方/焼く(塩焼き、干もの)、煮る(煮つけ)、汁(みそ汁)、揚げる(唐揚げ、天ぷら)、生食(あぶり、みそたたき)
スミクイウオの塩焼き 身は繊維質に欠けるので少しぼろっとする。ただ皮目にうま味があり、皮周辺に脂があるところが魅力でもある。この皮目を端的に生かすという意味で、しかももっとも簡単なのが塩焼きかも。肝はあまり大きくないが、水洗いしたら戻しておくとうまい。
水洗いして、よく水分をきる。振り塩をして1時間以上寝かせておく。1時間以上寝かせる場合にはビニール袋に保存する。これで2、3日持つ。水分をよくきり、じっくりと焼き上げる。

スミクイウオの開き干 塩をして少し干すと、身が絞まり、味も増す。水洗いして開く。水分をよくきり15分ほど立て塩(ねめて少し渋く感じるくらいの塩水)をする。水分をよくきり、半日程度干す。干すことで味が増すだけではなく、焼き上がりが早くなり、食べやすくなる。
スミクイウオの煮つけ 水洗いして湯通し、冷水に落として鱗などを取る。水分をよく切っておく。これを酒、砂糖、しょうゆで煮上げたもの。少し小骨が多いのが難点ではあるが。クセのない白身に脂があって、とてもおいしい。
スミクイウオの天ぷら スミクイウオは水洗いして三枚に下ろす。血合い骨、腹骨を取り、水分をよく切って振り塩をする。出て来た水分をとり、小麦粉をまぶして衣をつけてやや高温で揚げる。皮目の香りと味、身に甘味があってとても味わい深い。
スミクイウオの唐揚げ 小振りのスミクイウオは水洗いして水分をよくきっておく。丸のまま片栗粉をまぶして少し寝かせる。片栗粉が馴染んだら再度片栗粉をまぶしてじっくりと二度揚げする。
スミクイウオのみそたたき(なめろう) 刺身などにすると少し淡泊で味気ない。むしろみそや香りのある野菜とともに、みそたたきにしたい。水洗いして三枚に下ろして腹骨と血合い骨を取り、皮をひく。ねぎやみょうが、しょうが、にんにくなどを好みで加えてみそとともにたたく。切れる包丁でしっかりたたくといい。
スミクイウオのあぶり 単に刺身にすると、よほど鮮度がよくない限り、血合いがくすんでいてうま味もあまり感じられない。ここでは味のある部分である皮を生かす。三枚に下ろして腹骨と血合い骨を取る。水分をよくとり皮をあぶって氷水に落とす。水分をよくきり、少し冷蔵庫で皮目を落ち着かせて、食べよい大きさに切る。
スミクイウオのみそ汁 丸のままぶつ切りにしてもいいし、あらを集めて使ってもいい。水洗いして湯通し、冷水に取り残った鱗やぬめりを流す、水分をよくきる。これを水(昆布だし)から煮だしてみそを溶く。非常にうま味豊か。脂があって汁自体に甘味がある。クセのない白身も味わい深い。

好んで食べる地域・名物料理

加工品・名産品


干もの 頭部を切り落とした丸干しで、干し加減は弱め。皮目に独特の香りがあり、うま味豊かでとても味わい深い。[高知県南国市]

釣り情報

歴史・ことわざなど