有明海産小イワシの保存食としての酢のもの
食卓にあっていい口直しになる
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初めて酢の中に具がすっぽり沈んだ酢のものを食べたのは、ほんの二十数年前のことで徳島県美馬郡美馬町(現美馬市美馬町)親戚の家で、だ。
甘い三杯酢に小アジ(マアジ)の切り身が沈んでいて、すっぱくて甘い。
親戚の家は農家で、ボクの家は吉野川右岸貞光の商店街にあった。
我が家の酢のものといえば、ワカメときゅうり、竹輪などが入っていて酢は底の方にあるだけで、具が酢に沈んでいるといったものではなかった。
これを期にいろんな地域の酢のものの画像を整理して調べ直すと、完全に酢の中に沈んでいるものがむしろ主流だった。
また、魚だけのものが結構多いことがわかってきた。
群馬県中之条町の主婦はタッパウエアに酢を満たして、魚の切り身を沈めて容器のまま食卓に出していた。
要するに当座食べるもの(保存食)としての酢のもので、食い切りではないという意味だろう。
これをいろんな魚で再現しているが、今回は小イワシ。
開いて塩づけにして、水洗いして甘酢に漬けてみた。
風味づけに青ゆずを使ったが、不要だったかも知れぬ。
10日間3回に分けて計6回食卓に上げた。
食卓にあるとうれしい一品だと思う。
要するに冷蔵庫のない時代の知恵といったものかも。
酢が染みすぎても甘酢なので味の濃度が濃くなったとは言えず、あっさりした味わいで安定している。
しかもちゃんとマイワシのおいしさが感じられる。
酒の肴にしてうまいところなどいいことずくめである。
