ホッコクアカエビ

Scientific Name / Pandalus eous Makarov, 1935

ホッコクアカエビの形態写真

体長10cmを超える。殻は柔らかく、赤くほっそりしている。額角は甲長の1.5倍以上あり、上縁に12〜16歯でその内、3〜4歯甲上にある。
ホッコクアカエビの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)
体長10cmを超える。殻は柔らかく、赤くほっそりしている。額角は甲長の1.5倍以上あり、上縁に12〜16歯でその内、3〜4歯甲上にある。体長10cmを超える。殻は柔らかく、赤くほっそりしている。額角は甲長の1.5倍以上あり、上縁に12〜16歯でその内、3〜4歯甲上にある。
    • 珍魚度・珍しさ


      いつでも手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★
      これは常識
    • 食べ物としての重要度

      ★★★★
      重要
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    節足動物門甲殻亜門軟甲綱(エビ綱)真軟甲亜綱エビ上目十脚目抱卵亜目コエビ下目タラバエビ科タラバエビ属

    外国名

    Pink prawn
    言語英語 備考『原色日本大型甲殻類図鑑 Ⅰ、Ⅱ』(三宅貞祥 保育社 1982) 
    Deepwater shrimp

    Deepwater prawn
    言語英名 

    学名

    Pandalus eous Makarov, 1935

    漢字・学名由来

    漢字 北国赤蝦、北国赤海老 Hokkokuakaebi
    由来・語源 調べているところ。古くはホンホッコクアカエビと同種で、Pandalus borealis Krøyer, 1838 とされていた。

    地方名・市場名

    生息域

    海水生。水深300m-1000m。
    日本海から北海道、ベーリング海、アラスカ、カナダ西岸にまで棲息する。

    生態

    ■ 資源的にはタラバエビ科では比較的安定している。これはタラバエビ科でも本種を含むタラバエビ属(Pandalus)は抱卵数が多く資源が回復しやすい。
    ■ 春先に産卵して、メスが卵を1年近く腹にある足で抱きかかえて保護し翌年の冬に孵化放出する。
    ■ 雄性先熟。孵化した幼生はプランクトンとして漂い。小エビになって約5年から6年間オスとして成長する。オスとして成熟するには4年から5年かかり、交尾してからメスに性転換する。すなわち市場で見る大型の甘エビ(ホッコクアカエビ)は大きなものは総てメスなのだ。
    ■ メスの産卵は2年ごとであり、卵を抱く期間が1年弱。市場でも抱卵しているのと抱卵していない個体を見るのはこのためである。
    ■ 小振りの甘エビで抱卵していないものはオスと言うこともある。

    基本情報

    生息する水深が深く、漁業の対象となったのはそれほど古くはない。主に日本海側でとれるもので、1960年代に新潟県などから「ナンバンエビ」という呼び名で入ってきていた。この当時、デパートの物産展などが行われ、徐々に一般に知られる存在となった。
    本来エビは生で食べるよりもゆでたり、揚げたりして食べていたもの。これを主に生で食べる甘エビ類が当時は新鮮であったよう。最近では国内産だけでは足りずロシア、カナダなどからの輸入している。近縁種のホンホッコクアカエビもグリーンランドから輸入していて、日本人の「甘えび好き」はわかる。
    珍しさ度 スーパーなどでも普通に売られている。殻付きも珍しくはない。

    水産基本情報

    市場での評価 年間を通して入荷してくる。冷凍物はロシア産が多くやや高値。生鮮生は高級。
    漁法 カゴ漁、底曳網
    主な産地 北海道、石川県、新潟県、富山県、福井県

    選び方

    冷凍ものは解凍も簡単で値段も安いのでおすすめ。
    生は赤味の強いもの。

    味わい

    旬は不明。
    性転換する前の小振りの雄がうまいとも。
    殻は薄く、身は水分が多い。旨みは少なく、甘みが強い。この甘みは粘液質のアミノ酸が原因で、甘みを長く感じるため。
    料理の方向性
    基本は生食。ただし丸ごとみそ汁にするといいだしが出ること、身は細るが揚げるとより甘味が増すなどで用途は広がってきている。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ホッコクアカエビ(甘えび)の料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、マリネ)、ソテー(アヒージョ)、揚げる(唐揚げ、天ぷら、フライ)、汁(みそ汁)、ご飯(石焼きビビンバ、ピラフ、チャーハン)、グラタン

    甘えびの刺身(ホッコクアカエビの刺身) もっとも一般的な食べ方は刺身である。いちばんおいしい刺身の食べ方は自分で殻を剥きながら食べることだ。頭部をつけたまま出してみそをすすって食べる。クルマエビなどのような強い食感は望めないが。エビらしい風味がほどほどにあり、粘液質で非常に甘味が強い。優しい甘味を残して喉に消えてくれる。

    甘えびの刺身(ホッコクアカエビの刺身) 剥いて提供してもいい。ただし剥いてからの劣化や気温などの影響は大きい。剥いたものは素早く食べるといい。また外子やみそなども忘れずに添えて出したい。
    甘えびのオリーブオイル塩マリネ(ホッコクアカエビのオリーブオイル塩マリネ) クルマエビ科と比べると黒色変化は起こりにくいと思うが、買い求めてからの劣化は非常に早い。すぐに食べないならマリネするといい。ここでは剥き身にしてオリーブオイルと塩でマリネ。このまま食べても非常にうまい。またマリネすると冷凍しても劣化しない。
    甘えびの醤油和え(ホッコクアカエビの醤油和え) 冷凍エビなどはそのまま食べてもいいが、剥き身にして醤油で和えると味が増す。これは生エビも同様。食べきれないときや、目先を変えたいときには、剥き身にして生醤油で和える。

    甘えびのアヒージョ(ホッコクアカエビのアヒージョ) オリーブオイルやにんにくとソテーしてもうまい。小さな調理器具で最低限の量を調理すると、スペインのアヒージョになる。
    まずは剥き身にしてオリーブオイルと塩で和えておく。こうすると冷凍しても劣化しない。耐熱の器にたっぷりのにんにく、オリーブオイル、剥き身を入れる。塩コショウして少しかき混ぜる。火にかけて泡立ってきたら一度かき混ぜて、お好みの火の通し加減になったら出来上がり。
    身自体も甘味があって非常に美味だが、身から出たうま味を溶かし込んだオリーブオイルがさらにうまい。

    甘えびの唐揚げ(ホッコクアカエビの唐揚げ) みそのある頭部だけ取り去る。片栗粉をまぶして低温からじっくり揚げはじめ、高温で揚げきる。殻ごとさくさくと食べることができて非常に味わい深い。
    甘エビの天ぷら甘えびの天ぷら(ホッコクアカエビの天ぷら) 尾だけ残して剥き(殻付きで揚げてもいい)、小麦粉をまぶして衣をつけて高温で揚げたもの。水分が多い分豊潤で表面が香ばしい。思った以上に美味である。欠点は揚げたてを食べないとべとつくことだ。これがイヤなら厚い衣をつけるといい。
    甘えびのみそ汁甘えびのみそ汁(ホッコクアカエビのみそ汁) 甘エビを水から煮出してみそを溶くだけ。より味わいを増したいならだしを使ってもいいし、さし昆布をしてもいい。薬味はねぎのみにしたが豆腐などを入れてもうまい。また大量に刺身で食べたらそのときに出た殻と頭部でみそ汁を作ってもおいしい。
    甘えびの煮つけ(ホッコクアカエビ・モロトゲアカエビ・トヤマエビの煮つけ) 新潟県糸魚川市親不知から送って頂いたエビは3種混ざりだった。本種、トヤマエビ、モロトゲアカエビで醤油・酒・砂糖・水で軽く煮たら三者三様のうまさが楽しめた。煮た方がたっぷり無駄なく食べられる。
    甘えびのピラフ(ホッコクアカエビのピラフ) 炊飯の用意をし、冷凍甘えびむき身を入れてバターを加えて炊飯したもの。きのこや玉ねぎ、インゲンなど好みの野菜を加えるといい。炊飯しても身は硬くならず、エビらしい風味と甘味もご飯に移る。簡単に作れてとても便利だ。ワインにも合う。
    甘えびのグラタン(ホッコクアカエビのグラタン) 冷凍エビなどを使うといい。解凍してむきエビにする。少し殻を残すと風味がいい。玉ねぎを刻み、香りのあるセロリなども加えるといい。ここではエリンギも刻んで加えた。多めのオリーブ油ににんにく風味をつけて野菜を炒める。エビも加えて軽く火が通るくらいに炒める。

    好んで食べる地域・名物料理

    なんばんえびの塩辛 頭と尻尾を指でプチッとつまみとって、殻を剥いて薄い塩水で洗い、塩を振り一日置く。北海道釧路市。『釧路港 味覚の散歩道』(工藤虎男 釧路新書別巻)

    関連コラム(郷土料理)

    記事のサムネイル写真水と塩だけの、石川・福井の塩いり・浜いり
    石川県、福井県で作られている「塩いり」、「浜いり」は呼び名は違うが同じ調理法だ。 「塩いり」は石川・福井両県でみられるもので、資料としても残っている。浜(漁港)・・・ 続きを開く

    加工品・名産品


    干しアマエビ干し甘エビ 丸のままカラカラになるまで干し上げたもの。そのまま食べても香ばしくておいしいが、フライパンなどで軽くから煎りして食べるとなお香ばしい。主に日本海側の各地で作られている。
    アマエビの塩辛甘えび塩辛 塩辛と言うよりは塩分を転訛して調味したもの。クセがなくアマエビ(ホッコクアカエビ)自体の甘味が楽しめる。[小島屋 富山市新富町]
    むきアマエビ刺身用尾付きむき甘えび 頭部を取り去り、尾だけを残して殻をむいたもの。主に回転ずしなどの業務用だが、手巻きずし用としてスーパーなどにも並んでいる。尾まで取り去ったむきえびもある。[豊通食料・スクーナー 東京都港区、など]
    ボウルアカエビボウル赤えび カナダ産のホッコクアカエビをボイルしたもの。塩味がきいて生にはないうまさが楽しめる。本来生で食べるべきものをゆでて食べてもうまいという発見もあった。

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    ■ 現在「アマエビ(甘えび)」として市場に流通するのは北大西洋でとれるホンホッコクアカエビと本種である。本種はホンホッコクアカエビと同種、もしくは亜種とされた時期があったが近年別種となった。
    ■ 新潟の甘エビ漁師に聞くとこの性転換前のオスがいちばん味がいいという。
    ■ 産地は鳥取県から北海道西部、噴火湾から根室。ロシアから大量に入荷してくる。
    ■ もっとも漁獲量の多いのは北海道西岸。北海道での甘エビの漁獲高は全国での7割前後をしめる。
    ■ 主にエビカゴで、また底引き網でとるのだが、当然カゴ漁のものが鮮度もよく値段が高い。これはエビカゴでとったものは船の生け簀でいかし、出荷直前に箱詰めされる。値段からして底引きとエビカゴ漁では別物。
    ■ 活け、とれたばかりより、翌日の方が甘味は強い。
    タラバエビ科(Pandalidae)について◆
    ■ タラバエビ属、モロトゲアカエビ属、ミノエビ属、ジンケンエビ属など食用種が多い。
    ■ 代表的な食用種にボタンエビ、トヤマエビ(ボタンエビ)、スナエビ、モロトゲアカエビ(シマエビ)、ヒゴロモエビ(ブドウエビ)、ホッコクアカエビ(甘エビ)、ホンホッコクアカエビ(甘エビ)、ミノエビ、アカモンミノエビ、ジンケンエビなど多数。
    ■ 輸入されている種も多い。

    参考文献・協力

    協力/松澤周一さん(新潟県糸魚川市)
    『原色日本大型甲殻類図鑑』(三宅貞祥 保育社)、『新 北のさかなたち』(北海道新聞社)、『魚河岸の魚』(高久久 日刊食料新聞社)、『新版 水産動物学』(谷田専治 恒星社厚生閣)

    地方名・市場名

    ベニエビ[紅蝦]
    場所山形県鼠ヶ関 
    アタマエビ[頭えび?] サルゴエビ
    場所富山県高岡市地方卸売市場 備考抱卵していないホッコクアカエビのこと。抱卵しているものは「アマエビ」。 
    アマエビ[甘えび]
    場所関東周辺、新潟県糸魚川市親不知 備考一般的。 参考松澤周一さん(新潟県糸魚川市) 
    アカエビ[赤えび]
    場所水産業界、兵庫県但馬地方、山口県宇部市 
    コショウエビ[胡椒蝦]
    場所新潟県能生町 備考新潟県能生町ではコショウエビ(胡椒蝦)。エビカゴ漁を営んでいる「太平丸」の船長さんにお聞きすると「甘エビは普通はナンバンエビ(南蛮えび)というがお年寄りなどは今でも胡椒えびという」との話。「南蛮」=「唐辛子」で赤くて細長い形に由来する。そしてこの唐辛子の古い呼び名が「胡椒」なのだ。九州で「柚胡椒」というのが柚と唐辛子であるのもそうだし、各地で唐辛子の古い品種を「〇〇こしょう」というのもこの名残だ。 
    トウガラシ トンガラシ
    場所築地市場 
    トンエビ[屯えび]
    場所北海道、新潟県、富山県 備考北海道、新潟県、富山県で大量にとれるのでトンエビ。 
    ナンバンエビ[南蛮えび]
    場所新潟県 備考新潟県では唐辛子のことを南蛮(なんばん)という。赤く細い唐辛子に似た姿から「南蛮えび」と呼ぶようになる。 参考聞取 
  • 主食材として「ホッコクアカエビ」を使用したレシピ一覧

関連コンテンツ