ビワマス

Scientific Name / Oncorhynchus sp.

ビワマスの形態写真

40センチ前後になる。鋤骨・口蓋骨(上あご)の歯の列は「小」の字タイプ。稚魚、若魚のときにはパーマークに朱色の斑点があるが、成魚になると消える。
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40センチ前後になる。鋤骨・口蓋骨(上あご)の歯の列は「小」の字タイプ。稚魚、若魚のときにはパーマークに朱色の斑点があるが、成魚になると消える。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★★
      がんばって探せば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    顎口上綱硬骨魚綱条鰭亜綱新鰭区真骨亜区正真骨下区原棘鰭上目サケ目サケ科サケ属

    外国名

    学名

    Oncorhynchus sp.

    漢字・学名由来

    漢字 琵琶鱒 Standard Japanese name / Biwamasu
    由来・語源 延喜式に「阿米魚」、和名類聚抄には「琵琶湖特産のマスであるから。

    地方名・市場名

    マス
    場所滋賀県長浜市菅浦 参考「菅浦の湖岸集落景観保存調査 2014 滋賀県長浜市」 

    生息域

    淡水魚[陸封型 トラウトタイプ]。
    本来は琵琶湖特産魚。栃木県中禅寺湖、長野県木崎湖、神奈川県芦ノ湖などにも移植されている。

    生態

    サクラマスの亜種。
    産卵期は秋で9月から11月。琵琶湖に流れ込む河川に遡上して産卵。
    稚魚は翌年の5月から6月に琵琶湖に下る。
    琵琶湖の沖合、水深15メートルから20メートル。
    琵琶湖の稚アユなどを捕食している。
    湖内で5年ほど生活して、また川に上る。親は産卵後死んでしまう。

    基本情報

    主に滋賀県、琵琶湖周辺で流通、消費される。地域的産物といったもの。10月、11月が禁漁期。
    好漁不漁があり、まとまってとれたときには関東などにも出回ってくる。
    琵琶湖周辺で本種はごちそう、高級な魚である。
    珍魚度 禁漁期以外に琵琶湖に行けば、比較的見つけやすい。

    水産基本情報

    市場での評価 主に琵琶湖、京都などで流通する。産地周辺では高値で取引される。少ないながら関東にも入荷してくるが、安い。
    漁法 刺し網、釣り
    産地 滋賀県

    琵琶湖周辺 10月、11月の禁漁期以外、琵琶湖周辺では小売店などで普通に売られている。基本的に琵琶湖の漁協ごとの競りで、流通範囲は狭い。
    琵琶湖周辺以外だと京都市内でも流通する。

    選び方

    色あせていないもの。触って張りのあるもの。鰓が鮮紅色であるもの。

    味わい

    旬は晩春から夏。
    鱗は小さく薄い。皮は厚め。骨は軟らかい。身に細くて長い骨がある。
    白身。身が朱色に見えるのはサケ特有のアスタキサンチンによるもの。
    サケ特有の香りがある。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ビワマスの料理・レシピ・食べ方/生食(刺身、酢じめ)、ソテー(ムニエル)、焼く(塩焼き)

    ビワマスの刺身 琵琶湖産ビワマスからの寄生虫は検出されない、寄生虫を持っていないという。これに従って刺身にしてみた。夏の固体は非常に脂がのっていて美味である。ある意味、サクラマスを思わせるようなおいしさである。
    水洗いして三枚に下ろし、腹骨・血合い骨を取る。皮を引き、刺身状に切る。

    ビワマスの酢洗い 小型を使うといい。塩で軽く締めて、酢で塩を洗い流したもの。刺身とは別種の味があり、皮は少々硬いが味がある。水洗いして三枚に下ろす。腹骨・小骨を取る。刺身状に切って塩を振る。少し寝かして酢で洗って水分を切る。
    ビワマスのムニエル サケマスのもっとも基本的な料理法である。皮が硬いがソテーするとぱりっと切りやすくなり、この皮を皮の直下に半液体となった脂があって甘い。身にもうま味があって非常にうまい。
    ビワマスの塩焼き サケ科特有の風味がいちばんよく楽しめる。焼いた皮のおいしさ。脂の甘さ、身の適度なほぐれ感、そしてその甘味など非常に美味である。三枚に下ろす(二枚でもいい)。切り身にして塩をして焼き上げる。

    好んで食べる地域・名物料理

    滋賀県琵琶湖周辺。なれずし、やはずし、炊き込みご飯など。


    あめのいおご飯 琵琶湖周辺では「あめのいお」、もしくは単に「ます」と呼ばれている。炊き込みご飯は湖北などでよく作るらしい。湖北で数人、魚屋さんなどから聞いたとおりに作ってみた。
    水洗いして適当に切り軽く煮る。煮汁と魚を分けて冷やす。煮汁を炊飯の水に加えて少量の醤油・酒を追加する、ご飯の上に軽く煮たものを乗せて炊き上げる。炊き上がったら頭部や骨を取り除き、ご飯に混ぜ込む。
    琵琶湖周辺では生のまま炊き込むこともあるという。また煮て、骨などを除き、ゴボウ、ニンジンなども加えて炊き込むこともある。
    醤油と酒だけの味つけでたいたが、非常に上品であっさりして食べやすい。

    ビワマスの洗い 洗いとあるが、氷水などでしめたものだろう。酢みそで食べるもの。洗って食感が強くなり、サケならではのクセが抜けて食べやすい。[湖北]
    ビワマスの塩焼き 琵琶湖北部では塩焼きにすることが多く、直売所や道の駅などでもときどき売られている。サケ科ならではの皮の香ばしさ、身のうま味があってとても美味。

    加工品・名産品

    ビワマスの天日干し 開いてやや強く干し上げたもの。サケ特有の香りがあり、とてもうまい。西浅井漁業協同組合(滋賀県長浜市)
    こけらずし ビワマスのなれずしのこと。比較的早く出来上がるもので、ご飯も食べる。『鮎茶屋(滋賀県長浜市)』

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』(中坊徹次編 東海大学出版会)、『湖魚と近江のくらし』(滋賀の食事文化研究会 サンライズ出版)、『琵琶湖の魚類図鑑』(藤岡康弘/琵琶湖博物館特別研究員・川瀬成吾・田畑諒一/琵琶湖博物館学芸員) サンライズ出版株式会社 2024)
  • 主食材として「ビワマス」を使用したレシピ一覧

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