外套長は40cmを超える。鰭は胴の部分全体を縁取り大きい。生きているときは透明で、死ぬと白くなりときに濃い灰色を帯びることがある。漏斗の色素は濃い灰色のみ。
アオリイカの生物写真一覧 (クリックで上に拡大表示)




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魚貝の物知り度
★★★★
知っていたら達人級食べ物としての重要度
★★★
一般的(流通量は普通)味の評価度
★★★★★
究極の美味
分類
軟体動物門頭足綱鞘形亜綱十脚形上目ツツイカ目閉眼亜目ヤリイカ科アオリイカ属外国名
学名
Sepioteuthis lessoniana Férussac in Lesson, 1832 [shiro-ika]漢字・学名由来
漢字 障泥烏賊(白障泥烏賊) Aoriika
由来・語源 『和漢三才図会』(寺島良安 正徳2年・1712年)より。〈真烏賊より大きくて四周に肉鰭がある。状(かたち)は障泥(あおり)に似ている。これをするめにすると佳い〉
障泥というのは馬具のひとつ。鞍の下に敷く泥よけで皮革で作られる。トラ、クマなど素材によって等級がある。この障泥に形が似ているところから。『大言海』(大槻文彦 冨山房)地方名・市場名
生息域
海水生。浅い岩礁域。
北海道南部以南[オホーツク海でも水揚げされている(紋別市 まるとみ渡辺水産)]。インド・西太平洋の温帯、熱帯域。生態
浅い岩礁域に棲息。
産卵期は4月から9月の6か月。
産卵床は浅場の海藻や沈木など。
寿命は鹿児島以北では1年とされる。
厳冬期以外にアオリイカを市場で見かけるのは産卵期が長いためだ。基本情報
温帯域から熱帯域、南半球にも生息する。非常に大きくなり鰭が外套長(胴)の90%以上に及び全体に円形に近いシロイカ型と、形はシロイカ型に近いが体色が赤みを帯びるアカイカ型、見た目はシロイカ型に近いが外套長12cmほどにしかならないクワイカ型の三種に分かれるが、本ページでは基本的にシロイカ型を取りあげている。
アオリイカはイカ類中もっとも高価。特に大形のシロイカ型は非常に高い。主にすし店や高級料理店で使われている。
長崎県や島根県では干ものにも加工されているがこれも非常に高価。水産基本情報
市場での評価 関東ではなくてはならないイカのひとつ。産地での漁期が春から冬であることが多いので、この時期に入荷が増える。高値安定していて、特に大型のシロイカ型は高級。
漁法 釣り、定置網
主な産地 千葉県以南の太平洋側。山陰以西の日本海側。選び方
触って色素細胞の変化するもの。張りのあるもの。味わい
旬は地域のより違う
秋になると小型がとれ始め、翌夏までとれる。旬は夏とされることが多いが、これは短絡的。むしろ秋〜初夏で地域によっては秋〜冬にとれるものを喜ぶ。
イカの旨みを決定づけているのが甘みを感じる呈味成分である遊離アミノ酸。
グリシンを筆頭に、アラニン、プロリンなどだが、イカの中ではアオリイカにもっともたくさん含まれている。
皮は剥きにくい。身は鮮度がいいと硬い。栄養
ー危険性など
ー食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)
アオリイカの料理法・調理法・食べ方/生食(刺身、水いか)、揚げる(イカリング、天ぷら)、焼く(一夜干し)、煮る(塩ゆで、煮つけ)、汁(墨汁)クリックで閉じますアオリイカの刺身
アオリイカの刺身 甘味、うま味などの呈味成分が非常に多いのだろう。刺身は他のイカに類を見ない味である。身に厚みがあり、食感が心地よい。口の中に入れるや発散する甘みが多い。ご飯との相性もとてもよいので贅沢ながらおかずにしてもいい。
アオリイカの新イカ刺身 秋になると日本各地で当歳ものがとれ始める。胴長10cm〜15cmほどのもの。この刺身がとてもうまい。身は成イカよりは柔らかいが、ほどよい甘味があっていい味わいなのだ。げそも耳の味もいい。クリックで閉じますアオリイカの新イカ刺身
アオリイカの水いか 上質の昆布でだしを取る。これに酒、塩でやや強めの味つけをし、冷たく冷やしておく。表皮、内皮を剥いた胴の部分に切れ目を入れる。冷たく冷やした地にイカを泳がせて食べる。昆布のうま味とイカの甘味が合わさって非常においしい。クリックで閉じますアオリイカの水いか
アオリイカリング 秋にとれる小振りのアオリイカの胴の部分を輪切りにしてフライに揚げたもの。短時間でかりっと揚げると硬くならず、ジューシーなのでスルメイカよりもゴージャスな味になる。クリックで閉じますアオリイカリング
アオリイカの天ぷら 同の部分の皮を剥く。適宜に切れ目を入れて小麦粉をまぶして衣をつけて短時間で強めに揚げる。表面はかりっと香ばしく、中はしっとりとしていて、甘味が感じられてとてもうまい。クリックで閉じますアオリイカの天ぷら
アオリイカの一夜干し 夏から秋にとれる小振りのアオリイカを開いて立て塩につけて干したもの。温かい時期には冷蔵庫にラップしないで入れておくと一夜干しになる。皮を剥いてもそのまま干してもいい。皮を剥くと全体に柔らかく、また干し上がりも早い。皮をつけたままだとより味わい深い。クリックで閉じますアオリイカの一夜干し
アオリイカのげそ塩ゆで 大型のアオリイカはげそも大きく、またゆでてもあまり硬くならない点が優れている。げそは生の状態で塩もみしてぬめりを取る。水洗いして水分をよく切り、塩ゆで、おか上げする(ザルなどの上に乗せて冷やす)。ゆでると独特の香りがあり、柔らかくて甘味がある。クリックで閉じますアオリイカのげそ塩ゆで
好んで食べる地域・名物料理
ー関連コラム(郷土料理)
湯引き・長崎県平戸市度島のイカの湯引き
長崎県平戸市度島では「イカの湯引き」を祝い事のときに「みずいか(アオリイカ)」や「あかいか(ケンサキイカ)」と「がんせき(スルメイカ)」などとの時季のイカで作る・・・ 続きを開く加工品・名産品
釣り情報
関東では三浦半島や伊豆半島での船、防波堤でのアオリイカ釣りが盛ん。餌木と呼ばれる和製ルアーや生き餌で釣る。また近年、餌木に似せたルアーが市販されている。新しいルアー釣りのターゲットとしても人気が出ている。歴史・ことわざ・雑学など
ー参考文献・協力
『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『世界イカ類図鑑2005』(全国いか加工業協同組合)、『大言海』(大槻文彦 冨山房)、『島根のさかな』(島根県水産試験場 山陰中央新報社)