シリヤケイカ

Scientific Name / Sepia japonika Sasaki,1929

シリヤケイカの形態写真

外套背長20cm前後。鮮度のよいとき外套膜背側に星状の白い斑紋がでる。外套膜後部、貝殻(甲)に針がない。外套膜後部(一般に頂点と思われている部分)から粘液を出している。またそこが薄汚れて見える。
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外套背長20cm前後。鮮度のよいとき外套膜背側に星状の白い斑紋がでる。外套膜後部、貝殻(甲)に針がない。外套膜後部(一般に頂点と思われている部分)から粘液を出している。またそこが薄汚れて見える。鮮度のよいとき外套膜背側に星状の白い斑紋がでる。甲(貝殻)には針がない。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★
      少し努力すれば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★
      地域的、嗜好品的なもの
    • 味の評価度

      ★★★★
      非常に美味

    分類

    軟体動物門頭足綱鞘形亜綱十腕形上目コウイカ目コウイカ科Sepiella属

    外国名

    Cuttlefish
    言語英名 

    学名

    Sepia japonika Sasaki,1929

    漢字・学名由来

    漢字 尻焼烏賊 Shiriyakeika
    由来・語源 山陽地方の呼び名で、佐々木望が和名を決めた。貝殻に棘がなく、尻(外套膜後部)から粘液を出し、尻が焼けて(下痢をして)見えるイカの意味。
    Sasaki
    佐々木望(ささき・まどか/明治16年〜昭和2年 1883年〜1927年)。広島県広島市生まれ、ハンガリー、ブダペストで客死。動物学者。軟体類とくに頭足類の分野で大きな業績を残す。多くの軟体類を記載。

    地方名・市場名

    生息域

    海水生。
    東北地方南部以南、瀬戸内海。
    西太平洋温帯・熱帯域。

    生態

    アマモ、海苔ひび、フトヤナギモなどに4月から7月にかけて産卵する。

    基本情報

    本州以南の沿岸に普通に見られるもの。主に底曳き網などで揚がるが、褐色の粘液を出すなどやっかいな点も多いイカである。最近では国内でも消費されるが、輸出されることも多い。
    コウイカと同様内湾性で、混ざってとれることも少なくない。コウイカよりも味が劣るとされるが、比べなければとてもおいしいイカである。
    珍しさ度 珍しいイカではないが好不漁の差が激しい。探して見つけかるというものではないので、じっくり時間をかけて探すといい。

    水産基本情報

    市場での評価 コウイカほど多くないが流通上普通。コウイカよりも少し安い。
    漁法 底曳網、刺し網、定置網、釣り
    主な産地

    選び方

    白い斑文がしっかりしているもの。触って張りのあるもの。

    味わい

    旬は秋から初夏
    薄皮は取りにくい。身は厚いが軟らかく、コウイカと比べるとうま味、甘みは少ない。熱を通してもあまり硬くならない。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    シリヤケイカの料理法・調理法・食べ方/生食(刺身、湯引き)、焼く(一夜干し)、揚げる(天ぷら)、炒める・ソテー(野菜炒めなど)、お好み焼き、煮る(煮もの)、汁(墨汁)

    シリヤケイカの刺身 墨、粘液が多いので丁寧に水洗いする。比較的薄皮は弱いのでふきんなどで取ってもいい。適宜に切れ目を入れて刺身にする。げそは塩ゆでして添えている。コウイカのようなうま味には欠けるが捨てがたい味だ。


    シリヤケイカのゆびき 小振りのものを丁寧に水洗いする。皮を剥き、適宜に水洗いして湯にさっと通す。小振りのものは軟らかくうま味に欠けるのが湯に通すとおいしさが増す。げそは塩ゆでして添える。
    シリヤケイカのポキ(ポケ) 皮をむいた胴や鰭の部分を細かく切る。ネギと野菜(トマト、きゅうりなど好みのものを)と和えて、ごま油・しょうゆで味つけしたもの。小振りなものも、刺身にならない端などが使えるのがいい。
    シリヤケイカとうどのしょうゆ炒め うどは皮を剥き、適宜に切り酢水につける。これを適宜に切ったシリヤケイカと太白ごま油でいためてしょうゆ、酒、みりんで味つけ。仕上げに七味唐辛子を振る。
    シリヤケイカのステーキ 胴の部分の皮を剥く(剥かなくてもいいがソテーすると丸まる)。塩コショウして水分をよくきり、ソテーする。火が通ったら取りだし、フライパンに酒・砂糖・しょうゆを加えて少し煮詰めてソースにする。
    シリヤケイカの天ぷら 丁寧に水洗いして適宜に切り、とんとんと切れ目を入れる。これに小麦粉をまぶして衣をつけてやや高温で揚げる。天ぷらには本種の軟らかさが生きてくる。甘味があっておいしい。
    シリヤケイカの頭と内臓の煮つけ 足のつけ根から目の上の部分と、内臓、生殖巣をていねいに水洗いする。水分をよくきり、水・酒・砂糖を煮立てたところで短時間からめるように煮上げる。生殖巣が実に味わい深い。
    シリヤケイカの煮もの 関東ではイカと里いも、ジャガイモを一緒に煮ることが多い。じゃがいもがイカのうま味を吸いとてもうま味豊かに仕上がる。イカは出来るだけ皮や頭部、げそなどうま味のある部分を入れるといい。
    シリヤケイカのお好み焼きシリヤケイカのお好み焼き お好み焼きの主な具にしたもの。げそや頭部など味の出る部分と胴の部分などすべて適宜に切り、キャベツ、卵とともにお好み焼きの地に入れて空気を入れるようにかき混ぜる、これを焼く。
    シリヤケイカの墨汁 シリヤケイカは水洗いし、丁寧に墨袋を取っておく。胴、耳、げそなどは適宜に刻む。鍋にカツオ節出しを入れてにんじんなどの野菜を煮る。そこにイカを入れて火が通ったら墨を加え、塩味をつける。薬味は沖縄のコーレーグスを。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    関連コラム(加工品)

    記事のサムネイル写真謎の甲つきするめを作ってみる
    ウイカ科のイカの特徴は「貝のような姿の動物」であった名残である、貝殻を体に有していることだ。貝殻は一般的には甲という。甲を持っているイカなので甲烏賊となり、科・・・ 続きを開く

    釣り情報

    東京湾ではコウイカの釣りが盛んである。寒い時期にシャクリ竿、もしくは比較的軽い竿を使い、テンヤという2本の引っ掛け針がついた道具にシャコの餌をつけて釣る。ここにシリヤケイカも混ざる。

    歴史・ことわざ・雑学など

    真いか 東京湾周辺では「真いか(マイカ)」という。湾内でしばしば大発生し、まとまって取れるからではないかと考えられる。
    甲付きするめ 甲(貝殻)をつけたまま干物にする。これを「甲付きするめ」という。『新・世界有用イカ類図鑑』(奥谷喬司 全国いか加工業協同組合)

    参考文献・協力

    『新・世界有用イカ類図鑑』(奥谷喬司 全国いか加工業協同組合)、『日本近海産貝類図鑑』(奥谷喬司編著 東海大学出版局)、『島根のさかな』(島根県水産試験場 山陰中央新報社)、『イカ』(奈須敬二、奥谷喬司、小倉通男 成山堂)、『イカはしゃべるし、空も飛ぶ 面白いイカ学入門』(奥谷喬司 講談社)

    地方名・市場名

    ケツクサリ
    場所京都府京都市 参考大谷透さん 
    ケツクサリ
    場所京都府京都市京都中央市場 備考一日残したモノを開くと茶色い内臓、ワタの色が身の方に染まるため。 参考大谷透さん 
    シリグサレ
    場所山口県萩市 
    ヘンド ヘンドイカ
    場所徳島県鳴門市北灘、香川県 備考「へんど」は徳島県では乞食とか放浪する人という意味。遍路にも使われる。 参考20211031聞取 
    ゴマイカ
    場所東京都江東区・江戸川区など東京湾奥周辺 参考吉原努さん(江戸前漁師) 
    シリクサレ
    場所長崎県雲仙市小浜 参考佐藤厚さん 
    ダゴイカ
    場所長崎県雲仙市橘湾 参考佐藤厚さん 
    コウイカ
    場所日野市すし政 備考東京ではコウイカをスミイカ(墨烏賊)、本種をコウイカ。 
    クサリ
    場所山口県萩 
    マイカ
    場所東京都小松川、神奈川県小柴、関東の市場 備考関東の市場で古くは「マイカ(真烏賊)」。 
    マツイカ
    場所山口県長門、仙崎 
    ヤケ
    場所徳島県徳島市漁業協同組合 
  • 主食材として「シリヤケイカ」を使用したレシピ一覧

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