アオリイカはイカ界の絶対的な王だったんだけど……

400g以下のアオリイカは秋から初冬の風物詩


八王子総合卸売協同組合、舵丸水産、クマゴロウのところで島根県産アオリイカを買う。
春に生まれたアオリイカが秋になると漁獲可能なサイズに成長する。この時季、たくさんとれる。このサイズを好むすし職人もいるくらいで、秋に取れるので秋イカという。全国的にみてもいちばん漁のある時を迎えている。
当然、釣り物ではなく定置網ものなのでキロ単価も安い。それにしてもスルメイカ下氷が1ぱい500円のとなりに200gで500円のアオリがあると市場価格が近づいてきたな、と思ってしまう。このままスルメイカの不漁が続けば、値段では、下剋上なんてことになりそうである。
昔は4倍以上の開きがあったので、相撲に例えるならアオリイカ=横綱とスルメイカ=十両くらいの開きだったのである。この十両が実力(?)をつけて関脇・小結になってきている。
もちろん好みもあるので一概には言えないが、台頭著しいとはいっても刺身では、段違いにスルメよりもうまいと、あくまでも個人的には思っている。
刺身用なら、値段が1.5倍まではいかないのなら、胴(外套膜)の大きいアオリを選んだ方が得だというのもある。
しかも眼の前にあるのは島根県島根半島、笠浦漁港の定置網で揚がったものだ。最近、なぜかしら島根が恋しいので、ついつい島根産に手が伸びる。

小アオリの刺身は柔らかく味わい深い


重さ363gで典型的秋イカ、手頃な重さといえる。帰り着いたら水洗いをし、胴、げそ、耳(鰭)に分けてペーパータイルに包む。
後は皮をむいて刺身にするだけだ。
イカは押し並べて同じ味である。違いは少ないが、確実に違いがあるとしか述べようがない。
アオリイカはとても甘味・うま味のバランスがよく、食感もほどよい。しかも若い個体は柔らかい。
これを飯の友にしたが、飯の甘味と非常に合う。
ちなみに刺身の上・下・うまい・まずいは飯のおかずにしてこそわかる。
米の糖質に負けない味のアオリの刺身で結構な昼飯であった。


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