相模湾二宮定置、「しらが」、「かんなくず」のサンド

神奈川県小田原市、小田原魚市場の二宮定置で「しらが」、「かんなくず」をいただいてきた。
世の中に未利用魚、未利用魚という人がいるが、●●協会だの、水産庁などが話を広げすぎている。単に無知なのだとは思うけど、問題としても意味のない水産生物を取りあげすぎている。もっと漁業の現場を知り、流通の場に頻繁に通い見続けてから未利用魚問題を考えるべし。
ついでに言わせてもらうが、魚価は高い方がいい、なんて愚かな事をいうヤカラがいる。これまた無知蒙昧、バカとしかいいようがない。そんなに単純な話なら問題にならない。もっと現場を見ろ、といいたい。
我がサイトではサメやエイなどのおいしさは何十年も伝えてきているつもりだし、アイゴや知名度の低い魚もそうだ。ちなみに知名度が低いだけの魚はとっくの昔に未利用魚ではなくなって、流通の場で値がついている。マスコミなどは無批判にこれらの無知な団体の未利用魚をとりあげているが、問題が薄まると思う。
さて、3月半ばの小田原魚市場で見つけた正真正銘の未利用魚は、「しらが」、「かんなくず」である。とてもおいしいと思うが、これを消費者に単純に食べなさい、というの人がいたらどうかしていると思う。
タチウオは高級魚であり、未利用魚だ。それはだれでもわかっていると思う。ちなみにエイやサメやアイゴなどよりも、知名度の高い魚の若い個体の方が何倍も深刻な未利用なのだ。未利用魚問題はもっとちゃんと数値化すべきだとも考える。

今回持ち帰ってきたのは「しらが」全長28〜36cmで１尾の重さ10g以下、「かんなくず」は全長40cm前後で１尾の重さ40g〜50gだ。
ちなみに「しらが」、「かんなくず」はとてもおいしいが、競りに出せるようになっても、漁師さんは出さないと思う。なぜか？　労働による対価が得られないからだ。多くのお役人さんやイカガワシイなんとか協会の人間が、漁業者や流通業者の暮らしのことを考えていないことも大問題である。
「しらが」、「かんなくず」とはタチウオの100g以下のことだ。白髪のように細く、鉋屑のように薄いという意味で、この呼び名は意外に広い地域で使われている。
タチウオのなにが困るかというと、銀色の微細な粒子があり、しかも小さいくせに歯がするどいことだ。
国内でもっとも深刻な未利用魚はブリの若い個体だと思うが、近年増えているタチウオの若い個体も大問題なのだ。
持ち帰ってきた「しらが」、「かんなくず」はすべて全長と重さをはかり、ボクのお昼ご飯にした。７尾の「しらが」と４尾の「かんなくず」である。

これからの未利用魚問題解決には和だけでもダメで、中華も洋も、中近東やイスラム、熱帯の料理も取り入れないとだめだ。
魚嫌いの人のお昼ご飯に選んでもらえるような料理を作るべし。

「しらが」、「かんなくず」は小さいので頭を飛ばし、内臓をとり、水分をよくきる。
塩コショウして全粒粉（小麦粉よりも使いやすいし、おいしい）をつけて、じっくり二度揚げした。
揚げると歩留まりよく、丸ごと全部食べられ、しかも実に香ばしくてうまい。
タチウオ自体にうまみがあるので、魚を食べたという満足感も得られる。

これをレタスなどのあるもの野菜と一緒にバタールに挟む。
ちなみに今回は刻んだ葉玉ねぎをオリーブオイル・にんにくと和えてサンドイッチ全体のまとめ役とした。
ボクは最近塩分が嫌いなので、薄味である。これなど加減して欲しい。
香辛料はカイエンヌペッパーとフェンネルシードで、どことなくトルコ風にする。
腹ヘリのせいかも知れぬが、サンドイッチにすれば限りなく食べられそうで恐い。
ちなみにこの「かんなくず」、「しらが」問題は香川県でも取り込んでいるみたいだ。加工品にするという狙いは間違っていないが、売り方が間違っている。今現在の人の暮らし方をわかっていないと、未利用魚は解決しない。
「かんなくず」、「しらが」を分けていただいた、二宮定置のみなさんには大いに感謝。