ヤナギダコ

Scientific Name / Paroctopus conispadiceus (Sasaki, 1917)

ヤナギダコの形態写真

120cm TL 前後になる。体はマダコ・ミズダコなどと比べると柔らかい。外套膜は卵形で表面は平滑。眼上棘は大きい。
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120cm TL 前後になる。体はマダコ・ミズダコなどと比べると柔らかい。外套膜は卵形で表面は平滑。眼上棘は大きい。120cm TL 前後になる。体はマダコ・ミズダコなどと比べると柔らかい。外套膜は卵形で表面は平滑。眼上棘は大きい。外套膜は卵形で表面は平滑。眼上棘は大きい。眼上棘は大きい。
    • 珍魚度・珍しさ

      ★★★
      がんばって探せば手に入る
    • 魚貝の物知り度

      ★★★★
      知っていたら達人級
    • 食べ物としての重要度

      ★★★
      一般的(流通量は普通)
    • 味の評価度

      ★★★
      美味

    分類

    動物界軟体動物門頭足綱八腕目無触毛亜目マダコ超科マダコ科Paroctopus属

    外国名

    学名

    Paroctopus conispadiceus (Sasaki, 1917)

    漢字・学名由来

    漢字 柳鮹 Standard Japanese name / Yanagidako
    由来・語源 「やなぎがれい」がいるところにいるタコという意味だと、福島県いわき市久ノ浜で教わった。
    「やなぎがれい」はヤナギムシガレイ、もしくはヒレグロのことだ。
    Sasaki
    佐々木望(ささき・まどか/明治16年〜昭和2年 1883年〜1927年)。広島県広島市生まれ、ハンガリー、ブダペストで客死。動物学者。軟体類とくに頭足類の分野で大きな業績を残す。多くの軟体類を記載。

    地方名・市場名

    ヤナギダコ
    場所福島県いわき市久ノ浜 
    アマダコ
    場所福島県相馬市原釜 

    生息域

    海水生。大陸棚。
    茨城県、福島県、三陸沖から北海道周辺。

    生態

    基本情報

    北海道から福島県周辺沖までのやや深場に生息している。主な産地は東北太平洋側である。
    九州以北で主に流通する大型のタコはミズダコ、ヤナギダコ、マダコの3種。ヤナギダコがいちばん少ない。
    水揚げ港ではとれると多くがゆでだこ(蒸しだこ)に加工される。生の状態で出回ることは少ない。
    珍しさ度 消費地では加工品は比較的手に入れやすいが、丸のままを見つけるのは意外に難しい。

    水産基本情報

    市場での評価 主に三陸などから「ゆでだこ」に加工されて入荷してくる。マダコ、ミズダコよりも安い。
    漁法 空釣り縄漁、カゴ漁
    産地 福島県、岩手県、宮城県

    選び方

    白い部分が黄ばんだりしていないもの。触って張りのあるもの。

    味わい

    旬は秋から春。
    軟らかく水分が多い。ゆでてもあまり硬くならない。
    卵塊は寒い時期に入荷してくる。
    そのまま生で、蒸してなど料理されている。

    栄養

    危険性など

    食べ方・料理法・作り方 (基本はオススメ順掲載です)

    ヤナギダコの料理・レシピ・食べ方/煮る(塩ゆで、桜煮、いもたこ)、揚げる(天ぷら)、ソテー(オリーブオイル焼き、アヒージョ、お好み焼き)、ご飯(ピラフ)
    ヤナギダコの桜煮 タコの桜煮はこってり甘辛く、濃い味つけにすることが多い。ヤナギダコの魅力はその程よい弾力だろう。噛みしめるとちゃんとうま味が浮き出してくる。タコの持つ小豆のような風味もある。
    ざっと水洗いして冷凍する。1日冷凍して室温で戻し、傘膜(足と足の間の布状の部分)を切る。これを最初ただ単に揉み、ある程度ぬめりが出たら、塩を加えて揉む。よく水洗いして、水分をきり、酒・砂糖・濃口醤油・溜まり醤油・水で水分があまりなくなるまで煮る。

    ヤナギダコと里芋の煮つけ(いもたこ煮) 生のタコと里芋を、時差をつけて煮つけたものだ。ヤナギダコは柔らかく甘辛い。それでいてタコの小豆のような香りがする。これと里芋のほくほくした甘さがとても味わい深い。
    ぬめりをもみ出して、塩もみをして水洗い。食べやすい大きさに切る。酒・砂糖・醤油・水で甘辛く煮て、煮上がったら、こんどは里芋を煮る。
    ヤナギダコの塩ゆで もっとも基本的な料理である。ちょっときつめの塩でゆでたもので、適度に水分が抜け、タコらしい小豆のような香りがする。弾力があり、味もある。
    水分が多いので傘膜(足と足の間の膜)や足の鰭条のぶぶんなどは全部切り放す。ぬめりをもみ出し、仕上げに塩で揉み、水でよく洗う。これを7分間塩ゆでにする。そのままザルなどに上げて冷ます。
    ヤナギダコの天ぷら ゆでても水分が多めの足の部分が揚げることで締まる。ついでにタコらしい風味も濃くなる。衣との馴染みはそんなによいとは思えないが、思った以上に美味であった。
    ゆでた足は立て半分に切り、余分な皮を切り取る。吸盤に切れ目を入れて、布に挟んですりこぎなどでたたき、水分を取るとともに筋繊維を壊す。小麦粉をつけて衣をつけて高温で揚げる。
    ヤナギダコのオリーブオイル焼き オリーブオイルとタコはまことに相性がいい。ここにうま味成分のあるトマトが一緒になると、完成度の高いものとなる。パンのおかずになる。
    基本通り煮ゆでたヤナギダコの足、にんにく、トマト、にんにくなどを鉄のパンに乗せて、塩コショウする。オリーブオイルを加えてソテーする。香りづけにパセリなどを散らす。
    ヤナギダコの頭のアヒージョ 水分の多い頭をオリーブオイルで熱したので濁ってしまったが、このオリーブオイルが非常においしい。頭の柔らかい食感と一緒に食べると、非常においしい。
    ゆでたタコの頭を刻む。火に掛けられる容器にタコ、にんにく、虎の尾(尾鷲市の辛い青唐辛子)、オリーブオイルを加えて火をつける。
    ヤナギダコの頭(胴)のお好み焼き/たこのみ焼き ソテーしてかりっとした食感の頭部(胴)が独特の味わいで存在感がある。水分の多いところだが、お好み焼き生地に味が吸収されて生地自体もおいしい。
    タコの頭の部分を刻む。お好み焼き生地と卵、キャベツを合わせてかき混ぜておく。タコの頭を強くソテーする。そこに生地を加えて焼き上げる。
    ヤナギダコのピラフ 水分の多いヤナギダコからうま味が染み出し、米に染み込んで独特の風味を生み出している。オリーブオイルを使って、ご飯がさらりとしているのもいい。
    足の部分を切り取り、ぬめりをもみ出し、塩を加えて再度揉む。水洗いして適当に切る。ハーブブイヨンを加えた水で水飯の用意をする。ここにオリーブオイルとにんにく、松の実を加えて炊き上げる。

    好んで食べる地域・名物料理

    加工品・名産品

    煮だこ(蒸しだこ) ゆでたもの。北海道〜三陸にかけて作られている。本種の流通の基本形。
    たこまんまの塩辛 白糠漁業協同組合。熟成したものではなく塩味の卵巣といったもの。
    寒干し 釧路市など。塩ゆでして干したもの。

    釣り情報

    歴史・ことわざ・雑学など

    参考文献・協力

    『日本のタコ学』(奥谷喬司 東海大学出版局 2013)
  • 主食材として「ヤナギダコ」を使用したレシピ一覧

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